プログラマブルICとは?種類・用途・デメリットなどを網羅的に解説!

2025年7月6日更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶電子回路に欠かせないIC(集積回路)の中には、プログラマブルICと呼ばれるものがあるのをご存知でしょうか。今回はプログラマブルICについて、代表的な種類や用途、採用するデメリットなどを網羅的に解説していきます。類似用語についても解説していくので、ぜひ最後まで読んでみてください。
プログラマブルICとは
プログラマブルICとは、内部の論理ゲートの種類や構成をユーザーが自由に書き換えられるICのことで、PLD(Programmable Logic Device)と呼ばれることも多いです。回路を物理的に配線し直すことなく機能を変えられる手軽さから、研究開発や教育、娯楽など様々な用途で使用されています。プログラムできる論理ゲートの数などによって様々な種類があり、安いものであれば数百円程度で販売される製品もあります。
プログラマブルICの代表的な種類
続いてプログラムICの代表的な種類について解説していきます。基本的には扱える論理ゲート数の違いによって分類されるので、それぞれの違いや特徴を理解しておきましょう。
小規模なSPLD
扱えるゲート数が数百個以下程度のシンプルなプログラマブルICをSPLD(Simple PLD)と呼び、PROMやPAL、GAL、PLAなどに細分化されます。最初期のプログラマブルICとして知られるPROMは読み取り専用のメモリであり、ユーザーは1度きりしかデータを書き込むことができません。
PALとGALはプログラム可能なANDゲートと固定のORゲートが組み込まれたSPLDで、PALはヒューズを利用している関係で一度しか書き込みできないのに対し、上位互換となるGALは何度もANDゲートを書き換えられます。そしてANDゲートだけでなくORゲートもプログラムできる汎用性を持ったSPLDがPLAです。
中規模なCPLD
扱えるゲート数が数千個程度となり、SPLDよりも複雑な回路を構築できるプログラマブルICがCPLD(Complex PLD)です。ハードウェア記述言語(通称HDL)を用いて内部回路を設計し、CPLDにデータを転送することで、内部の回路を繰り返し変えることができます。プログラムデータの保存に不揮発性メモリを使用しているため、ICの電源を切ってもデータが消えることがなく、システムが立ち上がるとすぐに使えるのが強みです。
大規模なFPGA
CPLDより更に扱えるゲート数が増え、数万個以上のゲートが扱えるプログラマブルICをFPGA(Field Programmable Gate Array)と呼びます。プログラムデータの保存に揮発性メモリを使用する製品が多いため、CPLDと違いIC電源が切れる度にプログラムデータを転送し直さなくてはなりません。それでもCPLDと比較すると大規模かつ複雑な機能を持たせることができるため、使用条件や実現する機能に応じて、CPLDと使い分けるのが一般的です。
代表的な用途
様々な製品に採用されているプログラマブルICですが、特に好んで使用される用途について解説していきます。
製品の研究開発
プログラマブルICが好まれる1つ目の用途として、製品の研究開発や実験段階における回路設計が挙げられます。これらの段階では具体的な回路仕様が決まり切っておらず、仕様変更が頻繁に発生しますが、汎用ロジックICやASICであれば仕様変更の度にICを入れ替えたり、配線をやり直す手間とコストがかかってしまいます。一方でプログラマブルICであれば、プログラムを書き換えるだけで仕様が変更できるため、仕様変更が多い段階の回路設計に向いているのです。
教育や娯楽
2つ目に挙げられるのが、教育や娯楽としての用途です。教育に関して言えば、プログラマブルICを用いた回路設計では論理回路設計の知識はもちろんのこと、HDLを使用する関係でプログラミングの知識も身につきます。また、1つのICを教材として何度も使い回せるためコスパも良く、優れた教育教材として使われることが多いのです。さらにプログラマブルICを用いた回路設計は非常に自由度が高いため、設計が好きな人にとっては娯楽品にもなり得るのです。
流動的な設計仕様への対応
規格や規制、技術水準が変化しやすい分野にもプログラマブルICは向いています。理由として、汎用ロジックICなどを製品に組み込んだ場合、規制などが変化する度に製品を回収し再設計しなくてはならないのに対し、プログラマブルICを組み込んだ製品であれば、アップデート等によって内部ソフトウェアを書き換えるだけで対応できるからです。実際、過去にはインターネットの急速な発展に伴い、既存の回路性能が急速に陳腐化することを避けるべく、通信分野の機器にプログラマブルICを搭載した事例もあります。
プログラマブルICを使うデメリット
カスタマイズ性の高さから、汎用ロジックICやASICより優れているように見えるプログラマブルICですが、特有のデメリットもいくつかあります。ICを正しく使い分けられるよう、しっかりと理解しておきましょう。
HDLを覚える必要がある
プログラマブルICを用いた回路設計では、通常の回路設計の知識だけでなく、HDLに関する知識も不可欠です。HDLはC言語などの高級言語に比べると難易度が低いと言われているものの、一般的なプログラミング言語とは細かい仕様が異なるため、プログラミング経験者であってもそれなりの学習期間が必要と言われています。そのため、小規模な回路や仕様変更の少ない回路であれば、わざわざプログラマブルICを使わずとも、汎用のロジックICで回路設計した方が手っ取り早いことも少なくないのです。
性能・消費電力・コストが劣る
プログラマブルICはASICと比べて、性能や消費電力の面で劣ります。というのも、プログラマブルICは柔軟な設計に対応できる反面、要求仕様に最適化して作られたICではないため、無駄な構造がボトルネックとなって動作速度を下げてしまったり、消費電力を増加させてしまう恐れがあるのです。また、IC単体の価格についてもASICや汎用ロジックICの方が安価なため、製品として量産する際はプログラマブルICからASICなどに置き換えるケースが多いです。
プログラマブルICの類似用語
プログラマブルICと類似する機器として、汎用ロジックICやASICも知られています。それぞれの意味についても解説します。
汎用ロジックIC
汎用ロジックICとは、ANDやORなど特定の論理ゲートが数個組み込まれたシンプルなICのことで、プログラマブルICと違ってユーザーが内部の論理ゲートを変更することはできません。内部の論理ゲートの種類や数、入出力ピン数の違いによって様々な製品が販売されており、ユーザーは型番によってそれぞれの違いを見分けることになります。代表的な製品シリーズとして、テキサス・インスツルメンツ社の7400シリーズや、RCA社の4000シリーズなどが知られています。
ASIC
ASICとは日本語で特定用途向け集積回路と訳されるICのことで、訳の通り特定の用途に最適化するよう設計されたICのことです。汎用ロジックICと同様、内部回路をユーザーが変更することはできず、製品コストが高い上に汎用性も低く、回路設計にも長い時間がかかるというデメリットを抱えています。そのかわり、目的とする用途に限り高速かつ効率的な動作が可能なため、高い性能が求められるデバイスなどに多く採用されています。
まとめ
今回は内部ゲートの種類や構成をユーザーが自由に変えられるプログラマブルICについて、具体的な種類や用途、デメリットなどを解説してきました。趣味として回路設計を楽しみたい人にも向いているICであるため、気になる方は詳しく調べてみると良いでしょう。
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