シグマデルタ型ADコンバーターとは?他のADコンバーターとの違いを解説!
2025年12月28日更新
この記事を書いた人

大手メーカー「コマツ」、「オムロン」などで7年間、アナログ回路エンジニアとして設計・評価業務に従事。
ECU、PLCなどのエレキ開発経験を多数持つほか、機械商社での就労経験も有する。
株式会社アイズ運営の機電系フリーランスエンジニア求人情報「FREEAID」専属ライターとして、
機電分野の知識と実務経験を活かし、専門性の高い記事執筆を行っている。
シグマデルタ型ADコンバーターとは?
シグマデルタ型ADコンバーターとは、入力アナログ信号を非常に高いサンプリング周波数で取り込み、平均化(デジタル処理)によって高分解能を得るADコンバーターのことです。AD変換を高精度・高分解能で行いたい時に役立ち、オーディオ機器やセンサー、医療機器などでよく用いられます。
ADコンバーターとは

前提として、ADコンバーターがどのような役割を持っているか説明します。ADコンバーターとは、アナログ信号をデジタル信号に変換する機能を持った電子部品のことです。現実世界の情報は全てアナログ信号なので、センサーなどでコンピュータ上に情報を取り込もうとすると、必ずAD変換が必要になります。そのため、ADコンバーターは現実の情報を扱う全ての機器に搭載され、情報の変換に役立っています。
ADコンバーターはコンピューターの登場と共に必要となったので、その歴史は長く、様々な原理の製品が登場しています。ただ、アナログ信号を離散的なデジタル信号にすると必ず情報の欠損が生じる問題があり、より正確に情報を変換するための取組みが今も続けられています。
シグマデルタ型ADコンバーターの特徴
続いて、シグマデルタ型ADコンバーターの特徴を詳しくお伝えします。
分解能が非常に高い
シグマデルタ型ADコンバーターは、他のADコンバーターにはない高分解能での変換が行えます。ADコンバーターの分解能とは、入力された電圧をどの程度の区切りで認識できるかという指標です。例えば、最大電圧が1V、8ビットの分解能を持つADコンバーターなら、1Vを2の8乗=256で分割できるので、3.9mVごとに信号の差を認識できます。一方、16ビット、24ビットというようにビット数が増えると、指数関数的に分割数が増えるため、より細かな電圧差を認識できます。
この分解能はADコンバーターの仕組みごとで限界がありますが、シグマデルタ型ADコンバーターでは24ビットや32ビットの高い分解能を実現できるという特徴があります。そのため、非常に誤差の小さいAD変換が行えます。
量子化ノイズが少ない
シグマデルタ型ADコンバーターのもう一つの特徴は、量子化ノイズの少なさです。量子化ノイズとは、連続的なアナログ信号を離散的なデジタル信号に変換する際、生じる誤差のことです。この量子化ノイズは分解能を上げることで減らせるだけでなく、後述するノイズシェーピングなどで減らすこともできるので、シグマデルタ型ADコンバーターは他のADコンバーターと比べて大きく量子化ノイズを低減できています。
シグマデルタ型ADコンバーターの原理

続いて、シグマデルタ型ADコンバーターにおけるAD変換の基本的な原理を紹介します。
アナログ信号の入力
まずは、アナログ信号をサンプリング周波数に合わせて取得します。他のADコンバーターでは、サンプリング周波数を高すぎず低すぎず、情報をある程度正確に取得できる数値に設定するのが一般的です。しかし、シグマデルタ型ADコンバーターでは、サンプリング周波数を非常に高くし(オーバーサンプリング)、取得する信号よりも圧倒的な高頻度でサンプリングを行います。
減算器
入力されたサンプリング信号は、減算器によって基準電圧と比較され、差分が出力されます。この基準電圧はフィードバック回路により、一つ前のサンプリング信号の出力が1ならVref、0なら-Vrefが出力されるようになっています。
積分器
減算器の出力は、次に積分器に入力されます。積分器では、入力信号が一つ前の出力信号と足し合わせられます。今回の入力信号が1/2Vref、前の出力が1/3Vrefの時なら、今回の出力信号は1/2+1/3=5/6Vrefとなります。
量子化
最後に、積分器で出力された信号を量子化し、1か0のデジタル信号に変換して出力します。具体的には、例えば0Vなど特定の基準電圧を設定し、入力がそれ以上なら1、以下なら0という出力となります。
フィードバック
量子化後に出力されたデータは、1サンプリング分の遅延をかけた上でフィードバックされ、減算器の基準信号に使われます。減算器の所でも説明していますが、シンプルに言うとこのフィードバックによって、一つ前の信号と今の信号を比較し、大きいか小さいかを記録できるようになっています。
シグマデルタ型ADコンバーターが高精度な理由

ここまでシグマデルタ型ADコンバーターによるAD変換の仕組みを簡単に説明しましたが、この内容でなぜ高精度なAD変換が行えるかは分からないと思います。そこで、シグマデルタ型ADコンバーターが高精度を実現できる理由をもう少し分かりやすく解説します。
オーバーサンプリング
まず、大きなポイントになるのは、オーバーサンプリングによる高精度なデジタル化です。通常、ADコンバーターはサンプリング周波数を増やすほどデータ量が増えるので、現実的なサンプリング速度を保つにはサンプリング周波数を一定以下にしなければなりません。
しかし、シグマデルタ型ADコンバーターでは減算や積算などを活用して、オーバーサンプリングしたデータを低ビットデータに変換することができます。これにより、サンプリング速度を保ちながら分解能を大きく上げられるので、高精度なAD変換が実現できています。
ノイズシェーピング
もう一つ、シグマデルタ型ADコンバーターが高精度を実現できる理由として「ノイズシェーピング」が挙げられます。ノイズシェーピングとは、量子化ノイズを信号よりも高周波の領域にずらすことで、結果的に信号のSN比を高めることをいいます。このノイズシェーピングは、出力データをフィードバックさせて1サンプル後の入力データと比較させる際に生じ、ローパスフィルタと組み合わせることで信号のノイズを減らすのに貢献しています。
また、オーバーサンプリングにより、信号周波数以上の高周波数領域でデータ取得することも、ノイズシェーピングの効果向上に一役買っています。量子化ノイズは総量が一定で、全周波数にまんべんなく分布するため、信号周波数帯のノイズを結果的に減らすことができます。
まとめ
今回は、AD変換手法の一つである、シグマデルタ型ADコンバーターの基本的な原理や特徴について解説しました。シグマデルタ型ADコンバーターは量子化ノイズを可能な限り減らし、高精度なAD変換が行えるコンバーターです。構造は直観的に分かりにくいですが、様々な工夫によって誤差を減らす努力が行われており、その性能の高さから多くの用途で活用されています。より詳しく知りたい方は、詳しい原理やシグマデルタ型ADコンバーターの出力波形などを見て内容を理解してみて下さい。
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