RFIDとは?仕組みやメリット・デメリットなどを徹底解説!
2024.08.08更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶モノの識別や管理を行う上で大きな役割を果たしている「RFID」。無線で通信することは知っていても、仕組みや採用することで得られるメリット・デメリットなどは知らない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、RFIDの仕組みや特徴など基本的な内容を紹介します。
RFIDとは
RFIDとは「Radio Frequency Identification」の略で、ICタグの情報を無線でやり取りすることにより、非接触で情報の取得・書き換えを行う技術のことです。第二次世界大戦のころに発明された技術ですが、1990年ころから普及が始まり、今では交通系ICカードやETCなど、私達の身近で便利な暮らしを支えています。
なお、RFIDという名称は本来ICタグとリーダー間の通信技術を指しますが、現在は通信技術を用いたシステムのこともRFIDと呼ばれています。
RFIDの構成要素と仕組み
RFIDはICタグ、RFIDリーダー、処理システムの3つの要素によって成り立っています。それぞれの役割と仕組みを解説します。
ICタグ
ICタグは、情報を記憶するICチップと、通信を行うためのアンテナによって構成されている部品のことを指します。RFタグと呼ばれることもありますが、ICタグと内容は同じです。ICタグはRFIDリーダーからの通信を受けて動作し、情報を送受信します。
電源を内蔵しているアクティブ型と、外部の電波から電源を供給して動くパッシブ型があり、用途に応じて使い分けが行われます。また、通信方式や周波数によってアンテナ形状が変わるので、ICタグのサイズや形状もさまざまですが、最近は小型化が進み米粒以下のサイズが増えつつあります。
RFIDリーダー
RFIDリーダーは、電磁波を放出してICタグへの電源供給や通信を行う機器のことです。ハンディタイプからゲート型まで数多くの形状があり、HF帯、UTF帯など通信距離に合わせて周波数を選び、通信を行います。
また、通信方式も電磁誘導方式、電波方式、静電結合方式、光通信方式といった方法があり、通信距離や周囲の状況に合わせて最適なものが選ばれています。
処理システム
最後の要素はパソコンによる処理システムです。RFIDリーダーを制御するほか、読み込んだ情報の処理を担当します。在庫管理システムなど、特定用途に合わせたアプリケーションになっていることが多いです。
RFIDの特徴
続いて、RFIDの特徴や、採用によって得られるメリットを紹介します。
広範囲の非接触通信が可能
RFIDは電波を使うため、広範囲のICタグと非接触で通信できるのがメリットです。商品の管理やデータの読み取りなどにかかる時間が一気に短縮されるので、作業効率の大幅な向上が期待できます。
また、ただ広範囲との通信を行うだけでなく、指向性を持たせて特定の方向にのみ通信を行う機能や、重ねて置かれたICタグを正しく検知する機能なども充実しています。通信周波数や出力を変えて検知距離を調整することと合わせ、用途に合わせて柔軟な使い方ができるでしょう。
汚れや遮蔽物に強い
従来のバーコードを使った方法では、カメラによる検知を行うため、対象が遮蔽物に隠れるような状況では使用できませんでした。しかし、RFIDでは電波による通信を行うため、遮蔽物や汚れがあっても通信に大きな影響がありません。
箱の中に入った商品を一気にスキャンするといった使い方もあり、作業の効率化に大きく貢献しています。
データの書き込みが可能
データの書き込みができるのもRFIDならではの特徴です。ICタグにはICチップが埋め込まれているため、RFIDライターを使えば都度最新情報に更新できます。
今まではシステム側で管理しなければならなかった、商品の出荷状況などのステータスをICタグに記憶させ、よりシンプルな在庫管理を行うといった活用方法があります。
ちなみに、ICタグには「リードライト型」「ライトワンス型」といった分類が行われており、種類ごとで何回書き込みができるかが変わります。書き込みできないICタグも存在するので、使い方に合わせて種類を変える必要があります。
RFIDの課題
さまざまなメリットがあるRFIDですが、採用するうえで注意すべきデメリットもあります。主なデメリット2点を紹介します。
初期投資が高額
RFIDは導入にかかる費用が高額です。特に、バーコードなどと比べるとICタグの価格が高いため、大規模なシステムになるほど初期投資の額に差が生まれてしまいます。最近では技術の発展に伴い値段が下がりつつあり、パッシブ型のICタグなら1枚10円程度となっていますが、まだまだ価格面での競争力は低いです。
そのため、通常はバーコードなどのシステムとRFIDを組み合わせるなど、用途を限定して利用するのが一般的です。
セキュリティリスクがある
RFIDは通信を行ってデータの読み込み・書き込みを行う原理上、情報を盗まれたり、データの改ざんやなりすましを受けたりするリスクがあります。
在庫管理に使う場合などでは重要な情報を扱わないため影響が少ないですが、電子マネーなど高機能なRFIDを利用する場合は大きな問題となる可能性があるため、強固なセキュリティを構築するなどの対策が必要です。
RFIDの用途
最後に、RFIDの主な用途を3つ紹介します。
製品管理
企業においては、在庫管理・検索や棚卸などの製品管理にRFIDが数多く使われています。製品管理は重要な業務ですが、手作業で一つ一つ確認を行う必要があったため、非常に手間がかかることが問題となりがちです。
そこで、製品一つ一つにRFIDを導入すれば、離れた距離の製品を一括で管理できるため、作業が格段に減り製品管理の効率が大きく向上します。また、電波の強さから物体との距離も検知できるため、倉庫内から特定の商品を探すといった応用もできるので、楽に製品管理が行えるようになるでしょう。
自動車のスマートキー
自動車において、鍵を挿さずにドアを開閉したり、エンジンをかけたりする「スマートキー」にもRFIDが使われています。RFIDの最も古い活用事例の一つであり、私達の暮らしを便利にする機能です。
自動車にはアンテナが設置されており、スマートキーの電波を受けて動作します。また、スマートキーのRFIDにはLF帯の電波が使われており、数十センチまでの距離でのみ動作するようになっています。
電子マネー
電子マネーの通信は、RFIDの一種である「NFC(近距離無線通信)」によって行われています。カード内部にICタグが内蔵されており、RFIDリーダーの通信範囲に入ると自動的に通信が行われ、お金のやりとりなどを瞬時に行います。
NFCの規格はさまざまな種類がありますが、日本では「FeliCa」という13.56MHzの電波を使った通信規格が一般的です。高いセキュリティを保ちながら安定した通信を行うことで、「かざすだけ」で簡単に支払いができるのを支えています。
まとめ
今回は、RFIDのことを知りたい方に向けて、仕組みや特徴、用途などを紹介しました。RFIDはICタグとリーダー間で無線通信を行い、非接触で情報の読み出し・書き込みを行う技術のことを指します。
範囲や検知方向を選択し、複数のICタグと通信できるのが特徴で、製品管理を格段に楽にしてくれるほか、スマートキーや電子マネーなど暮らしを便利にする用途でも数多く使われています。
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