RTK測位の原理や種類とは?代表的な用途やGPSとの違いも解説!

2025年5月10日更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶位置情報を取得する測位システムの1つであるRTK測位をご存じでしょうか。今回はRTK測位について、高精度を実現する原理や種類、代表的な用途などを網羅的に解説していきます。GPSとの違いにも触れているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
RTK測位とは
RTK(Real Time Kinematic:リアルタイムキネマティック)測位とは、人工衛星を用いる測位技術の中でも特に精度の高い技術のことです。その精度は僅か数cmオーダーであり、リアルタイムで位置情報が取得できることから、土木・建築業や農業などの測量に数多く活用されています。このRTK測位はみちびきを始めとした様々な衛星システムで採用されており、私たちの生活を支えています。
RTK測位を実現する測位手法の原理
RTK測位は、少なくとも2つの受信機を使い、相対測位と搬送波測位という2つの測位手法を用いることで精度を高めています。これらの測位原理について解説します。
相対測位
相対測位とは、基準局と移動局と呼ばれる2台の受信機を使用し、複数の衛星から測位データを取得することで、リアルタイムに誤差を補正して測位する方法のことです。基準局はあらかじめ正確な位置が分かる地点に固定されているため、衛星から取得した測位データと自身の位置情報を比較することで、誤差情報(補正データ)をリアルタイムに算出します。
移動局は車両やドローンなど、測位対象となる機器に取り付けられており、衛星から測位データを、基準局から補正データをそれぞれ受け取ります。補正データには基準局と移動局の測位データに共通して現れる誤差が含まれているため、測位データと差分を取ることで誤差を打ち消し、自らの位置を高精度に測位できるのです。
搬送波測位
RTK測位では搬送波測位と呼ばれる測位方法も併用しています。搬送波測位とは、衛星から送信される搬送波の長さが1周期あたり19cmであることを利用し、受信機が受信した信号の波の数から位置情報を特定する方法のことです。実際には搬送波の数が何個あるかは分からず、衛星との距離もピッタリ19cmで割り切れる訳ではないのですが、一般的な測位技術により数mオーダーの精度で衛星との距離が把握できれば、波の数のおおよその目安は付けられます。そして、複数の衛星と搬送波測位を行えば、条件に合致する搬送波の波の数は絞られるため、結果的に正確な位置が割り出せるのです。
RTK測位は2種類に大別される
RTK測位はRTK-GNSSとネットワーク型RTK-GNSS(VRS方式)の2種類に大別されます。既に解説したように基準局と移動局を組み合わせて測位する方法がRTK-GNSSで、基準局の設置が必要なため導入コストは高いものの、ランニングコストが安いのが特徴です。一方のネットワーク型RTK-GNSS(VRS方式)では、物理的に基準局を設置する必要がなく、国土地理院が提供する仮想的な電子基準点を基準局代わりに利用します。電子基準点の情報はインターネットを通じて取得するため、データ取得に関する契約や通信費などのランニングコストが掛かるのが難点ですが、初期コストが安く手軽に導入できるのが強みです。
RTK測位と関連する用語
人工衛星を利用した測位技術といえば、他にも幾つかの種類が存在します。RTKをより正確に理解するためにも、これらの類似用語との違いについても把握していきましょう。
GPS
人工衛星を利用した測位技術として最も有名なシステムといえば、GPS(Global Positioning System)が挙げられるでしょう。GPSはアメリカが運用する測位システムのことで、元々は軍事目的で開発されたものの、後に民間向けに無償開放されたことで、スマートフォンやカーナビなど様々な機械に利用されるようになりました。GPSの仕組みとしては、複数の衛星から同時に発信される信号を1つの受信機で受信し、信号の伝搬速度や受信に掛かった時間などを計算することで、受信機の位置を割り出します。2台の受信機を使用するRTK測位に比べると精度が低く、10mオーダーの誤差を含むと言われています。
GNSS
GNSS(Global Navigation Satellite System)とは、人工衛生を用いて測位を行うシステムの総称で、日本語では「全球測位衛星システム」と訳されます。GPSやRTKもGNSSの一種であり、日本の衛星測位システムであるQZSS(みちびき)やロシアのGLONASS(グロナス)、EUのGalileo(ガリレオ)、中国のBeiDou(ベイドゥ)など様々なシステムが存在します。
ちなみにGPSのように1台の受信機で測位する方法を単独測位と呼び、2台以上の受信機を使用して測位する方法を相対測位(DGNSS:ディファレンシャルGNSS)と呼びます。RTK測位も相対測位の一種ではあるものの、搬送波測位も併用しているのが、シンプルなDGNSSとの違いです。
RTK測位の代表的な用途
高精度なRTK測位は、主に農作業や自動車の運転、測量などに活用されています。例えば農業では、農薬を散布するドローンや農作業を行うトラクターなどの測位にRTK測位を利用することで、農作業の自動化を図り、広大な農地を持つ農家の負担軽減や効率化を実現しています。
また自動車の運転では、ナビシステムにRTK測位を利用することで、従来のGPSで発生しがちな位置情報のズレを最小限に抑え、精度の高いナビゲーションを実現しています。さらに測量では、農業と同様ドローンカメラの位置制御などにRTK測位を利用することで、測量作業の自動化などを図っています。
GNSSにおける誤差要因
RTKなどのGNSSが測位するデータには、衛星側の誤差と受信機側の誤差、および受信機と衛星間の通信の問題によって生じる誤差が含まれています。衛星側の誤差としては、衛星の軌道情報の誤りによる誤差や、衛星側の時計のズレによる誤差などが該当します。また、受信機側の誤差としては、衛星から送られてきた電波が周辺のビルなどに反射し、複数の受信経路を辿る現象(マルチパス)に起因する誤差や、衛星側と同様に時計のズレに起因する誤差などが挙げられます。最後の受信機と衛星間の通信に起因する誤差としては、電離層や対流圏の存在によって生じる誤差が挙げられます。ちなみにRTK測位では、電離層や対流圏の存在によって生じる誤差を補正することで、より精度の高い測位を実現しています。
まとめ
今回は人工衛星を用いて測位を行うGNSSの中でも、特に高精度な方法として知られるRTK測位について、具体的な原理や種類、用途などを網羅的に解説してきました。興味がある人は、身の回りでRTK測位を活用している機器やサービスを探してみるのも面白いかもしれません。
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