CAE解析の種類とは?類似用語・メリット・注意点など網羅的に解説!
2025年10月12日更新
この記事の運営元:株式会社アイズ
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この記事を書いた人
「FREE AID」編集部:長谷川
大手メーカー「コマツ」、「オムロン」などで7年間、アナログ回路エンジニアとして設計・評価業務に従事。
ECU、PLCなどのエレキ開発経験を多数持つほか、機械商社での就労経験も有する。
株式会社アイズ運営の機電系フリーランスエンジニア求人情報「FREEAID」専属ライターとして、
機電分野の知識と実務経験を活かし、専門性の高い記事執筆を行っている。
CAE解析の種類とは?
CAE解析とは、製品の特性や品質、信頼性を調べるためにコンピュータ上で行われる解析手法のことで、構造解析や熱流体解析、音響解析などいくつもの種類があります。CAE解析を活用することで製品を作る前に品質を確認できるなどの大きなメリットがあるため、製造業では欠かせない解析手法となっています。
CAE解析の具体的な種類

CAE解析の種類について、代表的なものとその特徴を解説します。
構造解析
構造解析とは、試験対象に機械的な応力や振動が加えられた際の挙動について行う解析のことです。例えば製品に物理的な力が加わった時、力が加わる位置や強さによって内部にどのような応力が生じるかや、どのくらい変形するかを調べるのに使われます。また、振動が加えられた際の挙動を解析し、共振現象が起きる固有振動数を調べることもできます。
ちなみに構造解析は大きく線形解析と非線形解析に分かれており、応力が加わった際の変形が少なく、応力が除去されると材料の形状が元通りになる領域の解析が線形解析です。一方で、応力に対して著しく変形する領域(幾何学的非線形性)や、応力を除去しても元の形状に戻らない領域(材料非線形性)における解析を非線形解析と呼びます。
熱伝導解析
熱源から加えられた熱が、製品内部でどのような温度分布になるかを解析するのが熱伝導解析です。例えばエンジンなどの高温環境に晒される機器において、各部品が達する温度の最大値を調べたり、熱に弱い部品を搭載した機器において、どの程度の外気温に晒されると故障するかを調べるのに使用されます。
また、発熱する製品に搭載するべき冷却機構の能力を算出したり、放熱性能を高めるためにどのような形状にすべきかを解析するのにも役立ちます。なお、熱によって機器内部で生じる応力の解析は構造解析に含まれますが、ソフトウェアによっては熱伝導と熱による応力の解析を同時に行うこともできます。
流体解析
液体や気体などの流体が流れた際の流速や圧力、流れる向きなどを解析するのが流体解析です。例を挙げると、飛行機や車両など高速で移動する物体が生み出す乱流を調べたり、どの部位がどの程度の空気抵抗を受けるかを調べるのに使用されます。
他にも、配管やエンジンルームなど密閉された空間を流れる流体が、どの部位にストレスを与えるかを調べたり、圧力損失の少ない形状を調べるのにも使われます。ちなみに流体は熱の影響を大きく受けるため、最近では先ほど解説した熱伝導解析と組み合わせた熱流体解析が可能なソフトウェアも多いです。
音響解析
振動解析によって得られたデータを基に、振動が音として周囲にどのように伝搬するかを解析するのが音響解析です。振動源の機器が生み出す雑音が、どの位置でどの程度の大きさになるかを解析するのはもちろんのこと、騒音対策として設けた壁や囲いなどの遮音機構が、どれだけの遮音性能を持つか解析するのにも役立ちます。他の解析に比べると、機器の性能や寿命向上に直結する解析では無いものの、実際に機器を使用する際に感じるストレスを低減させるのに役立つ解析であることを覚えておきましょう。
電磁場解析
電場と磁場の関係を表すマクスウェル方程式を用いて、解析対象と電磁場の関係を解析するのが電磁場解析です。アンテナやレーダーなど、電磁場を利用する通信機器が解析対象となるのはもちろんですが、電荷が存在すると電磁場も存在することになるため、通電する機器は実質的に全て電磁場解析の対象と言えます。具体的な用途として、機器が生み出す電磁ノイズの影響を調べたり、電磁ノイズを受ける機器の耐性を調べたりなど、機器の電磁両立性(EMC)を調べる用途で多く使用されます。
CAE解析のメリット

CAE解析を使用することで、従来の解析方法にはないメリットが得られます。代表的なものを解説していきましょう。
製品設計に掛かるコストと時間が削減できる
従来は、開発中の製品や部品の様々な特性を知る場合、実際に試作品を製造し、試験環境を整えて実証解析を行うしかありませんでした。また試験の結果が不合格であれば設計を見直し、再度試作と試験を行う必要もありました。
一方のCAE解析であれば、試作品を作ることなく設計段階で特性を解析できるため、試作品の製造などに掛かるコストと時間を短縮できます。また、コンピュータやシミュレーションソフトの性能に依存するものの、実際に環境を整えて試験を行うのに比べて解析期間も短くなるため、総じて製品設計にかかるコストや時間を短縮できるようになります。
より高い品質の製品を製造できる
コンピュータ上で行うCAE解析は、従来の解析手法と比べて正確かつ定量的な試験データが得られるため、より高品質な製品を製造するのにも役立ちます。例えば製品に過剰な応力を与えた際の挙動を試験する場合、従来方法であっても解析自体は可能ですが、製品の内部が破断に至る瞬間を正確に解析するのは困難です。
一方でCAE解析であれば、シミュレーションソフト上で各所の状態が定量的に表されるため、従来より多くの情報を得ることができます。また、物理的な試験と違って試験を繰り返すハードルも小さく、機能性やデザイン性を極限までこだわり抜くことができるため、結果的に高い品質の製品が製造できるのです。
解析環境を構築するハードルが下がる
当然のことですが、実際に製品にストレスを与えて行う実証試験では、試験を行う環境を構築する必要があります。特に過酷な試験環境であれば、試験環境の構築自体のハードルが高く、敷地面積や試験人員、予算などが不足して、そもそも試験環境を構築できないケースも珍しくありません。
これに対しソフトウェア上で行うCAE解析では、試験環境の構築に関する制約が実質的に無くなったため、人員や敷地面積、予算状況に関係なく様々な解析が行えるようになりました。また宇宙空間や超高温環境下など、物理的に再現が難しい環境下の機器特性についても容易に解析できるようになったため、総じて解析のハードルが低下したと言えるのです。
CAE解析を活用する際の注意点
従来の解析よりも多くの点で優れるCAE解析ですが、使用する上で覚えておくべき注意点もあります。コストに関して言えば、高性能マシンの導入やシミュレーションソフトのライセンスなどに費用が掛かるのはもちろんのこと、専門的な知識が要求されるため、人材の育成などにも費用が掛かる点に注意が必要です。
また、例え適切な条件で解析を行ったとしても、実際の特性がCAE解析の結果と同じになるとは限らず、場合によっては確認のための実証試験を再度行わなくてはなりません。とはいえ従来の解析と比べると解析に掛かる労力やコストは十分に抑えられるため、優れた解析方法であるのは間違い無いでしょう。
CAE解析とCAD、CAMとの違い

最後に、CAE解析と混同しがちなCADやCAMという単語についても触れておきます。CADはコンピュータを用いた設計ツールのことで、任意の形状や材質の部品をソフトウェア上で組み立てるのに使われます。またCAMとは工作機械を動かすのに必要なデータを作り出すツールのことで、CADで作られた設計データを基に、工作機械をどう制御するかを出力します。どちらもCAEと似た業務領域で扱われますが、役割は全く異なるため注意しましょう。
まとめ
今回は製品特性を解析する手法の1つであるCAE解析について、具体的な種類やメリット、注意点などを網羅的に解析しました。CAE解析には構造解析や熱伝導解析、流体解析などの種類があり、評価したい要素に合わせて使い分けを行います。どのような解析結果が得られるかはソフトウェアによっても異なるため、興味がある人はより詳しく調べてみてください。
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