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  • PLL回路とは?役割・構造・パラメータ・用途などを解説!
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    2025年11月22日更新

    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川
    「FREE AID」編集部:長谷川

    大手メーカー「コマツ」、「オムロン」などで7年間、アナログ回路エンジニアとして設計・評価業務に従事。
    ECU、PLCなどのエレキ開発経験を多数持つほか、機械商社での就労経験も有する。
    株式会社アイズ運営の機電系フリーランスエンジニア求人情報「FREEAID」専属ライターとして、
    機電分野の知識と実務経験を活かし、専門性の高い記事執筆を行っている。

    PLL回路とは?

    PLL(Phase Locked Loop)回路とは、入力信号と同期した周波数・位相信号を出力できる回路のことです。フィードバック制御により構成され、クロックのノイズ低減や、電源回路の位相同期、変調信号の復調に使われます。また、分周期を入れることで特定の周波数を作る変換機としても用いられています。

    PLL回路を構築する要素

    PLL回路を構築する要素

    PLL回路がどのように作られているのか、構築する代表的な要素を解説します。

    位相比較器とチャージポンプ

    PLLの入り口に位置する位相比較器は、基準信号とVCO出力(分周後の信号)の位相差を検出する役割を担っています。位相がずれている場合、そのずれがどちら方向かを判断し、「UP」「DOWN」のパルスとして出力します。これを受け取るチャージポンプは、パルス幅に応じたアナログ電流に変換し、後段のループフィルタへ流し込みます。

    最も単純な位相比較器としてはXOR回路がありますが、これは入力周波数が同じであることが前提です。一方、多くのPLLで用いられるフリップフロップ式のPFD(Phase Frequency Detector)は、位相だけでなく周波数の差も検出できるため、広い同期範囲を持ち、周波数合成用途でも広く利用されています。

    ループフィルタ

    ループフィルタは、PLL全体の安定性や応答性を大きく左右する重要なブロックです。チャージポンプから供給されるパルス状の電流を平滑化し、VCOを制御するアナログ電圧に変換するとともに、高周波成分をカットするローパスフィルタとしても働きます。この働きによって、パルス信号に含まれるノイズを抑制し、リンギングや不要な発振を防ぎます。

    しかし、ループフィルタの設計はトレードオフが多く、簡単ではありません。フィルタを小型化すると抵抗値が増えてノイズが増えやすくなり、逆に容量を大きくすると基板面積を圧迫します。また、安定性を高めすぎると応答が遅くなり、追従性が低下します。このため、PLLの中でも特に設計ノウハウが求められるブロックといわれています。

    VCO

    VCO(Voltage Controlled Oscillator)は、ループフィルタから供給される制御電圧に応じて発振周波数を変化させる装置で、PLLの中心的な役割を担います。内部には発振回路・制御回路・出力回路などが含まれ、制御電圧に対してどの程度周波数が変化するかを示すKvcoが、PLL全体の動作に大きく影響します。

    代表的な構成としてLC共振回路を利用したVCOがあり、コンデンサの代わりにバラクタ(可変容量ダイオード)を用いることで、制御電圧に応じた共振周波数の調整を可能にしています。また、水晶振動子を共振器として用いるVCXO(Voltage Controlled Crystal Oscillator)では周波数可変範囲は狭いものの、非常に高い周波数安定性が得られるため、精度の高いクロック源として利用されています。

    分周器

    PLLで所望の周波数を得たい場合は、VCOが生成した信号を整数比で分周する分周器が必要です。例えば100 MHzの信号に1/5の分周器を用いると、20 MHzとして位相比較器に入力されます。PLLはこの「1/Nに見せかけた信号」と基準周波数を比較するため、分周比を変えることで、基準周波数の整数倍の周波数を自在に生成できる仕組みになっています。

    基準信号よりも低い周波数を得たい場合は、基準系に分周器を挿入してPLLが比較する信号を調整します。逆に高い周波数を得たい場合は、VCO出力側に分周器を入れ、分周された信号を位相比較器に戻すことで、結果的にVCOがN倍の周波数でロックするように動作します。

    PLL回路の特性を表すパラメータ

    PLL回路の特性を表すパラメータ

    PLL回路の特性を表す主要なパラメータとして、ループ応答周波数や位相余裕などがあります。それぞれの意味や具体的に同調動作に及ぼす影響などを解説します。

    ループ応答周波数

    ループ応答周波数とはPLL回路の応答性を表すパラメータのことで、システムが追従可能な帯域幅を指します。定義としてはオープンループ利得(位相比較器とチャージポンプ、ループフィルタ、VCOの利得の積)を分周器の分周比で割った際、絶対値が1となる周波数となります。ループ応答周波数が高いと応答性も高くなりますが、帯域幅が広がってしまうため雑音の影響を受けやすくなります。一方、ループ応答周波数が低いと雑音が小さくなる反面、システムの応答性が悪くなります。

    位相余裕

    位相余裕とは、ループ応答周波数とローパスフィルタのカットオフ周波数によって決まるパラメータのことで、ダンピングファクタとも呼ばれます。定義としては利得が0の時の位相と-180°との差であり、発振するまでどれだけ位相に余裕があるか、という指標です。

    位相余裕が大きすぎると位相の揺らぎが中々収まらず、応答性が悪くなってしまい、反対に位相余裕が小さいとリンギングが発生しやすく、発振してしまう恐れがあります。PLL回路であれば45°から70°程度の範囲に設定するのが望ましいとされ、ある程度汎用的な用途であれば50°から60°の範囲内で設定することが多いです。

    まとめ

    今回は位相の異なる信号を同調するPLL回路について、役割や構造などを解説しました。周波数を変換する便利さはもちろんのこと、位相を揃えることの重要性を理解できたのではないでしょうか。今回触れていない内容もあるので、より詳しく知りたい人は自分でも調べてみると良いでしょう。

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