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パワー半導体とは何か?半導体との違いや動作についてわかりやすく徹底解説!

2021.10.19更新

半導体は電気製品を動作させる上で必要不可欠な部品です。その半導体の種類の一つにパワー半導体があります。 パワー半導体とは半導体の中でも大きな電流や電圧を扱える部品です。 今回はパワー半導体について電気電子分野に関する知識がない方にもわかりやすく解説します!

半導体とは

半導体とは電気製品を動作させるために必要な部品です。物質は「導体」「絶縁体(不導体)」「半導体」の3つに分けられます。導体とは電気を通しやすい物質、絶縁体(不導体)とは電気を通しにくい物質です。導体と絶縁体の中間の性質を持った物質を半導体といいます。半導体は数ある元素のうち、数種類の物質でしか作ることができません。

もっとも利用されているのはシリコン(ケイ素)と呼ばれる材料です。シリコンとは地球上で酸素の次に多い物質です。自然界のシリコンは他の物質と混ざった状態で存在しています。シリコンを半導体として利用するためにはシリコンの純度を高めることが必要です。

99.999999999%(イレブンナイン)の純度のシリコンが半導体製作に求められます。イレブンナインとは”9″が11個もつづくことから、そう呼ばれています。半導体もその用途によって種類が異なります。半導体にはダイオードやトランジスタ、これらを組み合わせたIC(集積回路)などがあります。半導体が持つ機能は以下の通りです。

半導体の機能

  • 一方向にだけ電流を流す(整流)
  • 電気の信号を大きくする(増幅)
  • 電気を流したり止めたりする(スイッチング)

上でご紹介した主な3つの機能を組み合わせてIC(集積回路)を作り、目的とする動作を行えるようにしています。洗濯機やテレビ、スマートフォンなどの製品には全て半導体が使われていています。 今回のメインテーマであるパワー半導体も半導体のうちの一つですが、通常の半導体とは違う用途で用いられることが多いです。次の章でわかりやすく解説します。

パワー半導体とは

パワー半導体とは半導体の種類の一つです。ICなどで使われている半導体は数値の計算を行う「演算」やデータを保持しておく「記憶」の用途に使われていますが、パワー半導体は電力の制御や変換に利用されることが主になっています。

パワー半導体は別名「パワーデバイス」とも呼ばれています。この章ではパワー半導体とは何か、一般的な半導体との違いについて大まかに解説していきます。その後でパワー半導体の具体的な用途についてわかりやすくお話しします。

パワー半導体の基本知識

パワー半導体の動作原理は一般的な半導体と同じです。パワー半導体とは半導体の中でも電力の制御や変換に特化したものをいいます。演算や制御に特化したICよりも高い電圧に耐え、高い電流を制御できるように作られています。一般的な半導体で作られるICが「知能」だとするならばパワー半導体とは「筋肉」というものがあります。電気エネルギーを効率よく利用して、電気製品を動作させるための部品がパワー半導体です。

発電所から家庭に届く電気の電圧は100Vもしくは200Vですが、電気製品には大きすぎてそのままの利用は不可能です。さらに、交流電力から直流電力に変換する必要があります。電圧の大きさを変更(変圧)して、交流電力から直流電力に変更するコンバータの役割を担うのもパワー半導体です。省エネがとても意識される時代ですが、パワー半導体に必要なこととは、”電力の変換をいかに効率よく行えるか”ということです。

前の章では半導体とはシリコンで作られていることが一般的であることをお話ししました。パワー半導体では、シリコンに別な物質を加えてもっと性能が上がらないかという研究が熱心に行われています。最近では、シリコンに炭素を加えて作られたシリコンカーバイドが新しい時代のパワー半導体の材料となるのではないかと注目されています。

パワー半導体と一般的な半導体の違いとは

パワー半導体と一般的な半導体の違いは以下の通りです。

利用の用途

”演算などに利用される半導体とは「頭脳」でパワー半導体とは「筋肉」だ”という例えがよく用いられることを前にお話ししました。この例えの通り、パワー半導体は一般的な半導体とは利用の用途が大きく違います。スマートフォンやパソコンなどは誰しもが一台は持っている時代となりました。これらの機械では「演算」や「記憶」する機能がないと使い物になりません。

スマートフォンやパソコンなどの電子機器に搭載するためのICは大きな需要があり、大量生産が求められます。一方でパワー半導体は家電製品などにも用いられますが、主力となるのは産業分野での利用です。産業機器に必要なパワー半導体は大量生産というより一つ一つの産業機器に見合った性能で作られることが必須の条件です。このように利用の用途もしくは活躍の現場が異なることで生産体制にも違いが生まれています。

半導体のサイズ感

演算・記憶に利用するICは小型化かつ多くの機能を詰め込もうと設計されています。サイズ感としては大きくても数センチ四方でしょう。それとは違い、パワー半導体は利用されるシーンが家庭用の機器から産業用の機器までと幅広いのが特徴です。大きな電力を扱えるパワー半導体ほど形は大きくなるためサイズはさまざまです。一口サイズのクッキーほどの大きさのものから500mlのペットボトルぐらいの大きさのものもあります。

使用する電力の大きさ

演算用のICは非常に小さな電力でも動作します。これに対してパワー半導体は小さな電力から大きな電力まで扱う必要があります。パワー半導体とは電圧の制御にも用いられる部品ですので、大きな電力に耐えられないとその役割を担うことができないからです。産業機器に搭載されるパワー半導体は工場用の大きな電力を使用します。ニーズによって使用する電力の大きさが異なるのもパワー半導体の特徴です。

パワー半導体の機能とは

この章ではパワー半導体の機能とは何かについてわかりやすく解説します!知っておくべき機能を以下にまとめました。パワー半導体は電力を効率よく利用するために用いられています。パワー半導体のそれぞれの機能について具体的な例を挙げながらお話しします!

パワー半導体の機能

  • 直流と交流の変換
  • 直流電圧の変換
  • 周波数変換

直流・交流の変換

電源は2種類あります。それが「直流電源」と「交流電源」です。直流電源とは、時間によって電流の大きさが変わっても流れる向きが変わらない電源のことを言います。身近な例では乾電池などは直流電源です。一方で交流電源とは、時間によって電流の流れる向きと大きさが変わる電源です。家庭のコンセントは交流電源です。

家庭で使われる電気製品はほとんどが直流電源で動作する仕組みとなっています。では家庭のコンセントは交流電源なのに、電気製品のプラグを差し込んで動作するのはなぜでしょうか。これはパワー半導体のおかげです。

コンバータとインバータについてお話しします。 コンバータとは交流電源を直流電源に変換する部品でパワー半導体が用いられています。コンバータを介することによって、交流電源を直流電源に変換して製品に利用することができるのです。 インバータとは逆に直流電源を交流電源に変換するもので、これにもパワー半導体が利用されています。 パワー半導体とは交流電源と直流電源を変換する機能を持っています。

直流の電圧の変換

家庭用電源を電気製品に利用するためには交流電源から直流電源への変換が必要であることをお話ししました。そこで必要となるのはコンバータです。しかし、コンバータによって交流から直流に変換された電力はまだそのままでは利用できません。その理由とは、製品によって利用できる直流電圧の大きさ(定格電圧)が決められているからです。定格電圧とはその製品を安全に使用するための最大電圧のことをいいます。

直流電圧の大きさを変更する部品がレギュレーターです。レギュレーターとは電圧を制御する部品で、これにパワー半導体が用いられています。パワー半導体のスイッチングの機能を用いています。スイッチングとは電気を流したり止めたりする作用のことです。必要な電圧になるまでスイッチをオンにし、それを超えたらオフにする…という動作を高速で行うことで一定の電圧になるように保ちます。

周波数変換

パワー半導体には周波数を変換する機能があります。周波数とは1秒間に交流電源の電圧の向きが変わる回数のことをいいます。例えば周波数50Hzの電源であれば、1秒間に50回も電圧の向きが変わることになります。

日本では西日本と東日本で電源周波数が違います。西日本は60Hzで、東日本は50Hzです。50Hzにしか対応していない電気製品は60Hzでは利用できません。ですがそのようなシーンはあまり見かけませんね。それは、電源の周波数変換回路が製品に組み込まれているからです。製品を西日本でも東日本でも使えることはパワー半導体のおかげなのです。

パワー半導体の種類

この章では代表的なパワー半導体の種類についてわかりやすく解説します。

バイポーラトランジスタ

バイポーラトランジスタとはトランジスタの種類の一つです。一般的にトランジスタと呼ばれているのはこのバイポーラトランジスタを指すことが多いです。バイポーラトランジスタは集積回路にも利用されますが、もちろんパワー半導体として電圧の制御にも使われます。今現在では、次に紹介するMOSFETの方が小消費電力などの理由から主流になりつつあります。

パワーMOSFET

パワーMOSFETとは電圧の制御に特化したMOSFETのことです。MOSFETとは集積回路にも使われている部品で、日本語では「金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ」といいます。シリコンの表面を酸化させて膜を作り、そこに金属を取り付けて電極にする作りとなっています。基本的なトランジスタよりも低消費電力であることが特徴の一つです。小型化が可能なため、小さい製品への搭載に向いています。

パワー半導体の主な役割とは電圧の制御です。電圧の制御をするためには半導体のスイッチングという特性を利用します。パワーMOSFETは高速にスイッチのON/OFFを切り替えられる特徴があります。簡単にいうと動作速度が速く、細かい電圧の制御にも対応できるということです。デメリットは大電流での利用には向かない点です。

IGBT

IGBTとは日本語で「絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ」といいます。バイポーラトランジスタとパワーMOSFETを組み合わせたようなつくりで、それぞれの特長を生かすために開発されました。IGBTのスイッチングの速度はパワーMOSFETに劣ってしまいますが、その分大きな電圧にも耐えられる半導体です。大電流高電圧を制御しなければならない電子レンジやエアコンもしくは産業機器にはIGBTがかかせません。

まとめ

この記事ではパワー半導体とは何かについて解説してきました。パワー半導体とは半導体の一つで、電圧の制御に特化した半導体です。一般的な半導体より高電圧大電流に耐えられる特徴があります。代表的なパワー半導体としてパワーMOSFETやIGBTなどについても触れ、どのようにして使われているのかもお話ししてきました。どの製品にもパワー半導体は使われており、より効率の良いものを作ろうと日夜研究されています。

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