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  • サイクルタイム・タクトタイムの違いと計算方法をわかりやすく解説!
  • サイクルタイム・タクトタイムの違いと計算方法をわかりやすく解説!

    2024.08.20更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    サイクルタイムやタクトタイムという言葉を聞いたことがあるでしょうか?工場の製造能力や期限までの余裕時間を表す言葉で、工程を管理するエンジニアが覚えておくべき重要な用語です。しかし、実際の現場ではこれらの単語の意味を理解できておらず、工程の最適化もできていない工場が多く存在します。

    そこで今回は、工程の管理・改善を行うエンジニアが覚えておくべきサイクルタイムとタクトタイムについて、言葉の意味や計算方法、違い、短縮する上でのポイントについて解説していきます。

    サイクルタイムの意味と計算方法

    サイクルタイムとは工場の生産能力を表す言葉で、1つの製品を製造するのにかかる実稼働時間のことです。計算式は「実稼働時間/生産数」で表され、品質の担保や作業性の向上を目的に行われる製品検査や機械の定期メンテナンス、作業員の休憩時間などの実稼働時間以外はサイクルタイムに含まれません。

    例えば120時間掛けて100個の製品を製造している工場を仮定します。製造工程のうち10時間が作業員の休憩時間、5時間は定期的な機械のメンテナンス、5時間は製品の検査工程とすると、この時の実稼働時間は非稼働時間を除いた100時間となります。よってサイクルタイムは100時間/100個となり、製品1個を作るのにかかるサイクルタイムは1時間となります。

    繰り返しですが、サイクルタイムには作業員の休憩時間や機械のメンテナンス時間は含まれていないため、機械が正常稼働して製品製造すれば、この工事は製品1個あたり1時間で製造できる、という意味になります。

    タクトタイムの意味と計算方法

    タクトタイムは1つの製品製造に掛けられる時間の目安を表す言葉で、納期に間に合わせるために許容できる稼働時間を指します。計算式は「総稼働時間/生産必要数」で表され、生産必要数はさらに「納期までの日数/必要納品数」で表されます。サイクルタイムとは違って総稼働時間には休憩時間やメンテナンス時間などの非稼働時間も含まれており、計算によって求められたタクトタイムを遵守すれば、顧客が要求する納期と納品数を満たすことができます。

    例えば1000個の製品を納期100日で要求されていると仮定すると、必要生産数は1000/100=10個/日です。工場の稼働時間が8時間(28,800秒)とすると、タクトタイムは28800/10=2880秒=48分と求められます。タクトタイムには作業員の休憩や検査工程などの実製造作業以外の時間も含まれるため、今回の顧客が要求する納期と納品数を守るには、諸々の余分な時間を含めて48分以内に1つ以上製品を製造する必要がある、ということが分かります。

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    サイクルタイムとタクトタイムの違い

    サイクルタイムとタクトタイムは製品を1つ製造するのにかかる時間、と考えられがちですが、実際には目的の異なる別の時間です。製品の製造能力を示すサイクルタイムは、あくまでも製品を製造できる理論的な限界値であり、顧客要求に関係なく工場としてどこまで製造できる能力があるか、という視点の数値です。既に説明したように機械のメンテナンスや作業員の休憩が含まれていないため、外乱が発生するとサイクルタイムと実際の製造時間に大きな乖離が生じる恐れがあります。

    一方のタクトタイムは、顧客の要求する納期や納品数が起点となった製品製造の許容時間であり、顧客要求を満たすために守るべき指標としての時間です。サイクルタイムとは異なり、休憩や製品検査、メンテナンス、不具合による遅れなど実際の製造工程における外乱も考慮しています。現実的な視点の数値となるため、導き出された数値をそのまま工程に当てはめて使うことが可能です。

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    サイクルタイムとタクトタイムの関係

    サイクルタイムとタクトタイムは工場の生産能力を決める重要な指標であり、その大小関係によって工場の生産状況が分かります。まず、サイクルタイムとタクトタイムは極力近い数値になるのが理想的です。しかし、実際にはこれらの数値を合致させることは困難で、顧客要求の変化や設備の故障等による生産能力の変動、従業員数の増減など、様々な外乱によって関係性が変化します。

    サイクルタイムがタクトタイムよりも大きい時は、要求される生産能力に対して工場の生産能力が不足している状態と言えます。工場をフル稼働しても追いつかず、納期遅れなどにより顧客からの信用を低下させてしまう恐れがあります。また、無理に生産しようと休憩時間を減らしたり、必要な検査やメンテナンスを省略するなどの不健全な状態に工場が陥りやすい状態とも言えます。

    一方でサイクルタイムがタクトタイムよりも小さい時は、必要な生産スピードを上回る生産能力があることを意味します。工場として余裕のある状態なので、一見すると良い状態に思えますが、この状態が長く続くと余計な在庫を多く抱えてしまう可能性があります。またサイクルタイムとタクトタイムが著しくかけ離れている場合は、現状の受注数に対して設備が過剰とも言えます。設備数の減少や受注数を増やすために営業数の見直しを図りましょう。

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    サイクルタイムとタクトタイムを近づける方法

    既に説明した通り、サイクルタイムとタクトタイムは極力近いのが理想的ですが、実際に近づけるためにどういった努力をすべきか悩む人も多いと思います。そこで、工程改善に踏み出す際のポイントを3つ解説していきます。

    各工程時間を見える化する

    1つ目に意識すべきポイントは、それぞれの工程に掛かる時間の見える化です。サイクルタイムとタクトタイムの乖離が大きい工場では、そもそも各工程にかかる時間が分からず、全体のサイクルタイムが把握できていない恐れがあります。

    サイクルタイムが把握できていなければ無駄な工程、すなわちボトルネックにも気付くことができない上、計算したタクトタイムが厳しいのか否か判断することもできません。また、各工程の時間を見える化しておけば、工程改善の評価指標に使うこともできます。闇雲に工程改善を図る前に、まずは各工程の平均的な作業時間を計測して見える化に取り組みましょう。

    基幹システムや業務ルールを改善する

    続いて意識すべきポイントは、業務の基幹システムや業務ルールの改善も視野に入れることです。業務改善を検討する際、多くの企業が作業員の増加や工程改良など、既存業務に影響しない範囲で検討しがちですが、古すぎてレガシーシステム化した基幹システムや、形骸化したルールが効率化の妨げとなっている場合も少なくありません。

    そのため、業務を見直す際は既存のシステムやルールありきで検討せず、基幹システムやルールの見直しも含めて抜本的に検討する意識が重要となります。新たな技術や思想に対応できないレガシーシステムの放置は様々なセキュリティ不具合の原因となるため、メンテナンス時間を増やす要因になります。

    また、形骸化したルールも目的より手段が先行し、無駄な工数を発生させている恐れがあります。業務の基幹をなすシステムやルールの見直しには時間と労力がかかるものの、非常に大きな改善効果が見込まれるため見直しの対象に入れるよう心がけましょう。

    現場の実務に沿った改善を検討する

    3つ目に意識すべきポイントは、現場の実態に沿った改善を行うことです。業務改善を行う企業が陥る失敗例として、現場を知らない経営陣が感覚で業務改革を行ってしまい、現場の作業がかえって非効率になった、という事例が挙げられます。工場の工程を見直す際は、現場を熟知した作業員も検討チームに入れ、実際に効果のある改善を行う意識を大切にしましょう。

    特に作業工数などの見える化が進んでいる工場では、ついついデータのみを頼りに改善を行いがちです。実際にはデータからは見えない問題点があったり、費用対効果が想定以上に大きいポイントが見つかる可能性もあるため、少なくとも現場の意見をヒアリングしたり、実際に何度も現場を訪れるといった努力を欠かさないよう心がけましょう。

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    まとめ

    今回は工場などの製造業において、工程を左右するサイクルタイムとタクトタイムについて解説してきました。どちらも製品を製作する時間という同一の意味と誤解している人も多いですが、具体的な違いや目的、使い方を理解できたのではないでしょうか。

    特に計算式や改善のポイントを覚えておけば、製造工程の改善を求められた時に役立てられるので、今回の記事を定期的に読み返して常に理解しておきましょう。

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