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  • 液晶とは?仕組みや歴史、ディスプレイとしての応用方法を分かりやすく紹介!
  • 液晶とは?仕組みや歴史、ディスプレイとしての応用方法を分かりやすく紹介!

    2024.08.20更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    薄型ディスプレイとして今や誰もが使っている「液晶」。存在は当たり前になっているものの、液晶という名前がついている理由や、その原理を知らない方は多いと思います。そこで今回は、液晶の特徴や、液晶ディスプレイの原理などを解説します。

    液晶とは?

    液晶は、特定の物体ではなく、物体が固体と液体の間の特性を持つ「状態」を指す言葉です。有機化合物など、液晶状態になるのは一部の物質のみであり、液晶状態での挙動も物質ごとで異なります。

    液晶は「液体でありながらも光学異方性を持っている」という特徴を持っています。中でも「ネマチック結晶」と呼ばれる種類の液晶は、電圧によって異方性の方向が変わるという性質があり、液晶ディスプレイとして主に応用されています。

    液晶の歴史

    液晶は今のような液晶ディスプレイとして使われるまでに、さまざまな発見が行われています。その詳細な歴史を紹介します。

    植物学者が液晶を発見

    液晶の歴史は、1888年にオーストリアの学者「フリードリヒ・ライニツァー」によって発見されたことから始まります。ライニツァーは、植物から分離した安息香酸エステルを加熱中、一定温度で白濁した液体となったあと、さらに過熱すると元の透明な液体になることを発見します。

    その後、白濁が生じる原理をドイツの学者「オットー・レーマン」が解明、安息香酸エステルが光学異方性を持つことを突き止めます。このことから「液体なのに結晶構造を持つ」新しい物質の状態であることが判明し、「液晶」という名前が付けられました。

    多くの種類が発見されるも応用先は見つからず

    液晶は発見後の研究によって、さまざまな結晶構造の種類があることが発見されました。まず、大きな分類として、一定の温度範囲になると液晶になる「サーモトロピック液晶」と、結晶を水などの溶媒と混ぜることで液晶になる「リオトロピック液晶」があります。

    さらに、サーモトロピック液晶は分子の自由度の違いによって「ネマチック液晶」「コレステリック液晶」「カラムナー液晶」といった種類があると判明します。このように、珍しい結晶構造が続々と発見された液晶でしたが、発見当初は具体的な用途が見つからず、数十年にわたって注目されることはありませんでした。

    1960年代に製品としての応用が始まる

    その状況が変わったのは1960年頃。RCA社の「リチャード・ウィリアムズ」が、ネマチック液晶に直流電圧を加えると光の透過率を制御でき、光シャッターとして使えることを発明したのがきっかけです。

    RCA社がこの発明をもとに世界初のLCDを開発したことで、液晶が表示器に利用できることが世界中に知られます。その後、液晶はディスプレイ用途での研究が急激に行われるようになり、1973年に電卓の表示器として実用化されたのを皮切りに、製品化も続々と行われるようになりました。今では高性能な液晶ディスプレイが開発され、テレビやパソコンなどに欠かせない存在となっています。

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    液晶による光シャッターの原理

    引用:シャープ株式会社

    それでは、ネマチック結晶を使ってどのように光シャッターが作られているかを解説しましょう。

    液晶のねじれ構造で偏光方向が変わる

    光シャッター効果はさまざまな手法で実現できますが、現在はネマチック結晶を90°ねじって使う方法が一般的です。液晶の両端がねじれると、ネマチック結晶は「分子が同じ向きになる」という特性から等間隔で少しずつねじれていき、螺旋階段のような構造を取ります。

    次に、ネマチック結晶の両端に、ネマチック結晶の分子の向きと同じ形で偏光板を配置します。すると、2枚の偏光板は直角に配置されるため、偏光板を通る光は2枚の偏光板で完全に遮光されるように見えます。

    しかし、ネマチック結晶が間に入っていると、螺旋階段の分子構造が光の偏光方向を回転させるので、偏光方向が90°変わり、偏光板を光が通過するようになるのです。このように、液晶のねじれ構造によって光が通る状態を、光シャッターが開いている状態として使います。

    電圧をかけると液晶の効果が無くなる

    次に、光シャッターを閉じる動作は、液晶に電圧を印加することで行えます。これは、ネマチック結晶に閾値以上の電圧を印加すると、分子の向きが電圧の影響を受けて整列する現象を利用します。

    具体的には、液晶の両端に電圧をかけることで、ねじれ構造を持っている分子を垂直に整列させることで、偏光方向を回転させる機能を失わせるのです。すると、2枚の偏光板によって光が遮光されるため、光シャッターが閉じた状態になります。

    なお、液晶にかける電圧を調整すれば、一部のみの分子を整列させて、中途半端に光シャッターを開くことも可能です。この原理を利用して、液晶ディスプレイでは光量の調節を行っています。

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    液晶ディスプレイとしての応用

    引用:東北東ソー化学株式会社

    最後に、光シャッター効果をどうやって液晶ディスプレイの映像表示に応用しているか解説しましょう。液晶ディスプレイは奥からバックライト、液晶、カラーフィルターを配置した構造となっています。

    バックライトは画面全体から光を照射し、均一な光量を生み出します。そして、その光を画素ごとに区切った液晶とカラーフィルターで光量・色を調整することで、繊細な映像表示を実現しているのです。

    また、液晶構造を制御するため、液晶の前後を電極で挟みこみ、画素ごとに細かく電圧を制御する設計が行われています。さらに、電極を絶縁するためのスペーサーや表面のガラス基板などを追加して、私達のよく目にする液晶ディスプレイが完成します。

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    まとめ

    今回は、液晶とは何かに焦点を当て、主な用途である液晶ディスプレイの説明も含めて解説しました。液晶は、液体でありながら結晶構造を持ち、液体と固体の間の性質を持つ状態のことを指します。

    特殊な構造を持ちながらも用途が見つからず、長期間にわたり活用されていませんでしたが、1960年代に光シャッターとしての用途が発明され、一気に液晶ディスプレイとしての利用が進みました。

    今では液晶ディスプレイの高性能化が進み、ディスプレイの主流として不動の地位を築いています。また、現在の製品では今回お伝えした以外にもさまざまな工夫を行い、性能や消費電力の改善を行っているので、気になる方はぜひ詳しく調べてみて下さい。

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