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  • EUV露光とは?技術内容や特長、実現の難しさについて解説!
  • EUV露光とは?技術内容や特長、実現の難しさについて解説!

    2024.09.09更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    近年、超微細な半導体チップを作れる技術として注目が集まっている「EUV露光」。その技術内容が気になる方は多いのではないでしょうか。本記事では、EUV露光の原理や特徴、技術の現状について分かりやすく解説します。

    EUV露光は半導体露光技術のひとつ

    EUV露光とは、13.5nmという非常に短い波長の光を使った半導体露光用技術のことです。そもそも半導体露光装置は、フォトマスクという回路パターンを大きくしたガラス製の基板を、光によって縮小・転写し、シリコンウェーハ上に回路パターンを刻み込む装置のことを指します。その中で、EUV露光装置は波長13.5nmの極端紫外線(Extreme Ultraviolet)を用いることから、EUV露光という名前が付けられています。

    半導体露光装置の歴史とEUV露光への注目

    なぜEUV露光装置が最先端なのか、半導体露光装置の歴史から注目を集めている理由をお伝えします。まず、半導体露光装置は昔からパターン転写に欠かせない技術として使われ続けており、半導体の微細化が進むと共に、半導体露光装置も微細化への対応が求められてきました。

    半導体露光装置において微細化を実現するには、どこまで細かな露光を行えるかという「解像度」を上げる必要があります。ここで、解像度はレイリーの法則により、光の波長が短いほど解像度が上げられることから、対策の一つとして露光用の光の波長を短くする取り組みが続けられてきました。

    実際に、半導体業界が進歩し始めた1980年代は水銀を使ったg線(436nm)であった所から、1990年頃にはi線(365nm)、2000年代にはArF(193nm)と年々波長が短い光が採用されています。そして、最近は更なる微細化への対応としてより短波長の光を使う試みが盛んに行われ、その中でEUV光への注目が集まるようになったのです。

    EUV露光の難しさ

    このように、EUV露光装置は波長が短いことにより解像度を上げることができ、より微細な回路パターンが作れるとして注目を浴びてきました。しかし、その実現は非常に難易度が高く、2024年時点ではオランダのASML社のみが開発に成功しているのが現状です。

    EUV露光装置が難しいと言われる理由は、EUV光の性質にあります。光は波長が短いほど大気などで吸収されやすく、また直進性も高いことからミラーの反射率も低いので、光源の光を減衰させずにウェーハに当てるのは難易度が非常に高いです。

    一方で、EUV光を露光装置として利用するには一定のエネルギーが必要なので、EUV光の光源には減衰率の高さを考慮すると非常に大規模な設備を使い、高エネルギーなEUV光を作りださなければなりません。しかし、高エネルギーで安定したEUV光を出力させることにも大きな技術ハードルがあるため、多くの企業で開発が進まない原因となっていました。

    ASMLが作るEUV露光装置とは

    出典:imec

    それでは、2024年時点で唯一EUV露光装置を製造しているASMLの露光装置がどんな特徴を持っているか紹介します。ASMLのEUV露光装置は、光源から出た光を4枚のミラーレンズで反射し、フォトマスクに照射する形状をしています。さらに、フォトマスクに入った光の反射光は6枚のミラーレンズを通してパターンを縮小し、ウェーハに露光されます。

    この露光装置の特徴は、反射光を多用している所にあります。EUV光は物体を透過させると一気に吸収されてしまうので、通常は透過して使うフォトマスクの反射光を利用したり、ミラーレンズを使って反射しながら光を収束させています。

    また、エネルギーを無駄にせず、かつ微細なパターンを高精度に露光できるよう、レンズの表面を50pm以下の粗さに磨くなど、超高品質な部品を利用しています。他にも、高出力で安定性の高いEUV光源の実現など、数多くある技術的ハードルを一つ一つ解決したことにより、EUV露光装置が実現されています。

    次世代の露光技術は他にも提案されている

    なお、数nm世代の半導体を作り出す最先端技術としてEUV露光技術を紹介しましたが、技術的には新しいことから、他の技術に置き換わる可能性もあります。例えばASMLの露光装置は生産性が低く、設備価格や稼働コストが非常に高いというデメリットを持っており、これらの課題が解決できる製品があれば、各メーカーによる置き換えが進むと予想されます。

    代替技術として、例えばキヤノンはナノインプリントリソグラフィという技術を提唱しています。この手法はnmサイズに彫ったスタンプのようなマスクを押し付けてウェーハにパターンを形成する方法で、EUV露光装置より工程数やコストを低減できると言われています。また、EUV露光装置においても、ミラーレンズの数を減らした手法が沖縄科学技術大学院大学(OIST)で開発されており、実用化できればEUV露光装置のコストを大幅に低減できると期待されています。現状では実用化の目途が立っていませんが、数年以内に新しい技術革新が生じる可能性はあるため、今後のトレンドの変化には注視が必要です。

    まとめ

    今回は、EUV露光技術の原理や特徴、実現の難しさなど、基本的な情報をお伝えしました。EUV露光は10nm以下の微細化技術を実現する、最先端の露光技術として注目を浴びている技術です。技術としてはまだまだ課題が多いですが、実際にASMLが量産に成功しており、2nm品など最新の半導体を造るのに活用されています。他の最先端技術も考案はされており他技術に置き換えられる可能性はあるものの、今後の主流技術として定着することが期待されています。最先端の半導体製造事情が気になる方は、今後の技術状況と合わせEUV露光技術の変化を注視しておいてください。

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