ファウンドリとは?役割や登場した背景をわかりやすく解説!
2024.09.09更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶台湾のTSMCを始め、半導体業界では有名な存在となった「ファウンドリ」。そもそもどんな企業のことなのか分かっていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、ファウンドリの役割と特徴、なぜ登場したのかといった内容を分かりやすく解説します。
ファウンドリとは
ファウンドリとは、様々な用途で使われる半導体チップの製造に特化したメーカーのことです。ファウンドリは独自の製品を持たず、数多くのメーカーから設計データを受け取り、製造を受託することで利益を上げています。半導体製造工程はシリコンウェーハに回路パターンを作る「前工程」と半導体をパッケージする「後工程」に分かれており、前工程のメーカーをファウンドリ、後工程のメーカーをOSATと呼んでいます。
なお、ファウンドリ(foundry)という言葉は「鋳造」や「工場」という意味を持っており、半導体で使われるだけの言葉ではありません。ただ、近年はファウンドリと言えば半導体の製造メーカーであるといった認知が広がっています。
ファブレスとの違い
半導体メーカーにおいては、「ファブレス企業」という言葉もよく聞くと思いますが、ファブレス企業とは製造設備を持たず、半導体チップの設計に特化しているメーカーのことを指します。近年ではアップルやNVIDIAなどの有名企業を始め、ほとんどの企業がファブレス企業になっており、製造をファウンドリやOSATに委託することで製品を作るのが一般的になっています。そのため、ファブレス企業とファウンドリは半導体開発を分業して担当し、協力し合って製品を作りだす関係性にあります。
ファウンドリが登場した背景
ここまで、現在ではほとんどの企業がファブレス化しており、ファウンドリに開発を依頼していることをお伝えしましたが、分業化が起きた背景についても解説します。半導体産業は1950年頃から一気に伸長し、多くの企業が開発を行うようになりましたが、当時は各半導体メーカーが自社で設計も製造も行うのが普通でした。
1980年頃にはTSMCが設立されるなど、ファウンドリとしてのビジネスが始まっていますが、当初は市場規模も非常に小さく、あくまでメーカーの製造能力が足りない場合のみファウンドリが登場するといった程度でした。ただ、その後半導体が急速に進化し始めたことで、非常に速いスピードで製造設備を更新していかなければならない、ということが半導体製造における課題となります。
微細化と複雑化が進むごとに設備投資の金額も大きくなり、一つのメーカーが自社製品のために設備を整えるのには限界を迎え始めました。このような事情により、工場を持たないファブレス企業と、製造のみを担うファウンドリに分かれることで、競争力を高める流れが生じたのです。
ファウンドリは海外企業がほとんど
なお、ファウンドリ市場は現在ほとんど海外企業が独占している状態で、日本企業はほとんど参入できていません。日本では昔から多くの半導体企業が存在感を放ってきましたが、どれも内製での開発・製造にこだわったことから、ファブレス企業、ファウンドリとの競争についていくことができず、ほとんどが撤退しています。
今でも日清紡マイクロデバイス株式会社など、事業の一部としてファウンドリ事業を行っている企業はあるものの、非常に規模は小さいです。近年では、2nmサイズの半導体チップが開発されるなど、半導体製造の技術的な難しさが上がっており、さらにファウンドリの寡占化が進んでいます。
ちなみに日本では2023年に、トヨタ自動車やソニーグループなどが出資して「ラピダス」というファウンドリを設立し、工場を作っています。2nmチップの製造を目標にするなど、最先端の半導体製造事業を行うと言われていますが、その将来性はまだ分からない状況です。
まとめ
今回は、ファウンドリの役割や登場した背景などを分かりやすく解説しました。ファウンドリとは、半導体の製造に特化した会社のことで、TSMCやサムスン電子などの巨大企業が当てはまります。独自の半導体を持たずファブレス企業からの受託でのみ製造を行いますが、半導体業界の分業体制が一般化したことにより、半導体業界に欠かせない存在となっています。なお、日本企業ではファウンドリ事業をメインにしている所はありませんが、2023年にラビダスが設立されたことにより、日本初のファウンドリが登場する可能性がある状況です。業界の変化スピードも激しいため、気になる方は今後の動向を注視するようにしてください。
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