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衝突軽減ブレーキ(ABES)とは?安全性の能力と限界、注意点も解説

2022.05.10更新

2021年に搭載義務化が始まり、自動車への普及が進んでいる衝突軽減ブレーキ。障害物への衝突、車への追突を防ぎ、安全性を高めてくれることから注目を浴びていますが、その能力には限界があるため、ドライバーは機能を過信せず、安全意識を保つことが欠かせません。

本記事では、衝突軽減ブレーキが持つ機能の詳細や、メーカーごとの違い、注意すべき点などをまとめてお伝えします。

衝突軽減ブレーキ(ABES)とは

衝突軽減ブレーキは、ADAS(先進運転支援システム)の機能の一つであり、前方の障害物を検知して衝突を回避・衝撃を軽減するシステムのことです。

カメラやレーダーを用いて前方の障害物を検知し、障害物が一定距離に近づいたら警報を鳴らし、ドライバーに危険を伝えます。それでも状況が改善されず、距離が縮まった場合は自動でブレーキが作動し、衝突しない、もしくは衝突時の衝撃を軽減するように働きます。

ただし、衝突軽減ブレーキの自動運転レベルは1であり、ADASの他の機能と同様、あくまでドライバーの運転をサポートする機能として搭載されています。

ADASの他の機能が気になる方は「ADAS(先進運転支援システム)とは?機能一覧やセンサー技術を解説!」をご覧ください。

衝突軽減ブレーキの認定制度

現在、さまざまな車メーカーが衝突軽減ブレーキを搭載していますが、その性能は製品ごとで同じではありません。そこで、衝突軽減ブレーキとして一定の機能を担保するため、2019年に国土交通省が制定したのが「AEBS認定制度」です。

AEBS認定制度では、以下の3つの性能を満たしていることを求められます。

  1. 1.静止している前方車両に対して50km/hで接近した際に、衝突しない又は衝突時の速度が20km/h以下となること。
  2. 2.20km/hで走行する前方車両に対して50km/hで接近した際に、衝突しないこと。
  3. 3.1及び2において、衝突被害軽減ブレーキが作動する少なくとも0.8秒前に、運転者に衝突回避操作を促すための警報が作動すること。

引用:国土交通省

主な車メーカーの衝突軽減ブレーキは、このAEBS認定制度に合格しているため、少なくとも50km/h以下で走行している場合においては、衝突のリスクを大きく下げられることが分かります。

各メーカーごとの名称と違い

衝突軽減ブレーキの大まかな機能は各メーカーで共通ですが、それぞれ細かな仕様は異なり、名称も異なっています。主なメーカーの名称は以下の通りです。

メーカー 名称
トヨタ プリクラッシュセーフティ(PCS)
ホンダ 衝突軽減ブレーキ(CMBS)
日産 インテリジェント エマージェンシーブレーキ
マツダ アドバンストスマートシティブレーキシステム(SCBS)
スバル プリクラッシュブレーキ
三菱 衝突被害軽減ブレーキ(FCM)
ダイハツ スマートアシスト(衝突回避支援機能)
日野 衝突被害軽減ブレーキシステム(PCS)

また、それぞれのメーカーや車種で使用するセンサーや障害物を検知するアルゴリズムは異なるので、衝突軽減ブレーキの性能も同じではありません。

特に、スバルのアイサイトではセンサーにステレオカメラを使っているほか、トヨタは単眼カメラとミリ波レーダーを使っているなど、センサーの差は大きく、衝突軽減ブレーキの性能にも差が出るでしょう。

時間や天気などの周囲環境や、障害物の色・形状などさまざまな要因に影響を受けるため、一概にどのメーカーの製品が良いかは判断できませんが、それぞれのメーカーのこだわりやセンサーごとの違いを理解しておくことをおすすめします。

衝突軽減ブレーキの注意点

衝突軽減ブレーキは便利な機能ですが、性能を過信し、注意力が低下すると却って危険な目にあう可能性が高いです。ここからは、衝突軽減ブレーキの機能の限界と、運用上の注意点について解説します。

衝突しない訳ではない

衝突軽減ブレーキは「軽減」という名が示す通り、衝突を必ず回避する機能ではありません。衝突軽減ブレーキの認証制度には50km/hにおける衝突回避の規定がありますが、その中でも衝突を防ぐことは必須ではありません。

それ以上の速度で走行していた場合は速度を抑えきれず衝突する可能性が高まるほか、下り坂などでも同様に減速は難しいので、衝突回避ブレーキに依存していると安全に停止できない可能性は高いでしょう。

障害物が近すぎる場合に障害物として判定しないことや、白く光るトラックを障害物として検知できないなど、特殊な条件では障害物自体を判定せず、自動ブレーキが作動しない場合もあるので注意が必要です。

状況により判定精度が下がる

衝突軽減ブレーキは、カメラシステムやレーダーによって障害物を検知していますが、状況によっては検知の精度が下がり、正常に障害物を検知できない場合があります。例えばカメラシステムの場合、悪天候時や夜間、直射日光を浴びた時などは障害物の形状が正しく判断できません。

また、基本的に障害物の検知は前方のみに絞っているため、歩行者が飛び出してくるなど、側面から出てきた場合には検知することは難しいです。技術の進歩により検知角度や精度は年々向上していますが、センサーの苦手な分野を理解しておくと、より安全に運転できるようになるでしょう。

作動しない場合でも責任はドライバーにある

このように、衝突軽減ブレーキの機能は、安全性をもたらしてくれる機能ではありますが、その安全性は万能ではありません。そもそも、衝突軽減ブレーキは自動運転レベル1の機能であり「運転をサポートする」だけなので、安全に走行できるかはドライバーが責任を担っています。

衝突軽減ブレーキの機能を過信して事故を起こしてしまった事例も多数発生しているため、あくまでドライバーが主体となって安全を保ち、衝突軽減ブレーキはもしもの時の安全策として捉えておきましょう。

衝突軽減ブレーキの普及状況

最後に、衝突軽減ブレーキの義務化に関連して、現在の普及状況などを紹介します。

衝突軽減ブレーキ義務化の流れ

車の衝突を防止・軽減する機能として注目が集まる衝突軽減ブレーキですが、世界ではこの機能を義務化する方向で進んでいます。日本では世界に先駆けて衝突軽減ブレーキを義務化する方向に話が進んでおり、2021年11月より義務化が始まっています。

2021年に義務化されたのは新型車の販売に対する義務化のみで、既存モデルについてはその対象ではありませんが、2025年12月には既存車も含め、全ての新車に衝突軽減ブレーキが搭載されることとなります。

ただし、既に購入した車両については、搭載義務はありませんので、そのまま利用していても問題はありません。

衝突軽減ブレーキは後付け可能か?

既存車における衝突軽減ブレーキの後付けは、自動車メーカーでは現在の所対応しておりません。そのため、衝突軽減ブレーキを導入したい場合は新車を購入する必要があります。ただ、少し機能は異なりますが、代替として「踏み間違い加速制御システム」を取り付けることは可能です。

このシステムは、前方・後方の障害物を検知してアラームを鳴らすほか、ペダルの踏み間違いを検知してエンジンの出力を抑えるシステムです。こちらはあくまでペダルの踏み間違え抑制に主眼が置かれているため、自動でブレーキをかけることはありませんが、特に高齢者の安全性向上に大きく寄与します。

価格も5万円程度と安価なので、衝突軽減ブレーキが搭載されておらず不安な場合は、後付けでの搭載を検討すると良いでしょう。ちなみに、車メーカーではありませんが、後付けの衝突軽減ブレーキ装置を販売している会社も存在します。

まとめ

今回は、ADASの機能の一つである衝突軽減ブレーキについて解説しました。衝突軽減ブレーキは前方の障害物を検知し、警告と自動ブレーキによって衝突を回避・軽減し、車の安全を守る機能です。

非常に有用な機能ではあるものの、あくまで運転をサポートする機能であり、正確に障害物を検知できない場合や、スピードによっては十分に減速できないこともあるため、万が一の時の安全機能として考えておきましょう。

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