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  • WEEE指令の対象製品や義務内容を解説!RoHS規制との違いも紹介
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    2024.08.28更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    身の回りに溢れる電気・電子機器。その量が増えてきている現状を鑑み、EU域内では電気・電子機器の廃棄に関するWEEE指令が発令されています。そこで今回は指令の発令に至った経緯や目的、規制対象や規制内容などについて網羅的に解説します。

    WEEE指令とは

    WEEE指令とは電気・電子廃棄物を表す単語、「Waste of Electrical and Electronic Equipment」の頭文字を取った指令のことで、名前の通り電気・電子機器類の廃棄物(以後WEEE)の発生を規制するため2003年に発令されました。日本語では「電気・電子機器の廃棄に関する欧州議会及び理事会指令」と訳されるものの、一般的にはWEEE(ウィー)指令の名で呼ばれています。

    WEEE指令はEU域内で適用される指令ではあるものの、日本企業を含めEU市場にWEEEを流通させる可能性がある者は全て指令に従わなくてはなりません。なお、WEEE指令と同時に発令された類似規制にRoHS規制がありますが、こちらは電気・電子機器に含まれる有害物質の使用を制限もしくは禁止する規則ですので、誤解がないように覚えておきましょう。

    WEEE指令発令に至った経緯

    WEEE指令が提案された1998年には約600万トンものWEEEが発生しており、それらの90%以上が有害物質に対する適切な処置を施さずに埋め立てられていました。また廃棄物の量も毎年3〜5%の割合で増え続け、12年後には倍になると予想されていたため、WEEEへの対応は急務とされていました。そこで新たな廃棄物の発生を制限するのはもちろんのこと、再利用やリサイクルも促進し総合的なWEEEの発生を抑制することを目的にWEEE指令が発令されました。

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    WEEE指令におけるリサイクル率とリカバリー率

    WEEE指令では規制事項の表現にリサイクル率とリカバリー率という指標を用いています。リサイクル率はその名の通りWEEEの素材を回収し資源として再利用する割合のことで、一方のリカバリー率は資源の再利用に加えて燃料として使ってエネルギーの形で利用したり、堆肥として再利用する(通称コンポスト)割合も含めた回収割合のことです。WEEE指令では廃棄物のカテゴリ毎にリサイクル率とリカバリー率の目標値を定めていますが、定義からも分かるようにリサイクル率よりリカバリー率の方が低く設定されることはありません。

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    WEEE指令の規制対象となる製品

    従来、WEEE指令の規制対象となるWEEEは10種類にカテゴライズされており、2018年8月の改訂により6種類に再分類されました。改訂以前のカテゴリは①大型家庭用電気製品、②小型家庭用電気製品、③IT及び電気通信機器、④民生用機器及び太陽光パネル、⑤照明器具、⑥電動工具(大型据付産業工具を除く)、⑦玩具やレジャー・スポーツ用品、⑧医療機器(インプラント製品及び感染性製品を除く)、⑨監視及び制御機器、⑩自動販売機の10種で、改訂後は①温度交換装置、②特定サイズ以上のスクリーンを備えた機器、③照明機器、④大型機器、⑤小型機器、⑥小型IT・通信機器の6種となっています。

    カテゴリ①:温度交換装置

    温度交換装置は名前の通り熱交換作用によって対象物を加熱したり冷却する装置のことで、具体的例として分かりやすいのは冷蔵庫やエアコン、ヒートポンプなどでしょう。また、原理的に熱交換を利用している空調装置や除湿装置も該当するうえ、冷凍庫や冷蔵品を自動的に配送する機器、液体や気体の放熱を行う機器であるラジエータなどもこのカテゴリに該当します。

    カテゴリ②:特定サイズ以上のスクリーンを備えた機器

    モニタやスクリーン、および100平方cm以上の面積を持つスクリーンが搭載された機器も規制対象となります。サイズの指定があり分かりづらいですが、専ら映像を映し出すことを目的とする機器は全て該当し、ノートパソコンなどのようにそれ以外の機能を持つ機器でもスクリーンサイズが指定以上であれば該当すると覚えておくと良いでしょう。

    カテゴリ③:照明機器

    3つ目の規制品目は照明機器で、蛍光灯やLEDなど日常生活で使用されるランプ類だけでなく、工場や道路など大規模空間の照明として使用されるメタルハライドランプや高圧ナトリウムランプといった高輝度放電ランプも該当します。但しLEDの前に主流だったフィラメント電球は規制対象には該当しません。

    カテゴリ④:大型機器

    外形寸法が50cmを超えるサイズの電気機器類も規制対象です。寸法による区分のため該当品目が多く、具体例としては洗濯機や食器洗い機、炊飯器、印刷機、コピー機、制御監視機器、太陽光パネルなど多岐に渡ります。ただしカテゴリ①から③のいずれかに該当するものは例え寸法が50cm以上であっても大型機器には該当しません。

    カテゴリ⑤:小型機器

    外形寸法が50cm以下の機器は小型機器のカテゴリに該当します。こちらも寸法による区分のため該当品目は多く、具体例としてはアイロンや掃除機、トースター、ビデオカメラ、電気電子玩具、電子レンジなどが挙げられます。大型機器と同様にカテゴリ①から③のいずれかに含まれる機器は、寸法の条件を満たしても小型機器には該当しません。

    カテゴリ⑥:小型IT・通信機器

    外形寸法が50cm以下のIT・通信機器類も規制対象で、パソコンや携帯電話、GPS、ルーターなどが該当します。カテゴリ⑤と寸法の条件が同一ですが、用途が通信や情報技術のために使用される機器のみ当該カテゴリに該当するため混同しないよう注意しましょう。

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    除外される機器もある

    多くの電気・電子機器が規制対象となるWEEE指令ですが、中には適用が除外される機器も存在します。例えば武器や弾薬、軍需用品、戦争資料など国家の安全保障のため軍事目的で使用される機器にはWEEE指令は適用されません。また宇宙へ送ることを目的に製造され地球へ戻ってくることのない機器も、地球上で廃棄するわけではないため除外されます。他にも研究開発を目的に設計され企業間の取引によってのみ入手できる機器や、大規模な据付産業用工具、一部の医療機器なども規制の対象とはなりません。

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    WEEE指令における生産者に対する義務

    WEEE指令では規制対象となる機器の生産者に対し様々な義務を定めています。具体的には生産者の加盟国の所轄当局に登録すること、生産者が個別もしくは共同スキームへの参加によりWEEEを処理するシステムを構築すること、製品の再利用・解体・リカバリーに考慮した製品の設計を心掛けること、製品の使用者や処理施設に情報を提供するとともに製品のリサイクルを求めるマークを製品に貼付することなどを課しています。

    なおWEEE指令における生産者とは単に電気・電子機器類を製造する事業者だけではなく、自社ブランドのWEEE製品を販売する者、他社が製造したWEEE製品を再販する者、EU内に販売目的で輸入する者なども該当します。WEEE製品を製造していないからといって規制対象から外れる訳ではないことに注意しましょう。

    まとめ

    今回は電気・電子機器の廃棄に関する指令であるWEEE指令について、制定の背景や具体的な規制内容などを解説してきました。EU域内の規制でありながら遠く離れた日本国内の生産者にも影響のある規制であることが伝わったのではないでしょうか。EU域内では記事内でも触れたRoHS規制など他の規制もいくつか存在するため、気になる方は複数の規制を網羅的に学ぶことをオススメします。

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