半導体のエッチングとは?原理・役割・注意点などを解説!
2025年12月29日更新
この記事を書いた人

大手メーカー「コマツ」、「オムロン」などで7年間、アナログ回路エンジニアとして設計・評価業務に従事。
ECU、PLCなどのエレキ開発経験を多数持つほか、機械商社での就労経験も有する。
株式会社アイズ運営の機電系フリーランスエンジニア求人情報「FREEAID」専属ライターとして、
機電分野の知識と実務経験を活かし、専門性の高い記事執筆を行っている。
半導体エッチングとは?
半導体エッチングとは、半導体製造工程において不要な材料を選択的に除去し、微細な回路や構造を形成する加工工程のことです。酸やアルカリなどの薬液、あるいはガスやプラズマ中のイオン・ラジカルが持つ化学的・物理的作用を利用し、シリコン酸化膜や金属膜などの薄膜を精密に削り取ります。
半導体デバイスでは、ナノメートルオーダーの寸法精度が要求されるため、狙った場所だけを正確に除去できるエッチング工程は、極めて重要な役割を担っています。
半導体製造工程におけるエッチングの位置づけ
半導体製造の前工程において、エッチングは回路パターンを実際の形としてウェハー上に作り出す役割を担っています。設計された回路は、そのままでは目に見える形にならないため、成膜やフォトリソグラフィと組み合わせて初めて具現化されます。
前工程では、成膜・フォトリソグラフィ・エッチングという工程を繰り返しながら、回路配線や半導体素子を一層ずつ形成していきます。まず、スパッタリングやCVDなどの手法を用いて、シリコン酸化膜や金属膜といった薄膜をウェハー表面に成膜します。
次に、フォトレジストと呼ばれる感光性樹脂を塗布し、フォトマスクを用いて露光・現像を行うことで、削る部分と保護する部分が明確に分けられます。この状態でエッチングを行うと、レジストで覆われていない領域の薄膜のみが除去され、フォトマスクに描かれた回路パターンがウェハー上に転写されます。
エッチングにおける等方性と異方性の違い

半導体デバイスの微細化が進むにつれ、エッチングでは単に材料を削るだけでなく、どの方向に、どのような形状で削れるかが重要になっています。この削れ方の違いを表す概念が、「等方性」と「異方性」です。
等方性エッチングとは、全ての方向にほぼ同じ速度でエッチングが進む性質を指します。深さ方向だけでなく横方向にもエッチングが進行するため、表面を均一に処理したい場合には適していますが、回路パターンの下側まで削れてしまうアンダーカットが生じやすいという特徴があります。
一方、異方性エッチングは、特定の方向、主にウェハーの深さ方向に選択的にエッチングが進む性質を持ちます。この特性により、側壁が垂直に近い微細構造を形成することが可能となり、配線間隔が極めて狭い回路や、3D NANDのようにアスペクト比の高い構造では不可欠な技術となっています。
このように、エッチングの等方性・異方性は、回路寸法や構造の成否を左右する重要な要素であり、目的とするデバイス構造に応じて適切なエッチング方式を選択する必要があります。
エッチングの種類
半導体エッチングは、大きくウェットエッチングとドライエッチングの2種類に分類されます。それぞれ原理や特徴が異なり、用途に応じて使い分けられています。
ウェットエッチング
ウェットエッチングは、酸やアルカリなどの薬液を用いて、材料を化学反応によって溶解除去する方法です。
シリコンウェハーの加工では、水酸化ナトリウムなどの高純度アルカリ液や、硝酸とフッ酸を混合した混酸がエッチング液として用いられることがあります。
薬液が試料表面に直接接触して反応するため、加工装置の構造が比較的単純で、導入コストを抑えやすいという特徴があります。一方で、薬液が全方向に作用するため、基本的には等方性エッチングとなり、微細な回路パターンではアンダーカットが生じやすい点に注意が必要です。
ドライエッチング
ドライエッチングは、薬液を使用せず、ガスやプラズマを利用して材料を除去するエッチング方法です。
エッチング原理の違いにより、ガスエッチング、スパッタエッチング、反応性イオンエッチングの3種類に大別されます。
ガスエッチングは、ガスとウェハー表面との化学反応を利用する方法で、比較的等方性のエッチングとなります。
スパッタエッチングは、高真空中でプラズマ化した不活性ガスのイオンをウェハーに衝突させ、物理的な作用によって材料を除去する方法です。
これらに加えて、イオンによる物理作用とラジカルによる化学反応を同時に利用する手法を、反応性イオンエッチング(RIE)と呼びます。RIEは異方性エッチングが可能であり、現在の半導体製造では最も一般的に用いられています。
ウェットエッチングの特徴
ウェットエッチングの大きな特徴は、装置構造が比較的単純で、導入コストを抑えやすい点にあります。薬液を用いた化学反応による加工であるため、基板全体に対して均一に作用しやすく、材料へのダメージが比較的小さいことも利点の一つです。
一方で、薬液が全方向に作用する性質上、エッチングは基本的に等方性となります。そのため、回路パターンの下側まで削れてしまうアンダーカットが生じやすく、微細な配線や高密度な回路構造の形成には不向きな場合があります。また、腐食性の高い薬液を扱うため、安全管理や廃液処理が重要な課題となります。
ドライエッチングの特徴
ドライエッチングの特徴は、異方性エッチングが可能であり、加工精度が非常に高い点にあります。特に反応性イオンエッチング(RIE)では、プラズマ中のイオンとラジカルの作用を制御することで、垂直に近い側壁を持つ微細構造を形成できます。このため、微細化が進んだ現在の半導体製造では、ドライエッチングが主流の方式となっています。
その反面、装置構成が複雑で高価になりやすく、運用コストも高くなる傾向があります。また、プラズマによる物理的・電気的ダメージが基板に影響を与える可能性があるため、プロセス条件の最適化が不可欠です。
なぜドライエッチングが主流となっているのか
現在の半導体製造において、ドライエッチングが主流となっている最大の理由は、微細化と高集積化への対応力の高さにあります。回路寸法がナノメートルレベルに達した現代のデバイスでは、配線幅やトランジスタ構造を正確に制御することが不可欠であり、等方性エッチングでは寸法誤差が問題となりやすくなります。
ドライエッチング、特に反応性イオンエッチングでは、エッチング方向性を制御できるため、垂直性の高い側壁を持つ構造を形成することが可能です。この特性は、配線の短絡防止や、3D NANDのようなアスペクト比の高い構造の実現において大きなメリットとなります。
一方で、装置コストやプロセス管理の難しさといった課題はあるものの、微細構造形成における再現性や設計自由度の高さが評価され、結果としてドライエッチングが半導体製造の中心的な技術となっています。
ウェットエッチングとドライエッチングの使い分け
ウェットエッチングとドライエッチングは、優劣の関係ではなく、目的に応じて使い分けられる技術です。ウェットエッチングは、加工精度よりも処理効率やコスト、材料への低ダメージ性が重視される工程に適しています。例えば、比較的寸法精度の要求が緩い工程や、表面を均一に処理したい場合には、ウェットエッチングが有効です。
一方、ドライエッチングは、微細な回路パターンや高アスペクト比構造など、高い加工精度が求められる工程で用いられます。特に、配線の微細化や多層構造が進む先端デバイスでは、ドライエッチングなしでは成立しない工程も少なくありません。このように、半導体製造では、工程の目的や求められる特性に応じて、ウェットエッチングとドライエッチングを適切に組み合わせながらプロセスが構築されています。
まとめ
半導体エッチングは、成膜やフォトリソグラフィによって定義された回路パターンを、実際の構造としてウェハー上に形成する重要な工程です。等方性・異方性といったエッチング特性は、微細化が進む半導体デバイスの性能や信頼性に大きく影響します。
エッチングにはウェットエッチングとドライエッチングがあり、コストや低ダメージ性を重視する工程では前者が、高精度な微細加工が求められる工程では後者が用いられます。用途や要求精度に応じたエッチング方式の選択が、安定した半導体製造を支えています。
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