ICタグって何?仕組みや種類をわかりやすく紹介!
2024.08.19更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶商品を識別したり、非接触で決済を行うための小さなRFIDタグについて、不思議に思ったことはありませんか?この便利なタグはIC(Integrated Circuit)タグと呼ばれ、人の暮らしを支える存在となりつつあります。今回は、そんなICタグの種類と仕組みについてご紹介します。
ICタグとは
ICタグ(RFタグ)は、内部にICとアンテナを搭載し、無線で情報の送受信を行えるようにした電子タグのことです。RFID(Radio-Frequency Identification)通信に使われることで、非接触・広範囲での物体の追跡や識別を実現します。
最近はICタグの進化によって小型化や低コスト化が実現したため、RFIDが製品管理を始め、電子マネーや車のスマートキーなど幅広い用途で用いられつつあります。RFID全般の知識や用途などを詳しく知りたい方は「RFIDとは?仕組みやメリット・デメリットなどを徹底解説!」をご覧ください。
ICタグの仕組み
ICタグの動作は、RFIDリーダーからの通信により始まります。RFIDリーダーは電界や磁界を照射し、それをICタグがアンテナで受信、指示に従ってIC内部のメモリ情報などを返送します。ここで、メモリにはタグが取り付けられた製品の情報などが格納されているため、データ交換によって物や人の識別、認証、追跡が可能になるのです。
また、ICタグは用途に合った性能を持たせるため、通信周波数や通信仕様などにさまざまな工夫が行われ、数多くの製品が開発されています。これらの違いについては、以下で解説します。
周波数によるICタグの分類
まずは、ICタグの通信周波数による違いについて解説します。扱う周波数の違いにより「LFタグ」「HFタグ」「UHFタグ」「マイクロ波タグ」の4種類で呼び分けられています。
LFタグ(30kHz~200kHz)
LFタグは、30kHz~200kHzという低い周波数帯域を用いる方式のICタグです。開発当初のICタグで使われた周波数帯であり、今でも自動車のスマートキーなどの用途で利用されています。LFタグは低周波信号を使うため障害物に強く、指向性が低いので広角度での通信が行えるのがメリットです。一方、周波数が低い分通信速度も遅いほか、長いアンテナが必要になるため小型化も難しいといったデメリットがあり、使われる頻度は下がっています。
HFタグ(13.56MHz)
HFタグは、13.56MHzの短波周波数で動作するICタグの名称です。数十cm以下の短距離通信しか行えませんが、その分通信性能が安定するため、1対1の確実な通信を行いたい時に向いています。セキュリティ性に優れるなどの特徴もあるため、電子マネーなどや入退室管理などの用途で幅広く使われています。
UHFタグ(952~954MHz)
UHFタグは、952~954MHz帯の高周波信号を用いたICタグの名称です。1cm~数十mまでという広範囲な測定が可能で、通信速度も速いため、ICタグの中でも最も一般的に使われています。通信の精度はHFタグに劣るため、1対1の通信より、多数のタグとの通信で主に用いられます。
マイクロ波(2.45GHz)
マイクロ波タグは、2.45GHzのマイクロ波帯を使って通信するICタグの種類です。超小型のICタグが作れるのがメリットで、実際に0.4mm角のICタグなどが開発され、利用されています。一方、マイクロ波は直進性が強いため障害物の影響が大きく、1m程度の通信しか行えません。また、電子レンジと同じ周波数帯であり、他の電子機器の影響を受けやすいことから、使用できる範囲も限られています。
電源の有無によるICタグの分類
続いては、ICタグへの電源供給方法の違いについてです。バッテリーを搭載するか電波で充電するかの違いにより「パッシブタグ」「アクティブタグ」「セミアクティブタグ」の3種類に分類されます。
パッシブタグ
パッシブタグは、ICタグ自身には電源を持たず、RFIDリーダーからの電波を使って充電し、動作する方式です。使える電気の量が限られるので通信距離は短いですが、電池が無い分安価で小型なタグが作れるため、在庫管理を始め幅広い用途で大量に使用されています。
アクティブタグ
アクティブタグは、ICタグに電池が内蔵された方式です。使える電力が大きいので100m単位での長距離通信が可能で、送れるデータ量も多くなります。ICタグの値段が高くなることや、電池の交換が必要で管理が面倒というデメリットがあるため用途は限られますが、工場における人・モノの位置監視、動線分析などによく用いられます。
セミアクティブタグ
通常はパッシブタグとして動き、RFIDリーダーからの指令があった時のみアクティブタグとして動くICタグのことをセミアクティブタグと呼びます。電池の消耗を抑えつつ、必要な時は強い電波を発信できるのがメリットで、アクティブタグの長所である長距離通信とパッシブタグの低コスト性を兼ね備えています。
通信規格による分類
最後に、ICタグの通信規格による違いについて紹介しましょう。通信規格は主に「NFC」「EPC」の2種類が利用されています。
NFC
NFCは「Near Field Communication」の略で、ISO規格で定められたHF帯の近距離通信方式のことです。電子マネーなど近距離で通信する用途で使われており、「FeliCa」と「Mifare」の2種類が主な規格として普及しています。「FeliCa」は高性能でセキュリティ面に優れており、日本のICカードなどで最も利用されています。一方、「Mifare」は機能でこそ劣るものの、価格が安価にすむため海外では主流となっています。
EPC
EPCは、RFIDに関する国際的な枠組みを提唱している組織「EPCglobal」によって推進されている標準化仕様のことです。ネットワーク型のRFIDシステムで、複数の企業をまたいだサプライチェーンの可視化やトレーサビリティの実現が行えることが強みとなっています。
まとめ
今回は、RFIDで使われるICタグについて、仕組みや種類を紹介しました。ICタグはICとアンテナを内蔵し、RFIDリーダーからの通信を受けて情報を返送することで、物や人の識別、認証、追跡が行える製品です。通信周波数やバッテリーの有無、通信規格など、ICタグの機能はさまざまな種類に分かれているため、用途に合わせた選定が重要となります。それぞれの特徴を理解し、製品管理などの改善に役立てましょう。
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