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スマートシティに取り組む国内の先進事例を紹介!

2023.10.10更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

「スマートシティ」という言葉は2020年代に入って盛んに取り上げられるようになりました。スマートシティの実証実験に取り組む自治体は数多くありますが、どのような取り組み事例があるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、スマートシティ構想に取り組む国内の自治体の事例を紹介していきます。

スマートシティとは?

まず前提として、スマートシティがどのような街かを説明しましょう。内閣府によると、スマートシティは「ICT 等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域であり、Society 5.0の先行的な実現の場」と定義されています。

要約すると、IoTやAIなど、最先端のデジタル技術を活用して、人々の暮らしに寄り添った都市計画を行う街のことです。高齢化や安全面の課題など、さまざまな社会問題を解決できることから注目が集まっており、多くの都市で実証実験が行われています。

スマートシティの定義や仕組み、日本における取り組みについてより詳しく知りたい方は「スマートシティとは?基本的な定義と日本の取組状況を解説!」で解説しているのでご覧ください。

国内の先進事例5選

スマートシティに取り組む自治体は日本各地にありますが、今回は5つの自治体の事例を紹介します。

TOYOTA WOVEN CITY(静岡県裾野市)

TOYOTA WOVEN CITYは、トヨタ自動車が静岡県裾野市に建設中のスマートシティです。この都市は「リアルな生活環境への自動運転、MaaS、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、AI技術などの導入・検証」を目的として作られています。

本プロジェクトは2020年に概要を発表、2021年に建物の建設を始めている状態であり、完成時期は公表されていません。しかし、非常に先進的な取り組みを積極的に行っていることから、世界中の企業や研究者がプロジェクト参画しており、協業が着々と進んでいます。TOYOTA WOVEN CITYにおける主な構想は以下の通りです。

自動運転、ゼロエミッションに向けた街づくり

まず、街のインフラ作りにおいては、自動運転とゼロエミッションが実現しやすい形に最適化されています。道路は車両や歩行者の種類ごとで3つに分類され、自動運転と安全を両立しています。

  • ・スピードが速い車両専用の道
  • ・歩行者とスピードが遅い車両の道
  • ・歩行者専用の道

 

また、街の建物は主にカーボンニュートラルな木材が使用され、屋根には太陽光発電パネルが設置されます。電線などの地下に設置して電柱をなくすといった、次世代のインフラ構築も実践します。

生活の質の向上

住民の生活をサポートし、暮らしの質を向上させるための取り組みも計画されています。まず、IoTとAIの組合せにより、健康状態を自動でチェックするなど、日々の暮らしの利便性や安全性を向上することが可能です。

また、室内用ロボットなどの新技術の検証を行うほか、街の中心や各ブロックに作られた公園・広場によって地域のコミュニティを形成するといった取り組みも行われます。

住民の参画によるタイムリーな発明の促進

TOYOTA WOVEN CITYは2000人程度の住人が住むことを想定していますが、その中には社会問題を多く抱える高齢者、子育て世代と共に、社会課題の解決に向けた発明を起こす発明家が入っています。現地でタイムリーな発明を起こし続けることで、最先端の技術が生まれる「未完成な都市」として存在感を放ち続けることが想定されます。

沖縄県宮古島市

宮古島では、離島型スマートシティのトップランナーとして、数々の先進的な取り組みが行われています。中でも、大きな項目は省エネルギー化の実現と、高齢化社会をサポートするモビリティの2つです。

エネルギーコストの低減

宮古島は離島で燃料の輸送コストが非常に高いため、エネルギー消費に対する住民の負担が大きいという問題があります。この問題を解決するために取り組まれているのが、EMS(エネルギーマネジメントシステム)を島全体に導入したエネルギー消費の最適化です。

不要な電力を減らすのはもちろん、需要家のピーク電力を制御することで電力の需給バランスを保ち、最終的には再生可能エネルギーのみで電力供給を賄う計画が進んでいます。

相乗りタクシーの運行

宮古島では公共交通機関が少なく、高齢化が進む中で交通弱者が増えつつあります。また、有名な観光地として毎年多くの観光客も訪れますが、タクシーの数に限りがあり需要に対応しきれないことも大きな課題です。そこで、宮古島市では相乗りタクシーを街中で走行させるという方法で、これらの課題解決を目指しています。相乗りタクシーは電話・アプリで予約でき、自宅やホテル前など、乗降場所も幅広く設定可能です。

乗降場所の選択肢が多く、相乗り制にすることで費用も抑えられるため、モビリティ不足の解決につながるとして期待されています。この取り組みは2022年4月に宮古島市内で実証実験を行い、その後の取り組みは公表されていませんが、モビリティを解決するモデルケースとなる日も近いかもしれません。

静岡県静岡市

静岡市では、細かく土地の測量を行い、仮想空間に3次元点群データとして再現する「VIRTUAL SHIZUOKA」サービスを提供しています。VIRTUAL SHIZUOKAはオープンデータ化され、ネット上で誰でも利用可能です。官民を問わず、自動運転車(デマンドタクシー)による観光客の移動支援の他、災害時やインフラの維持管理に役立てられています。

また、2021年に発生した熱海の土石流災害では、有志がデータ解析を行い知事に伝えることで、迅速な状況把握を実現しました。オープンデータを使った観光政策のアイデア募集なども実施しており、VIRTUAL SHIZUOKAをもとに新しいイノベーションが生まれることが期待されます。

長崎県五島市

長崎県の離島である五島市においては、脆弱な医療体制の改善とエネルギー利用の最適化を目指し、スマートシティ化を推進しています。

オンライン診察・ドローンを使った医療体制改善

五島市では有人11島のうち6島で医者がおらず、医療提供体制が脆弱です。高齢化も進んでおり、医療体制を改善することが急務ですが、従来の定期船で医師を派遣する形態では対応に限界があるという課題がありました。そこで、五島市ではロボットやタブレット端末を利用したオンライン診察やドローンによる検体輸送の体制を整えることで、医師が島にいなくとも診察を受けられるサービスを構築しています。

効率的な再生可能エネルギーの地産地消

離島において、石油系エネルギーはコストが非常に高いです。そのため、再生可能エネルギーへの転換を行い、島民の経済的負担を軽減する計画を進めています。平時・非常時の電力需要に対して最適な供給量の調整を実現するためのエネルギーマネジメントにも注力しています。特に災害時などの対応として電気自動車の普及を強力に推進しており、電気自動車の普及率は全国でもトップクラスです。

作業の自動化による省人化

高齢化による人手不足も五島市における課題の一つです。IoTなどの導入による作業の自動化を計画しており、その一つとして、水道検針作業をスマートメーターの導入により自動化する計画が進んでいます。

茨城県つくば市

茨城県つくば市で行われているのは、モビリティと医療に関する実証実験です。筑波大学とつくば駅周辺を走るバスが対象であり、「キャンパスMaaS」「医療MaaS」という二つの事業項目に分かれています。

キャンパスMaaS

「キャンパスMaaS」は、キャッシュレス決済によるバスの利便性向上と、AIによる人流予測を同時に実現するための取り組みです。バス停に顔認証システムを用意し、バス乗降時に個人を特定してキャッシュレス決済に繋げます。同時に匿名化した履歴をデータ化してAIで分析、バス運行スケジュールの最適化に向けて活用します。

医療MaaS

医療MaaSは、高齢者や障がい者が安全・快適に移動できる街の実現を目指し、市内各所で実証実験が行われている取り組みです。スマートフォンのアプリで呼び出した「AIデマンドタクシー」の乗車中に顔認証を行うことで、患者データが病院に送られ、受付を省略して受診できるようになります。

患者側はすぐに診察してもらえますし、病院側は予め患者のデータを確認できるので、双方にメリットがあるシステムと言えるでしょう。その他、バス乗降時の顔認証によって病院受付ができたり、診療費会計処理ができたりするサービスもあります。

まとめ

今回は、スマートシティに取り組む国内の事例を5つ紹介しました。スマートシティに関するプロジェクトはまだ始まったばかりであり、今後この動きはますます広がっていくでしょう。実際、今回ご紹介した自治体以外にも様々な自治体で既に取り組みが行われています。私たちの暮らしをより良いものにしてくれるスマートシティの取り組みには今後も目が離せません。

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