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  • Yコンデンサはコモンモードノイズ対策?ノイズの基本や注意点も解説
  • Yコンデンサはコモンモードノイズ対策?ノイズの基本や注意点も解説

    2024.08.23更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    ノイズ対策として使用される安全コンデンサ。その中にはXコンデンサとYコンデンサがあることをご存知でしょうか。今回はその中のYコンデンサについて、具体的な対策の考え方や使用上の注意点、選定のポイントなどを解説していきます。ノイズに関する基本的な部分やXコンデンサについても触れていくので、ぜひ最後まで読んでみてください。

    Yコンデンサを含めた安全コンデンサとは?

    冒頭でも触れたように、Yコンデンサは安全コンデンサと呼ばれるコンデンサの一種です。そもそも安全コンデンサとは電源ラインのノイズ対策として設置されるコンデンサで、重要度の高さや故障時の被害の大きさから安全規格に準拠したものでなくてはならないため、安全コンデンサと呼ばれます。

    ちなみに安全規格は国によってその認証機関や内容が様々で、例えばアメリカであればアメリカ保険業者安全試験所が策定するUL規格、EUであれば欧州通信規格協会が策定するEN規格などがあり、日本では電気用品安全法が該当します。安全コンデンサにはXコンデンサとYコンデンサの2種類が存在し、それぞれ目的のノイズと回路構成などが異なります。

    Yコンデンサはコモンモードノイズ対策

    コモンモードノイズ対策として使用される安全コンデンサこそがYコンデンサです。コモンモードノイズとは電源ラインと対地間に発生するノイズのことで、ノイズ源が発するノイズが信号線を伝って電源から負荷へと伝搬し、負荷と大地間の浮遊容量を通って大地へ伝搬したのちノイズ源へと還っていきます。

    コモンモードノイズの信号は伝搬方向が一方向に揃っているため、ノイズ信号が発する電磁波が互いに強め合い、電気機器に大きな電磁障害をもたらす恐れがあります。一般的なコモンモードノイズ対策としては、高周波信号を流しにくいローパスフィルタの使用が挙げられ、浮遊容量を流れる高周波ノイズを信号ラインに流れにくくして対策します。

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    Yコンデンサがコモンモードノイズを低減する仕組み

    コモンモードノイズ対策であるYコンデンサは、回路のコモン線や接地線と大地との間に設置してノイズを低減します。Yコンデンサの考え方としては、回路に生じたコモンモードノイズが負荷回路に流れる前に大地へ逃がすことで、ノイズ信号はノイズ源、Yコンデンサ、大地、ノイズ源の順にループ状に流れます。Yコンデンサとして使われるのは丸い形状の青色セラミックコンデンサや四角いフィルムコンデンサが多く、その静電容量はnFやpFオーダーのものが基本です。

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    Xコンデンサはノーマルモードノイズ対策

    ノーマルモードノイズ対策として使用される安全コンデンサはXコンデンサと呼ばれます。ノーマルモードノイズは回路上を流れる信号の流れと同じく、電源から負荷を経由して再び電源へと還ってくる経路で流れるノイズのことです。ノーマルモードでは、ノイズ信号による電磁放射は互いに打ち消し合うため、外部機器への影響はコモンモードノイズほど大きくありません。

    ただ、回路線同士がループ状に配線されると局所的なループアンテナが生まれるため注意が必要です。ノーマルモードノイズの対策としては、ツイストペアケーブルを使用してノイズ同士の打ち消し合いを促進したり、シールドケーブルを使用してノイズ放射を遮断するのが一般的です。

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    Yコンデンサには3つのサブクラスが存在する

    JIS規格ではYコンデンサは橋絡する際の絶縁種類や定格電圧の範囲、試験時に印加するピークインパルス電圧によって、Y1とY2、そしてY4の3つのサブクラスに分類されます。Y1のコンデンサは定格電圧500V以下で橋絡時には二重絶縁又は強化絶縁が必要で、8kVのピークインパルス電圧に耐えうるものと規定されています。一方、Y2のコンデンサは定格電圧150V以上500V未満で、橋絡時には基礎絶縁又は付加絶縁が必要で、1μF以下の容量であれば5kVのピークインパルス電圧に耐えうるものと規定されています。

    また、Y4のコンデンサは定格電圧150V未満で橋絡時には基礎絶縁又は付加絶縁が必要で、2.5kVのピークインパルス電圧に耐えうるものと規定されています。また、基本的にはY1クラスのコンデンサは他の部品と取り替えてはならないことなども規定されています。

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    Yコンデンサ使用時の2つの注意点

    Yコンデンサはその回路構成の特徴から故障時の感電と漏れ電流に注意が必要です。まず回路のコモンラインと大地の間に接続される回路構成上、人間が手を触れる部分と電源ラインを電気的に短絡しているため、Yコンデンサが故障していると感電する恐れがあります。

    また、Yコンデンサは意図的に地絡している素子のため、常にわずかな漏れ電流が流れています。ノイズ対策性能だけに注目すれば静電容量が大きいほど良いものの、あまりに容量が大きいと漏れ電流による新たなノイズ問題や感電の恐れを招くため、nFからpFオーダーの小さい容量の物を使う必要があるのです。

    Yコンデンサを選ぶときのポイント

    安全対策としてYコンデンサを選定することがあれば、回路の定格電圧や想定されるピーク電圧、コンデンサが取得している認証の種類、想定される漏れ電流と周辺への影響などを総合的に考慮して選定するのがオススメです。

    新規回路の定格電圧を確認し、適合するサブクラスのものを選ぶのが基本となりますが、系統の負荷容量や外部回路の容量から万が一の事故時にどれだけのピーク電圧が印加されるかも検討することを忘れてはなりません。また、前述の通りノイズ対策性能と漏れ電流はトレードオフの関係にあるため、ある程度静電容量を決めたらどのくらいの漏れ電流が流れそうか計算し、総合的な性能を見て選定するのが良いでしょう。

    まとめ

    今回はノイズ対策として使用される安全コンデンサのうち、Yコンデンサを中心に解説しました。ノイズ対策とはいえ、意図的に地絡に近い状態を作り出す工夫に驚いた方も多いのではないでしょうか。安全規格についても軽く学べたと思うので、気になった方は他の規格に対する安全規格を勉強してみても面白いかもしれません。

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