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  • 半導体洗浄装置の役割や必要性とは?洗浄工程におけるゴミの種類も解説!
  • 半導体洗浄装置の役割や必要性とは?洗浄工程におけるゴミの種類も解説!

    2024.11.27更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    半導体製造では、洗浄装置が非常に重要な役割を担っていることをご存じでしょうか。今回は半導体洗浄装置の具体的な役割や重要性、種類などを網羅的に解説します。半導体製造の全体工程にも触れているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

    半導体洗浄装置の重要性とは

    半導体製造では、ナノメートル(1メートルの10億分の1)サイズの素子を扱うため、微細な汚れや不純物が僅かにでも混入すると、性能に著しい影響を与えます。そのため半導体製造工程では洗浄作業が非常に重要な役割を担っており、全体工程のおよそ3割を洗浄作業が占めると言われています。特にムーアの法則に従い回路集積度が年々向上している現代では、洗浄装置の性能が半導体の性能を左右する、重要な装置の一つとなっています。

    半導体洗浄におけるゴミの種類

    半導体製造においてゴミとして扱われるものには、パーティクルや金属片、有機物、油脂、自然酸化膜などが挙げられます。パーティクルとは梱包時や運搬時に外気から自然付着する微細なゴミのことで、サイズはマイクロメートル(1メートルの100万分の1程度)オーダーです。

    金属片は製造工程で使用する薬液や人間の汗などに含まれる重金属原子を指し、油脂は人間の汗などに含まれる油分、有機物は人体から出る垢や純水中のバクテリアなどをそれぞれ指します。またウエハが大気に触れると表面に酸化膜が形成されますが、これらの酸化膜にも不純物が多く含まれるため、半導体製造ではゴミとして扱われます。

    半導体洗浄の工程

    続いて、半導体洗浄装置が全体の製造工程のどこで活躍するか解説します。

    半導体製造の全体工程

    初めに半導体製造の全体工程について軽く触れておきましょう。半導体製造は大きく準備作業、前工程、後工程の3段階に分かれています。まず、準備工程では回路設計やフォトマスクの作成、シリコンウエハーの形成などを行います。続く前工程ではフォトレジストやフォトマスクを用いた回路の転写、エッチングや現像による不要部分の除去、絶縁物の埋め込みや平滑化といった作業を繰り返し、回路に必要な配線やトランジスタ素子などを形成します。

    そして後工程では、ウエハ上に形成された半導体をチップ単位に切り分けるダイシング工程、半導体チップを土台に固定するボンディング工程、樹脂などでモールドするパッケージング工程を経て、最終的な半導体製品が完成します。

    半導体の洗浄はいつ行う?

    半導体の洗浄は準備段階でシリコンウエハを形成した後と、前工程における各作業の後に行われます。シリコンウエハを切り出す工程では、切り出し作業によって発生する汚れを除去するのはもちろんのこと、前工程に移るまでに自然発生する汚れも除去する目的で洗浄が行われます。

    続く前工程では、ウエハ上に酸化膜やレジスト膜を塗布する成膜工程や、現像やエッチングなどの不要部分を除去する工程、ウエハ表面の凹凸を研磨する平滑工程において、それぞれ発生する汚れや不要部分を取り除く目的で洗浄が行われます。

    半導体洗浄方法の種類

    半導体の洗浄方法にはバッチ式と松葉式の2種類が存在しており、それぞれで特徴が異なります。

    バッチ式

    洗浄用の薬液を満たした処理槽の中に、ウエハを漬けて洗浄する方式をバッチ式と呼びます。バッチ式は一度に複数のウエハを洗浄できるため、単位時間あたりの洗浄数(通称スループット)が多い効率的な洗浄方式です。一方で、大量の薬液や水を使用するためコストが膨らみやすく、大きなスペースも必要になるデメリットがあります。

    そのため、メモリのように大量生産が求められる製品を製造する場合に、スループットの高いバッチ式が用いられています。なお、バッチ式には薬液を入れ替えながら一つの処理槽で洗浄する「単層式」、薬液毎に処理槽を変えて洗浄する「多槽式」があります。

    松葉式

    テーブルに載せたシリコンウエハを円周方向に回転させ、薬液を塗布して洗浄するのが松葉式です。スプレーを変えれば薬液の種類を変えられるため、洗浄の度にシリコンウエハを移動させる必要がなく、パーティクル汚れが付きにくいと言われています。またバッチ式と比べて洗浄装置がシンプルな分、導入コストや設置スペースが抑えられる上、使用する薬液量の少なさから長期的なランニングコストが低いのも強みです。

    一方で、同時に複数のウエハを洗浄できないため、バッチ式に比べるとスループットは低いです。そのため、パーティクルを可能な限り減らしたい最先端品の製造や、特注品などを少量製作する場合によく使われます。

    半導体洗浄の処理方法

    半導体洗浄では、処理の方法もウェット方式とドライ方式の2種類に分かれています。

    薬液を使用するウェット方式

    ウェット方式は、ウエハを薬液に浸けたり塗布することで洗浄を行う手法で、前述のバッチ式と松葉式もウェット方式に該当します。処理方法全体の99%を占めると言われる主流の処理方式であり、薬液や純水を使用するため取り扱いが容易な方式であるとも言われています。

    一方で、洗浄に液体を使用するため乾燥工程とセットで行う必要があり、乾燥が不十分だと半導体表面が酸化するほか、ウォーターマークと呼ばれるシミが発生します。また昨今製造される半導体は非常に微細な構造をしているため、薬液が微細構造の奥まで入り込めず洗浄が不十分だったり、逆に奥深くに入り込んだ薬液を除去できなかったりし、半導体構造にダメージを与える恐れがあります。

    ガスなどを利用するドライ方式

    薬液を使用せず、オゾンやアルゴンエアロゾルなどのガスを反応剤として使用したり、プラズマや遠心力などを利用して洗浄する処理方式をドライ方式と呼びます。ガスの方が液体より分子密度が圧倒的に低いため、化学反応が生じづらく高温化などの対策がなければ洗浄効果が低いのが難点です。

    また反応の制御も困難でウエハ自体の損傷を招く恐れもあるため、実態としてはほとんど実用化されていない洗浄方式です。但し薬液を使用しない分、液体の表面張力や不十分な乾燥によって発生するダメージが抑えられるため、部分的にドライ方式を採用して洗浄するケースはあります。

    まとめ

    今回は半導体製造に欠かせない半導体洗浄装置について、役割や種類といった基本的な内容を解説しました。単なる洗浄装置と思われるかもしれませんが、全体工程の3割を占める重要な役割を担う装置であることが理解できたのではないでしょうか。更なる集積度の向上に伴い、洗浄装置の重要度や要求性能も上がっていくと考えられるため、今後の発展に期待しましょう。

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