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自動運転の鍵を握る「V2X」とは?種類や導入に向けた課題を紹介!

2023.10.10更新

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この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川

長谷川

FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

「V2X」は自動車の安全性・利便性を向上させる次世代の技術です。特に自動運転にとっては鍵となる技術であることから、積極的に世界中で開発が進んでいます。本記事では、V2Xの目的や種類・導入に向けた課題について解説します。また、V2Xの実現により自動車がどのように変わるのかも紹介するので、併せて参考にしてください。

V2Xとは

V2Xは「Vehicle to everything」を略した言葉で、車とあらゆる機器を通信でつなぎ、相互連携する技術のことです。車にはさまざまなセンサーが搭載されていますが、車に搭載するだけでは検知範囲や性能に限界があります。そのため、車の外にあるセンサーの情報を取得し、走行時の安全性や快適性をより高めるニーズが増えており、解決策としてV2Xが提唱されました。

例えば、V2Xが実現すれば、周囲にある監視カメラの映像を使い、車の死角から来る人や車を検知できます。また、交通情報がリアルタイムで更新できるようになるため、車両間でスピーディな状況把握が可能となり、協調性を保った自動運転が可能になるでしょう。このように、V2Xの導入により安全性・利便性が高まることから、自動運転車の実現や、ドライバーへの運転支援技術の向上を目的として開発が進められています。

V2Xの種類

V2Xは指し示す範囲が広すぎるので、接続するものに合わせてV2V、V2I、V2P、V2Nという4つの分類が行われています。ここからは、種類別でどのような機能を持つかや、開発の状況、現在の課題などを紹介していきます。

V2V(車両と車両)

V2V(Vehicle-to-Vehicle)は、通信機器を搭載した車両同士で情報交換を行い、走行時の安全性を向上させる技術です。目視やセンサーで感知できない車両を検知できるほか、後方からの追い越しや前方車両のブレーキ情報なども共有できるので、車同士の追突・衝突事故の防止がより確実になります。

また、遠方の渋滞状況や緊急車両の接近などといった情報も共有できるため、よりスムーズで安全な運転が可能となります。V2Vは実用化がすでに始まっているため、近い将来には自動車の運転状況を大きく変える存在となるでしょう。現在はV2Vを搭載した車両が少ないため、活用の幅が限られていますが、普及に伴い大きな効果が実感できるはずです。

V2I(車両とインフラ)

V2I(Vehicle-to-Infrastructure)は、車両とインフラ間を通信させる技術です。車両に搭載された通信機器と、道路側の機器(主に信号)で情報交換を行うことで、安全性や快適性を強化します。例えば、ドライバーが赤信号を無視しようとした時や、信号右折時に対向車や歩行者に気づかず発進しようとする際に警告音を発し注意喚起します。また、赤信号の待ち時間を表示して発進準備を促すシステムなどへの活用も可能です。

そんなV2Iですが、既に一部では実用化が進んでいます。ただ、インフラの整備が必要となるため、現段階では限られた地域にしか導入されていません。

V2P(車両と歩行者)

V2P(Vehicle-to-Pedestrian)は、車両と歩行者を通信させる技術です。歩行者の所持するスマートフォンと車両に搭載された通信機器で情報交換を行い、衝突事故の回避を行います。位置情報の把握にはGPSを使い、歩行者や自転車との距離や進行方向などを検知することで、事故を未然に防止できます。ただ、V2Pを実現させるには、GPSの精度を高めつつ導入コストを下げる必要があるため、現状での導入は難しいといえるでしょう。

V2N(車両とネットワーク)

V2N(Vehicle-to-Network)は、車両とさまざまなネットワークを通信させる技術です。地図情報、道路状況のリアルタイム更新や、エンタメコンテンツの受信など、V2Nによって利便性が高まり、より快適な走行が可能となります。海外ではカーナビなどでV2Nの導入が進んでいますが、日本は未だに導入が遅れている状態です。高度な自動運転の実現にも欠かせない技術なので、今後の発展と普及が期待されます。

V2X導入実現に向けた課題

上記で紹介したように、V2Xにはさまざまな種類があり一部は実用化されていますが、社会全体に普及するには多くの課題があります。ここでは、V2X導入実現に向けた主な課題についてみていきましょう。

V2X対応機器の普及不足

まず、V2Xの導入を実現するためには、各機能を搭載した車両や周囲機器を増やす必要があります。仮に自分の車がV2Xを搭載していたとしても、相手側が対応していなければ通信できないため、機能を活かせません。実際、日本でV2Xが実用化されている車両や地域は限られている上、搭載するにも別途で費用がかかります。まだV2Xが開発途中であり、現段階では役立つ場面が少ないことから、導入を選択しない消費者も多いでしょう。

通信技術の向上・インフラの整備

V2Xが実現されれば、車両とあらゆるものを通信技術でつなぐため、扱う情報は膨大になります。そんな情報を確実かつリアルタイムにつなぐには、より高度な通信技術の開発が必要です。日本で普及が進む5G通信は、高速で大容量・遅延を軽減・多数同時接続可能といった特徴を持ち、V2Xを支える技術として期待されています。ただ、普及にはまだ時間がかかるため、V2Xへの利用にも時間を要すると考えられます。

また、インフラの整備も重要課題です。信号や監視カメラ・踏切や各種センサーなど、車両と通信可能な機器を整備する必要があります。インフラ整備にかかるコストも大きいため、財政が厳しい地域にとっては、導入は難しいでしょう。

国や地域ごとの周波数の違い

V2Xの開発・導入は世界中で進められていますが、国や地域ごとに周波数が異なるのも課題の1つです。現時点での日本の周波数は、他の主要国とは異なっています。周波数帯が異なると、無線機の基本設計やアンテナが変わってきてしまうため、世界と足並みが揃わなくなります。日本のV2X導入に向けて、周波数帯の選択も課題となるでしょう。

まとめ

今回は、V2Xの種類や期待されるメリット、導入実現に向けた課題について解説しました。V2Xは車両とあらゆるものを通信でつなぐ技術であり、通信相手の違いによりV2V・V2I・V2P・V2Pの4つに分類されています。V2VやV2Iなど一部の技術は実用化されており、車両の安全性や快適性の向上が期待されています。

ただ、V2Xを社会全体に普及させるには、V2X対応機器の増加や通信技術の向上、インフラの整備など、多くの課題を解決しなければなりません。また、日本の中だけでなく世界との足並みを揃えるために、周波数の見直しも必要となります。V2Xの導入には多くの課題があるものの、実現されれば安全かつ快適で便利な未来が訪れるでしょう。

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