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【初心者向け】機械設計における図面の記号の意味とは?種類や見方の基礎を学ぼう

2022.02.28更新

機械設計における図面の記号には実に様々な種類があるため、設計初心者の方は混乱することが多いのではないでしょうか?そこで本記事では設計初心者の方向けに、図面記号の種類や見方の基礎をまとめました。これから製図を学ぼうと思っている方は是非参考にしてみて下さい。

機械設計における図面

図面の役割

機械設計において図面の役割は、機械部品や製品(ASSY)の形状や材料、許容される誤差、加工する部品表面の粗さ、部品表面の処理方法(めっきや塗装など)などといった情報を共有するためのツールです。一般的に図面を描く設計者と実際にその部品を加工する人は別なので、設計者が定めた情報を正確に加工者に渡すことが必要です。人によって見方が変わってしまう図面は欠陥品とも言えます。

したがって、図面の描き方は線の種類や記号の描き方などを、「ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)」や「JIS(Japanese Industrial Standards:日本産業規格)」といった、国際・国内の標準で厳格に定められています。

図面の種類

図面の種類はその製品の設計段階によって複数あり、「計画図面」「試作図面」「量産図面」の3種類に分けられます。製品の設計段階は上流から、製品の目標を定める「商品構想」、大きさやデザインといった基礎的な仕様を定める「全体構想」、部品のレイアウトや機構・構造・コストなどを定める「基本設計」、部品単体の情報を定める「詳細設計」に分けられます。

この設計段階の中で、全体構想の段階で製品の形状や大きさ、外形寸法、使用される部品などの基礎的な情報を示すのが「計画図面」です。計画図面は、開発される製品の設計案との見方もできます。次に詳細設計の段階で、実際に作ることができる部品1つ1つまで図面として落とし込むのが試作図面・量産図面です。

試作図面は、計画図面に沿って1つ1つの部品が描かれますが、この段階では計画図に描かれた要求性能を満たしているかの判断が出来ていません。試作図面で描かれた試作品は、CAE解析や試作機を作って実験をすることで要求性能を満たしているかを確認・修正され、実際に製品となる量産図面に改良されます。  

設計段階と主な図面の種類

設計段階 図面の種類 用途
商品構想
全体構想 計画図面 設計者の意図や設計計画を示した図
基本設計
詳細設計 試作図面 量産図面 試作部品の図面 量産品を作るための図面

図面記号の役割

図面には、加工前の部品形状(縦×横×奥行の直方体など)から、どの材料を使い、どの機械を使って加工し、どの程度の精度で穴や面を作り、どの程度の表面の粗さで作られるかが全て記載されています。図面記号は、これら全てを図面の中で表現するためにさまざまな種類の記号があります。

図面記号一覧

以下に図面記号の種類及び用途を一覧表に記載します。図面記号は下表の種類ごとに複数存在しますが、設計者が関係する製品によってある程度使用される記号は決まってきます。したがって設計初心者の方は、まずは自分が扱う製品に使用される、基礎的な記号の意味を数パターン覚えるようにしましょう。

図面記号一覧

図面記号 用途
寸法補助記号 寸法記載の際に、形状の意味を指示する記号
幾何公差 部品形状の精度の許容範囲を指示する記号
表面粗さ 加工表面の粗さを指示する記号

寸法補助記号

寸法補助記号一覧

寸法補助記号はその名前の通り、図面中に、長さや穴径などの「寸法」を記載する際に、その寸法がどの様な形状を示しているかを表す記号です。例えば軸部材が正方形形状の場合は正方形を示す「□:四角」が用いられます。以下に代表的な寸法補助記号の一覧を表示します。

寸法補助記号

記号 記号が示す意味
R 半径
Φ 直径
正方形
SR 球の半径
球の直径
t 厚さ
C 面取り

寸法補助記号使用上の注意点

寸法補助記号は一般的に記号の後に寸法が記載されます。例えば直径30mmの円柱を示す場合には、「Φ30」となります。Φは円の直径を表す記号ですが、正面から見て円形が分かり、寸法線の両端に端末記号(矢印)を使用する寸法にΦは使用しません。また加工方法がドリルやリーマなどの、円形となることが分かる図面にも一般的にはΦは使用されないため、注意が必要です。

また寸法補助記号と一緒に用いられる記号として、「×:かける」があります。×は同じ要素が複数ある場合に使用される記号で、例えば直径15mmの穴が6つある場合には、一つの穴に「Φ15×6」と記載します。図面を見やすくするためにも重要な表記方法です。

幾何公差

幾何公差一覧

幾何公差は、部品形状の「幾何学的な形状を制御するための図面記号」です。幾何公差には「形状」「姿勢」「位置」「振れ」を示す4種類が存在します。また部品形状自体の精度を指定する「単独形態」と、別の面や線に対する精度を指定する「関連形態」に分類されます。上記4種類のうち、「形状」は単独形態、それ以外が関連形態になります。以下に代表的な幾何公差の一覧を表記します。

幾何公差一覧

幾何公差 幾何公差の種類 記号が示す意味
真直度 形状/単独 直線の真っすぐ度合いを示す記号
平面度 形状/単独 平面の凹凸度合いを示す記号
真円度 形状/単独 円の正確さを示す記号
円筒度 形状/単独 円筒の正確さを示す記号
線の輪郭度 形状/単独 輪郭線の正確さを示す記号
面の輪郭度 形状/単独 曲面の正確さを示す記号
平行度 姿勢/関連 2面の平行さを示す記号
直角度 姿勢/関連 2面の直角さを示す記号
傾斜度 姿勢/関連 2面の傾きの正確さを示す記号(直角以外の場合)
同軸度 位置/関連 2つの円筒中心のずれを示す記号
位置度 位置/関連 基準面に対する寸法の正確さを示す記号
対称度 位置/関連 基準面に対する対象度合いを示す記号
同心度 位置/関連 2つの円筒中心のずれを示す記号(中心点)
円周振れ 振れ/関連 回転させたときの任意の円周点の振れを示す記号
全振れ 振れ/関連 回転させたときの表面全体の振れを示す記号

主な幾何公差の使い方

データム

幾何公差の中で「関連形態」の記号を用いるときに欠かすことのできない概念が「データム」です。データムは幾何公差を指定する場合に、その「基準となる線や面」を示します。データムには「平面」「線」「点」の3種類があります。データムで指示される基準線や基準面は、Aからアルファベット順に指定されます。

真直度(形状/単独)

真直度は、「どれくらい正確に真っすぐであるべきか」という真っすぐさの精度を指示する記号です。真直度は、平面ではなく直線に使用され、軸部材の中心線や母線などの曲がり度合いを表す際に使用されます。具体的な使用方法として、長尺物などの反りの許容の指示などがあり、  図面記号は「-」で示されます。

平行度(姿勢/関連)

平行度は、「2つの直線または平面がどれくらい正確に平行であるべきか」という平行度合いの精度を示す記号です。平行度は姿勢を示す関連形態なので、データムで指示された直線・平面に対する平行度合いを表す幾何公差です。具体的な使用方法としては、接地面に対する加工上面の許容の指示などがあります。  図面記号は「//」で示されます。

同軸度(位置/関連)

同軸度は、「2つの円筒の軸がどの程度同軸であるべきか」という中心軸のずれの精度を指示する記号です。同軸度は位置関係を示す関連形態なので、データムで指示された軸に対する一致度合いを表す幾何公差です。具体的な使用方法としては、穴が開いた軸部材の穴位置の許容の指示などがあります。  図面記号は「◎」で示されます。

円周振れ(振れ/関連)

円周振れは、「部品を回転させたときの、任意の円周上の点の振れがどの程度であるべきか」という回転体の円周面のずれ量の精度を示す記号です。円周振れは関連形態なので、データムで指示された円周の軸を回転させたときの振れを表す幾何公差です。具体的な使用方法としては、モーターの軸などの回転体の許容の指示などがあります。  図面記号は「↗」で示されます。    

表面粗さ

表面粗さの指示方法

表面粗さは下図のように、「図示記号」「加工方法」「粗さパラメータ」「粗さ値」「節目方向記号」によって示されます。図示記号には3種類あり、下図のように、逆三角形の場合は表面粗さを滑らかにするための加工をする必要があることを示します。逆三角形の上辺が無い場合は「滑らかにしてもしなくてもよい」、逆三角形の上面が「〇」の場合は「滑らかにしてはいけない」を意味します。また粗さ値は表面粗さの数値を示します。

加工方法

表面粗さ記号の上部には、最終仕上げ時に使用する加工機器の名称を示します。加工者の解釈に誤りが無いと判断できる場合には略しても問題ありません。表面粗さは切削加工の方法によっても異なり、滑らかにしようとすると余計なコストがかかります。設計する部品の主な加工方法を把握し、不必要な表面粗さ指示をしないように心がけましょう。以下に代表的な加工方法を表記します。

代表的な加工方法の図面記号

加工方法の図面記号 加工方法
L 旋削
D ドリル加工
M フライス削り
P 平削り
DR リーマ仕上げ
G 研削
SW のこ引き

粗さパラメータ

粗さパラメータには、一般的に「算術平均粗さ:Ra」もしくは「最大高さ:Rz」が使用されます。算術平均粗さ(Ra)は、ある区間(基準長さ)における凹凸の平均値で、基準長さ間での上下の凹凸の面積が同じとなるように引いた平均線からの距離を示しています。最大高さ(Rz)は、基準長さにおける最大凸部と最小凹部の差分値です。

節目方向記号

節目方向記号は、加工による刃物の「節目方向」を示した記号です。節目は、切削機器の刃物の進行方向によって変わってくるため、加工手順を示した記号とも言えます。以下に代表的な節目方向記号とその記号が示す意味を表記します。

代表的な節目方向記号

節目方向記号 記号が示す意味
= 節目が、記号を指示した図の投影面に平行 例)形削り面、旋盤面
節目が、記号を指示した図の投影面に垂直 例)形削り面、旋盤面
X 節目が、記号を指示した図の投影面に斜め、2方向に交差 例)ホーニング面
M 節目が、多方面に交差する 例)エンドミル削り面
C 節目が、記号を指示した面の中心に対してほぼ同心円状 例)正面研削面
R 節目が、記号を指示した面の中心に対してほぼ放射線状 例)端面研削面

図面記号を理解し分かりやすい図面を描けるようにしよう

機械設計において、図面は分かりやすく複数の見方が出来ないように描くことが基本であり、そのためには図面記号を覚えることは必須です。しかし、普段業務で使用しない記号はなかなか覚えられないのも事実です。機械設計初心者の方でこれから図面記号を覚えていこうとしている方は、業務に使われた図面記号の意味を自分なりの図面の見方で一つ一つ理解し、一歩一歩基礎を固めていくように学習していきましょう。 

 

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