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  • ステレオカメラって何?原理や用途、車載用の最新動向もチェック!
  • ステレオカメラって何?原理や用途、車載用の最新動向もチェック!

    2024.08.06更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    自動車業界ではADASや自動運転に向けた技術が多数開発されていますが、センシングにおいて重要な役割を果たしているのがステレオカメラです。本記事では、ステレオカメラの原理や通常のカメラとの違い、最新の技術動向について解説します。

    ステレオカメラとは?

    ステレオカメラは、2つのカメラを平行に配置して立体視を行うカメラのことです。人は2つの目で見た映像を比較し、差を認識することで物体との距離を認識していますが、ステレオカメラは人工的にその機能を再現しています。

    自動車用途では前方の障害物検知に用いられるほか、白線の検知や前を走る車の位置を認識するなど、ADASや自動運転の機能を支えるセンサーとして重要な役割を果たしています。

    ステレオカメラの原理

    それでは、どうやってステレオカメラで物体の距離を測っているのかを解説します。画像として映った物体の1点に注目すると、カメラから物体までの距離は、三角測量の原理によって計測が可能です。

    引用:マクニカ

    2つのカメラで撮影した画像を比較すると、物体が映った位置の差(視差)が分かります。さらに、視差と焦点距離を結んだ三角形は、カメラ間距離と物体までの距離を結んだ三角形と相似です。カメラ間距離と焦点距離は固有の値なので、これらより、視差を元に物体との距離が計算できるのです。

    ここで、点としての距離測定であれば、ミリ波や赤外線レーザーなどによるセンサーと同様の働きとなりますが、ステレオカメラにおいて重要なのは「情報が画像として得られる」ということです。

    人の眼と同様に、一度に画像として前方の様子を取得できることから、障害物の検知を画像認識として行うこともでき、高速・高精度な障害物検知を実現しています。

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    ステレオカメラの課題

    ステレオカメラは、前方の障害物を素早く検知し、形状と距離を正確に把握できる特徴を持っていますが、同時に欠点もあります。

    カメラがずれると測定ができない

    ステレオカメラの原理で、三角測量について記載しましたが、この測量方法はカメラの向きや距離が一定の時のみ成り立ちます。カメラの位置が少しでもずれると大きな誤差が生じ、正しい測定が行えなくなります。

    もちろんステレオカメラは非常に頑丈な構造をしており、滅多にカメラがずれることはありません。しかし、カメラがずれた可能性があるならば、カメラの位置・角度を再調整することをおすすめします。専用のキャリブレーションツールが必要なので、自分で動かすのではなく、専門店に依頼しましょう。

    夜間や悪天候、汚れに弱い

    ステレオカメラは、人の眼と同じく可視光線を受光して測定を行うため、夜間や大雨、霧など、視界が狭い場面では測定範囲・精度が著しく低下します。他にも、カメラに逆光が入る場合や、カメラレンズやフロントガラスに汚れが付いた場合も測定精度の低下につながります。

    このような場合は、ミリ波レーダーやLiDARセンサーなど、可視光以外を検知するセンサーのほうが有効です。ステレオカメラのみで障害物検知を行うシステムの場合、視界が悪い状況でステレオカメラの判断に依存するのは危険なので注意しましょう。

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    ステレオカメラの主なメーカー

    ステレオカメラは、各車メーカーがセンサーとして搭載していますが、車メーカー自身は開発を行っておらず、ステレオカメラシステムを開発するメーカーから納入しています。ステレオカメラを扱う主なメーカーは以下の通りです。

    • ・リコー
    • ・日立オートモティブシステムズ
    • ・ZMP
    • ・ZF(ドイツ)
    • ・ボッシュ(ドイツ)

    このうち、日産やホンダ、トヨタはZF製のステレオカメラシステムを採用しており、他の車メーカーにおいてもほとんどの場合、海外メーカーの製品を使っています。

    日本のメーカーもステレオカメラシステムの開発は行っていますが、近年はコストや性能面で及ばず、海外メーカーの後塵を拝しているのが現状です。ちなみに、東芝とデンソーもステレオカメラシステムを開発していましたが、業績悪化によって開発が中止されています。

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    ステレオカメラの市況と展望

    既に車載用として多くの車に搭載されているステレオカメラですが、最近は自動運転など、さらなる機能の向上とコストの最適化に向けて、カメラの搭載状況は変わってきています。

    高級車には3眼・4眼カメラの採用が進む

    まず、高級車においては2眼のステレオカメラだけではなく、さらなる精度の向上を目指して多眼カメラが採用されつつあります。

    これは、より先進的な運転支援機能を搭載していくにあたり、単眼カメラやステレオカメラのみでは安全性の担保が難しいという判断の上に成り立っています。

    メーカー 搭載カメラ数
    トヨタ(レクサスLS、MIRAI) 4眼カメラを採用
    日産(スカイライン、アリア) 3眼カメラを採用
    スバル(新型アウトバック) 3眼カメラを採用
    BMW(7、5シリーズ) 3眼カメラを採用
    テスラ(モデルS) 3眼カメラを採用

    2眼ステレオカメラのみを頑なに使っていた、スバルの「アイサイト」でも3眼カメラを採用する動きが進んでおり、2眼のステレオカメラシステムは淘汰されつつあると言えるでしょう。

    ちなみに、多眼カメラにおいてもステレオカメラの立体視のシステム自体は同じであり、あくまで2枚の画像を比較しています。カメラを増やすことで検知角度や近距離・中距離それぞれにおける検知性能を向上させています。

    一般車向けは単眼カメラが主力

    一方、低価格の車においては、単眼カメラを用いた運転支援システムが主流となりつつあります。車のセンサーには、カメラ以外にもミリ波レーダーやLiDARセンサーなどがあり、多くのメーカーでは単眼カメラと組み合わせることで、ステレオカメラを使わずとも高精度な運転支援を実現できるのが理由です。

    また、例えばホンダが単眼カメラのみで前方の障害物検知を行うなど、ある程度の運転支援であれば単眼カメラだけでも対応できることも実証されています。ステレオカメラは総じてコストが高いため、低価格車に採用される可能性は低いと言えるでしょう。

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    他業界へのステレオカメラ応用

    車載用途において、ステレオカメラ採用の比重は少なくなってきていますが、ステレオカメラはロボットなど、より正確に画像情報を取得したい業界においても採用され始めています。ここでは、ステレオカメラを利用している主な業界とその用途をお伝えします。

    FA・物流

    ロボット業界においても、センサーとしてステレオカメラが使われています。産業用ロボットの場合は主に3次元計測に使われており、2足歩行ロボットなどにおいては色検知、障害物検知など、人の眼と同じ機能を目指してステレオカメラが利用されます。

    ロボット

    ロボット業界においても、センサーとしてステレオカメラが使われています。産業用ロボットの場合は主に3次元計測に使われており、2足歩行ロボットなどにおいては色検知、障害物検知など、人の眼と同じ機能を目指してステレオカメラが利用されます。

    セキュリティ

    セキュリティシステムにおいては、カメラを用いた顔認証システムが使われ始めていますが、精度向上と誤報の抑制のため、ステレオカメラが用いられています。顔認証システム以外でも、立体視ができることを利用して、敷地近くにいる人が金網を超えて来たかを正しく判断できるなど、防犯システムの一つとしての採用も行われています。

    まとめ

    今回は、ステレオカメラの原理や特徴、車載用以外の活用例について解説しました。ステレオカメラは立体視により、物体との距離が正確に測れることから、障害物検知や3次元計測に用いられています。

    主にADASや自動運転など、自動車用途で用いられることが多いですが、最近はさらなる機能向上に向けて、多眼カメラが主流となりつつあり、ステレオカメラを単眼カメラで補完する技術が進んでいるのが現状です。

    自動車業界以外でも物流やロボットなど、ステレオカメラは普及が進んでおり、幅広い業界のサービスを支えるセンシング技術だといえるでしょう。

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