マイクロプロセッサとは?CPUとの違いや歴史も解説!
2024.09.09更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶IC関連で必ずと言っていいほど耳にするマイクロプロセッサ。CPUと同義で語られることも多い用語ですが、どんな内容を指しているのかご存じでしょうか。本記事では、類似用語との違いや歴史、特徴的な関連ワードも絡めて解説していきます。
マイクロプロセッサとは
まずはマイクロプロセッサが何なのか、概要の情報からお伝えしましょう。そもそもプロセッサとは一定の手順でプロセスを行う人やモノのことを指し、ICの世界では手順(プログラム)に従って演算や制御などを行う機能を持つものをプロセッサユニットと呼びます。
そして、当初は複数の部品でプロセッサを構成していましたが、プロセッサユニットの機能を1つのチップ上に搭載したものが登場したため、従来のプロセッサと区別する目的で「マイクロプロセッサ」という呼び名がつけられました。演算をメインで行う部品であるコアや外部回路とデータをやり取りするためのI/Oピン、演算の途中結果などを一時記憶するレジスタなどで構成されます。
CPUやSoCとの違い
マイクロプロセッサの類似用語にCPUやSoCがありますが、これらとの違いについても説明します。まずCPUとはコンピュータ上でメインのプロセッサとして機能する物のことで、1つのマイクロプロセッサをCPUとして使っている場合には2つの単語を同義として扱うことが多いです。
しかし複数のチップや素子でCPUの機能を実装しているものはマイクロプロセッサには該当しませんし、逆に入出力制御などCPU以外の用途で使用されるマイクロプロセッサはCPUとは呼びません。また、マイクロプロセッサを実際に使うにはI/Oデバイスやモデム、メモリなどの周辺機器も必要ですが、これらの複数の機能を1つのチップにまとめ、システムとして完成されたものをSoC(システム・オン・チップ)と呼びます。
マイクロプロセッサの歴史について
次に、マイクロプロセッサがどのように誕生し進化してきたのか、性能の変化にも触れながら解説していきます。
マイクロプロセッサ誕生までの遍歴
マイクロプロセッサが誕生する前は、論理演算を行う素子といえば真空管やトランジスタが主流で、これらを複数組み合わせてプロセッサの機能を実現する必要がありました。しかし1950年代後半になると複数のトランジスタや抵抗素子を一つの素子に実現した集積回路(通称IC)が生まれ、1970年代に差し掛かってさらにプリント技術が進歩すると、1つのIC素子上に1000個以上の論理素子を実装した大規模集積回路(通称LSi)が誕生しました。そしてLSIを1つのマイクロチップ内に収め、プロセッサとして必要な性能を持ったものが実装できるようになると、これをマイクロプロセッサと呼ぶようになったのです。
性能の変化
世界で最初のマイクロプロセッサは、インテルが1971年に電卓用のLSiとして開発したi4004で、4ビットの演算しかできなかったと言われています。その後、年数を重ねるごとにムーアの法則に基づき演算可能なビット数が向上していき、現在は32ビットから64ビットのものが主流となりました。
ちなみにここでいう演算ビットとは一度に処理できるデータの桁数のことで、1ビットなら2択のデータ(0か1か、ONかOFFかなど)、2ビットなら4択のデータ、4ビットなら16択のデータといった具合で指数関数的に扱えるデータが増えていきます。64ビットであれば2の64乗、すなわち1844京6744兆強ものデータを同時に扱える性能と言えるため、初期のマイクロプロセッサに比べて大幅に性能が向上したことが分かるでしょう。
マイクロプロセッサの性能の指標
マイクロプロセッサの性能の鍵を握るパラメータには、演算ビットの他にコア数やクロック周波数などもあります。まず1つのプロセッサに複数のコアを搭載するマルチコアプロセッサの性能を左右するのがコア数で、名前の通り搭載されるコアの数を示します。当然コア数が多くなればプロセッサの性能も比例して高くなるため、性能の良いプロセッサを選ぶ際は意識しておくと良いでしょう。
クロック周波数とは単位時間あたりにコアプロセッサが命令を実行したり信号を伝送する回数をヘルツで表した物です。例えばクロック周波数が10ヘルツなら1秒間あたり10回の動作を行う性能であり、こちらもコア数と同様に数値が大きいほど性能が高いと言えます。なお実際の設計では性能が高いぶん発熱量や消費電力も大きくなるため、必要十分な性能の物を選ぶのが基本です。
マイクロプロセッサの種類
マイクロプロセッサと一言で言っても、中にはGPUやDSPなど特定の演算や制御に特化したマイクロプロセッサも存在します。
GPU
GPUはCGや3D描写などグラフィックに関する制御・演算に特化したプロセッサで、一般的なCPUではメインの演算を担うコアの数が数個程度しかないのに対し、GPUには数千個ものコアが存在します。一見するとコア数の違いからGPUの方が高性能に見えますが、CPUでは1つあたりのコアが幅広い処理が実行できるのに対し、GPUは3Dレンダリングなど映像関連の処理しか実行できません。それでも映像に関する処理に関してはCPUに比べて圧倒的な処理速度を誇るため、画像や映像の処理が必要なシステムでは欠かせないプロセッサと言えます。
DSP
DSPはデジタルシグナルプロセッサの略で、A/D変換器によってデジタル化された信号を受け取り、高速処理するのに最適化されたマイクロプロセッサです。汎用のマイクロプロセッサでもデジタル信号処理は可能ですが、消費電力や物理的なサイズ、価格を抑えつつ高速化を図る目的で使用するケースが多いです。主な用途としては画像や音声の処理や無線信号の変調・復調などが挙げられ、携帯電話などの小型デバイスや自動車などのリアルタイム処理が必要な機器で重宝されます。
マイクロプロセッサにおける2種類の命令アーキテクチャ
マイクロプロセッサの命令に関するアーキテクチャとして、RISCとCISCの2種類が知られています。それぞれの特徴や強みについて理解しておきましょう。
RISCとは
Reduce Instruction Set Computerの略であるRISCは、前半2語の直訳が縮小命令を意味するように、限られた長さのシンプルな命令を主体とするアーキテクチャです。命令自体がシンプルな分、1つ1つの命令の処理速度は速く、命令を並列に処理することで全体の処理速度を速めています。
また命令自体がシンプルなためプロセッサ内部の論理素子も少なく済み、プロセッサ自体のサイズを抑えたり省電力化を図ることができるのも強みです。これらの特徴からRISCベースのマイクロプロセッサは小型化が重要視される組み込みデバイスや、高速性が重要視されるスーパーコンピュータなどに利用されています。
CISCとは
Complex Instruction Set Computerの略であるCISCは、RISCと対をなすように複雑な命令を主とするアーキテクチャです。後追いで誕生したRISCの方がより単純かつ高速だったため、従来のアーキテクチャをComplex(複雑)を冠したCISCの名で呼ばれるようになりました。CISCでは一回の命令あたりの処理速度こそRISCに劣るものの、命令の長さを任意に変えられるため、複雑かつ汎用性の高い命令を下すことが可能です。
一方で複雑な命令を扱う関係で論理素子の数やメモリサイズが大きくなりがちで、消費電力やサイズの面ではRISCに劣ります。これらの特徴からCISCは汎用パソコンに利用されることが多いですが、現在ではそれぞれのいいとこ取りをしたようなデバイスも誕生し始めており、一概にどちらが優れているという物ではないことも覚えておきましょう。
まとめ
今回はIC関連のキーワードとして重要なマイクロプロセッサについて解説してきました。なんとなくCPUっぽいものと曖昧に覚えていた方も、厳密な違いや具体的な内容を理解できたのではないでしょうか。より詳しく知りたい方はさらに他の用語も合わせて勉強することをおすすめします。
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