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  • SiC半導体のメリットとは?言葉の定義や課題点も解説!
  • SiC半導体のメリットとは?言葉の定義や課題点も解説!

    2025年7月6日更新

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    電子機器に欠かせない存在である半導体は、シリコンを原料として作られるのが一般的ですが、新たにシリコンカーバイドを原料とした半導体が注目されているのをご存知でしょうか。今回は次世代半導体として注目を集めるSiC半導体のメリットを中心に、類似の次世代半導体との棲み分けや現状の課題点、主に使用される分野などを解説します。

    SiC半導体とは

    SiC半導体とは

    SiC半導体とは、シリコン(Si)と炭素(C)が1対1の割合で結合した化合物、通称シリコンカーバイド(炭化ケイ素)を用いて作られた次世代の半導体のことです。従来、半導体の材料といえば99.999999999%もの純度を誇る単体のシリコンが主流でしたが、SiC半導体は後に解説するような優れた特性を持つことから、主にパワーデバイス分野において2000年代前半頃から製品化されています。

    SiCとは

    Si半導体に使用されているシリコンが天然に存在する元素であるのに対し、SiCは天然には存在せず、人工的に作られた物質です。単なるシリコンと炭素の単結晶でありながら、シリコンと炭素の組み合わせ位置の違いによって3C-SiCや4H-SiC、6H-SiCなど多数のポリタイプ(組成は同じだが原子配列が異なる結晶)が存在します。SiCのポリタイプは200種類以上にものぼると言われており、パワーデバイス用途で主に使用されているのは4H-SiCです。

    SiC半導体の歴史

    SiC半導体の素材となるSiCそのものは19世紀末に発見されており、1950年代に単結晶が製造できたことをきっかけに、半導体材料としての研究が始まりました。しかしSiCウェハーの大口径化は難しく、高品質なSiウェハーが1960年代に製造できるようになったことも相まって、半導体素子向けの研究開発は一時陰りを見せ始めます。それでも、1970年代や1980年代にブレイクスルーとなる製造方法が開発されたのをきっかけに、SiC半導体の研究は加速し、パワーデバイス分野を中心に量産されるようになったのです。

    GaN半導体との棲み分け

    SiC半導体の他にも、窒素(N)とガリウム(Ga)の化合物である窒化ガリウム(GaN)を使用したGaN半導体も、次世代の半導体として注目を集めています。SiC半導体は後述する通り高耐圧領域での使用に優れているのに対し、GaN半導体は中耐圧領域での使用に優れており、中でも電子移動速度の速さやスイッチング時の電力消費や発熱量の低さから、主にデータセンターなどの通信分野などで注目されています。なお、現時点ではSiC半導体の方が市場規模が大きく、GaN半導体の市場はそこまで大きくないため、新規参入の障壁があまり高くないと言われています。

    SiC半導体のメリット

    SiC半導体のメリット

    SiC半導体はSiCが持つ物性によって、いくつかの点でSi半導体よりも優れています。具体的な特性にも触れながら解説していきましょう。

    バンドギャップが大きく高温環境下での安定性が高い

    SiCはSiよりもバンドギャップが大きく、高温環境下でも安定した動作が可能です。バンドギャップとは、電子やホールなどのキャリアが価電子帯から伝導帯に移るのに必要なエネルギーのことで、Siのバンドギャップが1.12eVであるのに対し、SiCのバンドギャップは3.26eVもあります。

    バンドギャップが低いと、高温環境下でバンドギャップを超えるエネルギーが与えられた際に、意図せずキャリアが移動する懸念がありますが、バンドギャップが高いSiC半導体であればこれらの懸念は少なく、安定して動作できるのです。

    耐電圧性能が高い

    SiCはSiよりも絶縁破壊電界強度が高く、半導体素子としての耐電圧性能も高いです。具体的には、Siの絶縁破壊電界強度が0.3MV/cmであるのに対し、SiCは約2.8MV/cmと10倍ほど高く、600Vから数千Vもの高電圧を扱えます。

    またパワーデバイスには高電圧から阻止を保護するためのドリフト層が設けられますが、耐電圧性能が高いSiC半導体であれば、従来よりもドリフト層を薄くすることも可能です。パワーデバイスにおける抵抗はドラフト層が占める割合が大きいため、ドラフト層を薄くできれば、オン抵抗による発熱やエネルギーロスも最小限に抑えることができます。

    熱伝導率が高く放熱性能が高い

    SiCは熱伝導率がSiよりも高く、デバイスとしての放熱性能が高いのもメリットの1つです。IGBTなどのスイッチング動作を伴うデバイスでは、スイッチング損失によって素子自体が発熱するため、従来のSi半導体では高周波信号を扱う際の発熱がボトルネックとなっていました。一方でSiCの熱伝導率は約4.9W/cm℃で、Siの1.5W/cm℃と比較して大幅に高く、素子内部で発生した熱を効率よく排熱できることから、スイッチング損失による発熱の影響を気にすることなく、より高い周波数帯で使用できるようになったのです。

    機器を小型化できる

    既に触れたように、SiC半導体はドラフト層やスイッチングによって生じる発熱が少なく、素子そのものの放熱性能も高いため高温になりにくく、バンドギャップの高さも相まって従来よりも過酷な温度条件下で使用できます。そのため必要な冷却能力は少なくなり、冷却機構の省略や高密度な集積化を図ることができます。また、スイッチング周波数を高められることでコイルやコンデンサ、トランスなどの周辺機器のサイズダウンも図ることができ、結果的にSiC半導体を用いた機器は、従来より小型化できると言われています。

    SiC半導体の代表的な用途

    SiC半導体の代表的な用途

    SiC半導体は優れた耐電圧性能や放熱性能により、パワーデバイスで多く使用されています。電力用半導体素子とも呼ばれるパワーデバイスとは、一般的な半導体に比べて高電圧、大電流を扱えるデバイスの総称で、具体的なデバイスとしては、コンバータやインバータ、MOSFETなどが挙げられます。

    また、SiC半導体が使用される具体的な分野としては、新幹線や電気自動車などが挙げられます。電気自動車であれば、高電圧と大電流に耐えうる特徴を活かして短時間で高速充電できる点や、デバイスを小型化できる特徴を活かし、車載重量の低減などに役立っているのです。

    SiC半導体に残る課題

    優れたSiC半導体ですが、現時点ではコストが高い点と、信頼性が低い点が課題として挙げられています。コストに関していえば、ウェハーそのものの価格がSiウェハーのおよそ4〜5倍程度と言われ、製造や大口径化が難しいことも相まって、製造に掛かるコストもSiウェハーより高価です。
    またSiC半導体は結晶欠陥を多く含むため、長期的な信頼性が低いという課題もあります。中でも積層欠陥と呼ばれる欠陥が生じると、通電することで欠陥が拡大していき、抵抗値の増加を伴ってデバイス寿命を短くすることから、特に問題視されているのです。

    まとめ

    今回は次世代の半導体として注目を集めるSiC半導体について、基本的な内容やメリット、課題点などを網羅的に解説してきました。現時点では製造コストや信頼性に課題が残るものの、優れた耐電圧性能などから、今後ますますの市場拡大が予想されています。実際、富士経済の発表によれば、2024年時点のSiCウェーハ市場が1436億円だったのに対し、2035年には約4倍の6195億円に到達すると予想されているため、今後も動向に注目していきましょう。

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

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