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FETプローブとは?特徴や測定時の注意点を技術者向けに解説

                   

2026年8月26日更新

この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川
「FREE AID」編集部:長谷川

大手メーカー「コマツ」、「オムロン」などで7年間、アナログ回路エンジニアとして設計・評価業務に従事。
ECU、PLCなどのエレキ開発経験を多数持つほか、機械商社での就労経験も有する。
株式会社アイズ運営の機電系フリーランスエンジニア求人情報「FREEAID」専属ライターとして、
機電分野の知識と実務経験を活かし、専門性の高い記事執筆を行っている。

FETプローブは、オシロスコープなどで電圧波形を測定する際に使用するアクティブプローブの一種です。入力インピーダンスが高く、入力容量が小さいため、測定対象の回路に与える影響を抑えながら高速信号を測定できます。本記事では、FETプローブの構造や特徴、パッシブプローブとの違い、測定時のポイントを解説します。

FETプローブとは?

FETプローブは、入力回路にFET(電界効果トランジスタ)を使用したオシロスコープ用のプローブです。プローブの測定信号は、FETのゲート側に入力されます。FETはゲートにほとんど電流が流れないため、測定対象の回路からプローブ側へ流れ込む電流を小さくできます。そのため、測定対象に与える負荷を抑えながら信号を取り出せます。

FETのソースやドレイン側は、FETを動作させるための回路や後段のバッファ・増幅回路などに接続されます。つまり、測定信号をゲートで受け、その後段の回路で信号を処理してオシロスコープへ伝える構成になっています。また、FETを使用した入力回路は入力容量を小さく設計しやすいため、高速信号の測定でも測定対象への影響を抑えられます。

FETプローブの特徴

続いて、FETプローブの特徴をもう少し詳しく紹介します。

高インピーダンス回路を測定しやすい

FETプローブは入力インピーダンスが高いため、信号源のインピーダンスが高い回路でも測定対象への影響を抑えやすいです。プローブの入力インピーダンスが十分に高くない場合、プローブを接続した際に測定対象から電流が流れ、回路の電圧や動作条件が変化することがあります。

特に、抵抗分圧回路やセンサー出力、FETのゲート周辺など、信号源のインピーダンスが高い箇所では注意が必要です。FETプローブは、こうした回路に対する抵抗性の負荷を小さくできるため、プローブを接続することによる動作への影響を抑えながら測定が行えます。

高速信号への影響を抑えやすい

FETプローブは入力容量が小さいため、高速に変化する信号に対する容量性負荷を抑えやすいことも特徴です。プローブを回路に接続すると、プローブの入力容量と測定対象の出力インピーダンスによってRC回路が形成されます。この影響が大きくなると、信号の立ち上がり・立ち下がりが遅くなったり、高周波成分が減衰したりする場合があります。

特に、立ち上がり時間が短いデジタル信号や高周波回路では、プローブの入力容量が測定結果に与える影響を無視できないことがあります。入力容量が小さいFETプローブを使用することで、測定対象への容量性負荷を抑え、より実際の信号に近い波形を観測しやすくなります。

広い周波数帯域

FETプローブは、低入力容量の入力回路とバッファ・増幅回路を組み合わせることで、広い周波数帯域に対応した製品が多いことも特徴です。パッシブプローブにも高帯域の製品はありますが、入力容量を低く抑えながら広帯域化するには設計上の工夫が必要です。

FETプローブでは、FETを用いた入力回路や後段のバッファ・増幅回路によって信号を処理することで、高速信号の測定に適した構成を実現できます。ただし、測定できる周波数範囲はプローブごとに異なるため、高速信号を測定する場合は、測定対象の周波数成分に対して十分な帯域を持つ製品を選定することが重要です。

パッシブプローブとの使い分け

パッシブプローブは、抵抗やコンデンサなどの受動部品を使用した構成が一般的で、比較的安価で扱いやすいことが特徴です。一般的な電源電圧や低速~中速の信号を測定する場合は、パッシブプローブで十分なケースが多くあります。

一方、FETプローブはFETやバッファ回路などの能動素子を使用し、高い入力インピーダンスと小さな入力容量を実現しています。特に、数百MHz以上の高速信号や、立ち上がり時間が数ns以下の信号、高インピーダンス回路などでは、FETプローブを検討する価値があります。

例えば、数十MHz程度のクロック信号で、波形の立ち上がり・立ち下がりも比較的緩やかな場合は、一般的なパッシブプローブでも対応できることが多いです。一方、クロック周波数が数百MHzに達する場合や、周波数自体は低くてもエッジが非常に高速な信号では、プローブの入力容量による波形への影響が大きくなるため、FETプローブが有効になります。

FETプローブを使用する際のポイント

次に、実際にFETプローブを使用する際、注意すべきポイントを解説します。

入力容量による測定対象への影響を考慮する

FETプローブは入力容量が小さいものの、入力容量がゼロになるわけではありません。例えば、測定対象の出力インピーダンスが100Ω、プローブの入力容量が1pFの場合、プローブによって形成されるRC回路の時定数は100psとなります。

測定対象の信号の立ち上がり時間が数百ps程度の場合、このような容量性負荷による影響を無視できないことがあります。このように、高速信号ではわずかな入力容量でも波形に影響する可能性があります。プローブを選定する際は、入力インピーダンスだけでなく入力容量も確認することが重要です。

GND接続を短くする

高速信号を測定する場合は、GND側の接続をできるだけ短くすることが重要です。プローブのGNDリードにはインダクタンスがあり、信号の変化が速いほど波形への影響が大きくなります。特に数cm程度の長いリードを使用すると、リンギングやオーバーシュートなど、実際の回路には存在しない波形が観測される場合があります。

そのため、高速信号を測定する場合は、測定点の近くにGNDを取り、数mm程度の短い接続にすることが理想的です。FETプローブでは、ワニ口クリップのような長いGNDリードではなく、スプリングタイプのGND端子や、測定基板にはんだ付けできる専用端子を使用することで、測定点とGND間の接続ループを小さくできます。

プローブの帯域を確認する

FETプローブは、一般的なパッシブプローブと比較して、広い周波数帯域を持つ製品が多く、高速信号や高周波信号の測定に適しています。ただし、デジタル信号を測定する場合は、クロック周波数だけでプローブの帯域を判断しないことが重要です。

デジタル信号の立ち上がり・立ち下がりが高速になるほど、基本周波数よりも高い周波数成分が多く含まれます。そのため、例えばクロック周波数がそれほど高くない信号でも、エッジが高速であれば、プローブの帯域が不足して波形の立ち上がりがなまる場合があります。

そのため、FETプローブを選定する際は、測定対象のクロック周波数だけでなく、立ち上がり・立ち下がり時間から想定される高周波成分まで十分に測定できるかを確認することが重要です。

最大入力電圧を確認する

FETプローブは、一般的なパッシブプローブと比較して、最大入力電圧が低い製品があります。これは、入力回路にFETなどの半導体素子を使用しており、入力段や保護回路に電圧上の制約があるためです。

そのため、FETプローブを使用する際は、測定対象の電圧がプローブの最大入力電圧を超えないか確認する必要があります。特に電源回路など、数十V以上の電圧を測定する場合は注意が必要です。

また、最大入力電圧はDC電圧だけでなく、DCに重畳するAC電圧や過渡的な電圧も含めて考える必要があります。製品によって仕様や条件が異なるため、実際の測定条件における最大入力電圧をデータシートで確認することが重要です。

まとめ

FETプローブは、高い入力インピーダンスと小さな入力容量を持ち、測定対象への負荷を抑えながら高速信号を測定できるプローブです。高速なエッジを持つ信号や高周波信号、高インピーダンス回路など、一般的なパッシブプローブでは測定対象への影響が大きくなる場合に適しています。

測定に使用する際は、入力容量やGND接続、プローブの帯域などを理解し、測定対象や信号速度に合わせて適切なプローブを選定することが重要です。FETプローブの特徴を正しく理解し、より実際の信号に近い波形測定に役立てましょう。

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