抵抗器にはどんな種類がある?それぞれの特徴をわかりやすく解説!
2024.08.27更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶最も基本的な要素として、電子機器に数多く使われている抵抗器。用途に合わせた使い分けが重要ですが、どんな種類があるかを知らずに使っている方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、抵抗器の主な種類とそれぞれの特徴を分かりやすく解説します。
リード抵抗
まずは抵抗にリード(足)が付いているリード抵抗から紹介します。簡単な電子回路に使われるほか、実験室でもよく利用されます。
ソリッド抵抗
ソリッド抵抗は、炭素粉末と樹脂やセラミックなどを棒状に焼結して、抵抗体として利用するリード抵抗のことです。高い抵抗値を持つことができ、耐圧性能や耐環境性に優れるため過酷な用途に向いているというメリットがあります。ただし精度が非常に悪く、高価であることから、今はほとんど使われていません。なお、高周波特性に優れるといった特徴もあります。
炭素皮膜抵抗(カーボン抵抗)
炭素皮膜抵抗は、セラミックの表面に炭素皮膜を行い、炭素部分を抵抗体として利用するリード抵抗のことです。素材が安価で作りやすいことと、炭素皮膜に溝を作って抵抗値を調整でき生産性が高いことから、長年非常に安価な抵抗として幅広く使われてきました。ただ、精度に劣り温度特性も悪いほか、経年劣化により性能が大きくばらつくなどの欠点もあり、最近は金属皮膜抵抗が安価に作れるようになったため、使用される頻度は減りつつあります。
金属皮膜抵抗
金属皮膜抵抗は、セラミックの表面に金属皮膜を行い、抵抗体として利用するリード抵抗です。カーボン抵抗と構造は同じで、抵抗体の素材のみが異なる製品となります。金属皮膜をペーストして作る厚膜タイプと、金属を蒸着する薄膜タイプがあります。主流は厚膜タイプで、価格こそカーボン抵抗より高価ですが、精度や温度特性、寿命に優れているため、抵抗器の主流として幅広く使われています。また、薄膜タイプはさらに精度が高いので、計測器やオーディオなどの精密機器に利用されています。
酸化金属被膜抵抗
酸化金属被膜抵抗は、セラミックの表面に酸化スズなどの酸化金属皮膜を行い、抵抗体として利用するリード抵抗です。酸化金属は熱に強いので、耐熱性に優れるという特徴を持ち、電力系統の回路など、比較的多く電圧・電流がかかる場所に使われます。また安価で使いやすいですが、大電力がかかっても焼損せずに発熱し続ける点には注意が必要です。
チップ抵抗
次に紹介するのは、電子回路に実装されるチップ抵抗の種類です。
金属皮膜抵抗
チップ抵抗では、ほとんどの製品に金属皮膜抵抗が使われています。リード抵抗と同様、チップ型のセラミックの表面に金属皮膜を形成し、両側に電極を取り付けた構造をしています。特に厚膜タイプが主流で、チップ抵抗の9割以上を占めると言われています。
ネットワーク抵抗
素材の違いではありませんが、チップ抵抗の場合、複数の抵抗を1つのチップに集約したネットワーク抵抗という種類もあります。抵抗アレイとも呼ばれます。ICのデジタル入出力回路など、1つの場所に複数の抵抗が必要になる際に、実装面積を削減できます。
巻線抵抗
最後に、主に大電力用途で使われる、巻線抵抗の種類について解説します。
セメント抵抗
セメント抵抗とは、巻線抵抗をセラミックケースに入れ、セメントで封入した抵抗のことです。セメントで保護しているため熱や振動、湿度などに強く、劣悪な環境でよく使われています。ただ、巻線を利用するためインダクタンス成分を持っており、高周波を用いる用途には適していません。
ホーロー抵抗
ホーロー抵抗は、巻線抵抗をホーロー(金属にガラス製の釉薬を焼き付けたもの)で保護した抵抗のことです。熱に強く、特に大電力を扱う用途に使われます。スライド金具を付けて可変抵抗にしたものがあるのも特徴です。ただ、ホーローは比較的振動に弱い点には注意が必要です。
メタルクラッド抵抗
メタルクラッド抵抗は、巻線抵抗を金属製のケースで保護した抵抗のことです。フィンが付いているなど放熱性を高める工夫がされており、熱の冷却を最優先に考える用途に適しています。放熱性が良い分、セメント抵抗やホーロー抵抗よりもサイズが小さいという特徴を持ちます。
まとめ
今回は、抵抗器の主な種類について分かりやすく解説しました。抵抗器はリード抵抗とチップ抵抗、巻線抵抗があり、それぞれで材料による特性の差があります。意図せぬ不具合を発生させないためにも、特性の差を理解して適切な製品を選べるようにしてください。
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