デジタル電源とは?アナログ電源との違いやメリットを網羅的に解説!

2025年7月6日更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶電子機器が安定して動作するには、電源装置による安定した電源の供給が欠かせませんが、昨今スマートデバイスなどの台頭によって注目されているデジタル電源をご存知でしょうか。今回はデジタル電源について、アナログ電源との違いや代表的なメリットにも触れながら網羅的に解説します。
デジタル電源とは?アナログ電源との違いも解説
初めにデジタル電源とはどういう電源装置を指すのか、アナログ電源との違いや注目される背景にも触れながら解説していきます。
電源装置とは
まずは、前提として電源装置が何かを解説します。一般的に発電所から各家庭へ供給される電気は、特定の電圧や周波数を持った交流電源であり、ノイズを多く含んでいる上に負荷の急激な変動によって電圧などが乱れることも多いです。一方で我々が普段使用する電子機器は直流電源で動作するものが多く、正常に動作するには電圧などが乱れず安定した電源が欠かせません。
そこで安定した電源を作り出すのに使用されるのが電源装置であり、負荷へ供給する電源を監視しながら、電源が乱れたらフィードバック制御によって出力を適宜調整することで、安定的な電源供給を実現しています。身近な例で言えばパソコンなどを使用する際のACアダプターが電源装置の一種であり、コンセント電源から特定の電圧を持った直流電源を作り出しています。
デジタル電源とアナログ電源との違い
電源装置の構成は主回路と制御回路の2つに大きく分かれています。主回路は任意の電圧や周波数を持った電源を作り出す部分のことで、制御回路は出力電圧を監視しながら必要に応じて出力電源の調整を行う部分です。そしてデジタル電源とアナログ電源は制御回路における制御方式の違いによって区別した名前であり、アナログ電源がPWM方式を用いたスイッチング操作によって制御する電源装置であるのに対し、デジタル電源はマイコンやDSPと呼ばれるデジタル信号処理に特化したプロセッサを使用して制御する電源装置のこと指します。
デジタル電源が注目される背景
現在、スマートフォンなどの電子デバイスは急激な進化を遂げていますが、各種デバイスの動作が高速になるほど負荷の変動も高速になり、電源装置はこれまで以上に素早い負荷変動に対応しなくてはなりません。また、最近では風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用した発電方式が台頭しつつありますが、これらの方式は発電量が天候によって左右されるため調整が難しく、系統全体の電気はこれまで以上に乱れる可能性が高いです。よって昨今の電源装置には負荷の急激な変動と不安定な入力電源の両方に対して高速かつ正確な制御が求められるため、特に高い制御性を有するデジタル電源に注目が集まっているのです。
デジタル電源を使うメリット
続いて、デジタル電源を使用するメリットを解説します。
柔軟な制御により制御性が高い
PWM方式を利用する従来のアナログ電源では、制御に使用する基準電圧や矩形波の周波数などを動的に変えることはできず、制御の速度や内容もこれらの数値に制限されていました。これに対しマイコンを使用するデジタル電源であれば、制御動作をリアルタイムに変化させられるため、従来よりも高速かつ最適な制御が行えるようになります。また、制御に使用するパラメータの種類なども豊富で、四則演算や論理演算などを組み合わせた高度な制御動作も可能なため、総じて制御性が高いと言えるのです。
任意の電源を作りやすい
従来のアナログ電源は、装置の開発者が市販のICを組み合わせて設計するため、電源装置の仕様はICの仕様に制限を受けていました。理論上は製作する電源装置の仕様に最適なICを開発することも不可能ではありませんが、電源装置の開発者がICをイチから作り出すのは現実的ではないでしょう。一方のデジタル電源であれば、マイコンのプログラムを書き換えることで電源装置の仕様を細かく調整できるため、負荷機器のニーズに最適化された電源装置が作りやすくなったのです。
開発期間が短くなる
従来のアナログ電源は複数のICを物理的に組み合わせて回路を構築しているため、仕様を変更するには再度回路設計を行い、物理的な配線作業を行う必要がありました。一方でソフトウェア上で制御内容を記述するデジタル電源であれば、構築した回路を変えなくとも、ソフトウェアの書き換えだけで電源装置の仕様を変えることができるため、新製品の開発や仕様変更に伴う工程を短縮できます。また、シミュレーションソフト上でテストできるため、機器の特性や負荷変動に対する性能評価に掛かる期間も短縮でき、結果的にアナログ電源よりも開発期間を短くできるのです。
高機能化が図れる
デジタル電源はアナログ電源と比べて高機能化も図れるようになりました。具体的には入力側や負荷側と通信する機能を搭載し、負荷側の急激な負荷変動を事前に予測したり、高負荷時と低負荷時で供給モードを切り替えて最適化したり、他の電源装置との通信によって系統全体の電気バランスを最適化することができます。他にも出力電圧や電流、機器温度を監視し、過剰な電源供給を回避して機器の寿命延長に役立てたり、動作時のログを採取して異常時の原因解析や寿命予測に使用する機能も搭載できるようになりました。
多くの製品に適用できる
従来のアナログ電源は負荷となる機器の仕様に合わせて設計されているため、電源の仕様が異なる機器に電源装置を転用することはできませんでした。一方のデジタル電源であれば、事前に複数のプログラムを搭載しておき、通信によって機器に適したプログラムを選択するよう設計することで、電源仕様の異なる機器に同一の電源装置を使うことができます。これにより、開発者は電源仕様に縛られることなく多種多様な製品を開発できるようになり、ユーザー側も機器によって充電器や電源装置が異なる煩わしさから解放されるのです。
アナログ電源に劣る部分も
アナログ電源に比べて性能面で優れているデジタル電源ですが、高性能であるが故の課題もあります。例えば多くの機器と互換性を持たせる場合、ソフトウェアの設計が複雑化してしまう上、複数の動作モードを持つ電源装置であれば、思わぬソフトウェアの誤作動によって機器の破損を招く恐れもあるため、安全対策などを十分に考える必要性が生まれたのです。
また高性能なマイコンを搭載する関係でコストも高騰しがちで、ソフトウェア設計などを外注する場合には委託コストも生じてしまいます。当然、全ての機器の電源装置に機能性を持たせる必要はないため、デジタル電源とアナログ電源の特徴を正しく理解して使い分けるのが理想と言えるでしょう。
まとめ
今回はアナログ電源よりも高性能かつ多機能なデジタル電源について、アナログ電源との違いやメリット、課題点など基本的な内容について解説してきました。スマートデバイスなど負荷側の性能向上だけでなく、再生可能エネルギーの登場も相まって注目されていることが理解できたのではないでしょうか。普段、電源装置について意識したことのない人は、この機会に注目してみることをオススメします。
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