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SPI通信とは?仕組みや特徴、設計時のポイントを技術者向けに解説

                   

2026年8月14日更新

この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川
「FREE AID」編集部:長谷川

大手メーカー「コマツ」、「オムロン」などで7年間、アナログ回路エンジニアとして設計・評価業務に従事。
ECU、PLCなどのエレキ開発経験を多数持つほか、機械商社での就労経験も有する。
株式会社アイズ運営の機電系フリーランスエンジニア求人情報「FREEAID」専属ライターとして、
機電分野の知識と実務経験を活かし、専門性の高い記事執筆を行っている。

SPI通信は、マイコンとセンサーやメモリなどの周辺ICを接続する際によく使用されるシリアル通信方式です。高速なデータ転送が可能で、多くのマイコンや周辺デバイスが対応していることから、組み込み機器や産業機器など幅広い分野で採用されています。この記事では、そんなSPI通信の仕組みや特徴、設計時に押さえておきたいポイントを解説します。

SPI通信とは?

SPI通信とは?

SPI(Serial Peripheral Interface)通信とは、マイコンと周辺デバイスを接続するために使われる、同期式シリアル通信方式の一つです。センサーやEEPROM、フラッシュメモリ、A/Dコンバータなど、多くのICで採用されており、組み込み機器や産業機器の開発では非常に使用頻度の高いインターフェースといえます。

SPI通信はクロック信号に同期してデータを送受信するため、高速かつシンプルな通信を実現できます。一方で、I2Cと比較すると配線本数が多くなることや、複数のデバイスを接続する際にCS(Chip Select)信号が必要になるなどの注意点もあります。

なお、SPIはMotorolaが提案した通信方式ですが、厳密な国際規格ではありません。そのため、基本的な動作は共通しているものの、対応するSPIモードや最大通信速度などはデバイスごとに異なります。

SPI通信の特徴

SPI通信の大きな特徴は、比較的高速なデータ転送が可能なことです。通信に必要な処理がシンプルで、数MHzから数十MHz程度のクロックで動作するデバイスもあるため、A/Dコンバータやフラッシュメモリなど、高速なデータ転送が必要なデバイスとの接続に適しています。

また、データの送信と受信にそれぞれ専用の信号線を使用するため、送受信を同時に行うフルデュプレックス通信に対応しています。一方で、基本的に複数の信号線が必要で、接続するデバイスが増えるとCS信号も増えるため、I2Cなどと比べて配線やGPIOの使用数が多くなりやすい点には注意が必要です。

SPI通信の仕組み

SPI通信の仕組み

続いて、SPI通信でどのようにデータをやり取りするのかを見ていきましょう。SPI通信では、マスターとスレーブの間で、クロック信号に合わせてデータを送受信します。通常はマイコンがマスターとなり、センサーやメモリなどの周辺ICがスレーブとなります。通信に使用する信号線は、主に以下の4種類です。

・SCLK(Serial Clock):マスターが出力するクロック信号
・MOSI(Master Out Slave In):マスターからスレーブへデータを送る信号線
・MISO(Master In Slave Out):スレーブからマスターへデータを送る信号線
・CS(Chip Select):通信するスレーブを選択する信号線

マスターはSCLKを出力するとともに、通信したいスレーブのCSをアクティブにします。これにより通信するデバイスを選択し、SCLKのクロックに合わせてMOSIとMISOでデータを送受信します。

通信が終了すると、マスターがCSを非アクティブに戻して通信を終了します。このように、SPIではマスターが通信全体を制御し、CSによって複数のスレーブから通信対象を選択する構成が基本となります。

SPI通信を設計する際のポイント

SPI通信を設計する際のポイント

それでは、SPI通信を使用する際における、設計上の主なポイントを解説します。

SPIモード(CPOL・CPHA)を確認する

SPI通信では、クロックの極性(CPOL)と位相(CPHA)の組み合わせによって、Mode 0~Mode 3の4種類の通信モードを選べます。CPOLはクロックが待機時にHighとLowのどちらになるかを、CPHAはクロックのどのタイミングでデータを読み取るかを決めるものです。

SPI対応ICは、すべてのモードに対応しているとは限りません。例えば、あるICはMode 0とMode 3に対応していても、別のICはMode 0にしか対応していないなど、デバイスによって対応可能なモードが異なります。そのため、マイコンと接続するICのデータシートを確認し、対応するSPIモードを把握する必要があります。

実際の設定では、マイコンに内蔵されたSPI通信機能のレジスタやドライバで、CPOLとCPHAを設定します。例えば、周辺ICがMode 0を要求している場合は、マイコン側もCPOL=0、CPHA=0に設定します。設定後は、必要に応じてオシロスコープやロジックアナライザでSCLKやデータ信号を確認し、データが正しいタイミングで送受信されているかを確認します。

なお、データシートでは「Mode 0」などの表記ではなく、「Clock polarity」や「Clock phase」といった形で記載されている場合もあります。そのため、モード番号だけで判断せず、タイミングチャートを確認することが重要です。

通信速度はデバイスの仕様に合わせる

SPIは高速通信が可能ですが、デバイスごとに最大クロック周波数が決められています。例えば、マイコンが20MHzで通信できても、接続するセンサーが5MHzまでしか対応していない場合、5MHzを超えて動作させると正常に通信できない可能性があります。

また、最大クロック周波数だけでなく、データのセットアップ時間やホールド時間など、信号のタイミング条件も確認する必要があります。マイコン側が高速なクロックを出力できても、スレーブ側が要求するタイミングを満たせなければ、データを正しく読み取れません。

さらに、SPIではクロック周波数を高くするほど、基板上の配線や負荷容量による信号波形への影響も大きくなります。特に配線が長い場合や複数のデバイスを接続する場合は、クロック周波数を下げることで通信が安定するケースもあります。

そのため、SPIの通信速度は「マイコンが出せる最大速度」ではなく、接続するデバイスの仕様やタイミング条件、基板の配線条件などを考慮して決定することが重要です。

CS信号の制御方法を考慮する

SPIでは、接続するスレーブごとにCS信号を用意し、通信するデバイスを選択します。通常、通信したいスレーブのCSをアクティブにすると、そのデバイスがMISOを使ってデータを返します。そのため、複数のスレーブを同じSPIバスに接続する場合は、通信対象以外のCSを非アクティブにしておく必要があります。

特に注意したいのが、複数のデバイスが同時にMISOを駆動しないようにすることです。CSの制御を誤ると、複数のICが同じ信号線を駆動して信号が競合する可能性があります。そのため、複数デバイスを接続する場合は、各ICのCSの論理や、CSを切り替えるタイミングをデータシートで確認することが重要です。

また、接続するデバイスが増えると、CS用のGPIOも多く必要になります。システム構成を決める段階で、SPIの信号線だけでなくCSに必要なGPIO数も確認しておくことが重要です。

高速通信では基板レイアウトにも注意する

SPIでは、クロック周波数が高くなるほど、配線の長さや分岐、寄生容量などが信号波形に影響しやすくなります。特にSCLKはデータを読み取るタイミングの基準となるため、波形が乱れると通信エラーにつながる可能性があります。

そのため、SCLKやMOSI、MISOなどの信号線はできるだけ短くし、不要な分岐を避けることが基本です。また、信号線の近くにGNDを確保してリターン電流の経路を確保し、他の高速信号線と長く並走させないことで、クロストークの影響も抑えられます。

なお、SPIの信号品質はクロック周波数だけで決まるわけではありません。マイコンやICのI/O回路によっては立ち上がり・立ち下がりが非常に速く、数MHz程度のクロックでも配線の寄生容量やインピーダンスの影響によってリンギングなどが発生する場合があります。

通信速度を上げた際に通信が不安定になる場合は、単純にクロック周波数を下げるだけでなく、オシロスコープでSCLKやMOSI、MISOの波形を確認し、信号品質に問題がないかを評価することも重要です。

まとめ

SPI通信は、高速かつシンプルな同期式シリアル通信方式であり、センサーやメモリ、A/Dコンバータなど多くの周辺ICとの接続に利用されています。一方で、SPIモードの設定や通信速度、CS信号の制御など、安定した通信を行うために確認すべきポイントもあります。

また、高速通信では基板レイアウトや配線長も通信品質に影響するため、デバイスのデータシートを確認しながら適切に設計することが重要です。SPI通信の特徴を理解することで、用途に応じた適切なインターフェースを選択し、安定したシステム設計につなげることができます。

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