半導体のダイシングとは?種類・原理をわかりやすく解説!
2026年2月25日更新
この記事を書いた人

大手メーカー「コマツ」、「オムロン」などで7年間、アナログ回路エンジニアとして設計・評価業務に従事。
ECU、PLCなどのエレキ開発経験を多数持つほか、機械商社での就労経験も有する。
株式会社アイズ運営の機電系フリーランスエンジニア求人情報「FREEAID」専属ライターとして、
機電分野の知識と実務経験を活かし、専門性の高い記事執筆を行っている。
半導体のダイシングとは?
半導体製造におけるダイシングとは、前工程で製作した半導体ウェハーを1つ1つの半導体チップ(通称ダイ)へと切り出す工程のことです。そもそも半導体の製造工程は前工程・後工程に大別され、そのうち前工程がシリコンウェハー上に回路配線や半導体素子を構築していく工程で、後工程は半導体ICとして仕上げる工程となります。
前工程の完了直後は、1枚のシリコンウェハー上に複数の半導体回路が連なった状態となっており、個別のダイへと分離する必要があるため、それを実現するためにダイシングが行われます。
ダイシングの種類と原理
ダイシングと一括りに言っても、実際に半導体ウェハーから1枚1枚のチップへと分離する方法はいくつかの種類が存在します。それぞれの原理や特徴について解説します。
ブレードダイシング
ブレードダイシングは、円盤状のダイヤモンドブレードを高速回転させながらウェハーへ押し当て、チップ状のダイへ物理的に切り分ける手法です。ダイヤモンドブレードの刃先は鋭利な刃物状ではなく、無数の細かい砥石(ダイヤモンド粒粉)が接着された構造をしており、刃先の厚み分だけウェハーを削るイメージで切断を行います。
ブレードダイシングによる切断時には大量の摩擦熱と切削屑が発生するため、超純水をかけて冷却と切削屑の除去を同時に行いながら切断します。またブレードダイシングの応用技術として、超音波を使ってブレードを僅かに振動させることで、より硬度の高い材質の切断を可能にする超音波ダイシングという手法もあります。
スクライブブレークダイシング
スクライブブレークダイシングは、ダイヤモンドブレードでウェハーを完全に切断するのではなく、クラックと呼ばれる僅かな切り込みを作ってから圧力を掛けて切断する手法です。クラックを作る工程がスクライブ工程で、クラックに圧力を掛けて切断する工程がブレーク工程であり、ウェハーの切断面が鏡面のようにスムーズに仕上がるのが特徴です。
また、ブレードダイシングに比べて切削屑が少なく、冷却用の水を使用しない上、摩擦などによるウェハーへのダメージが少ないなどの利点もあります。
ステルスダイシング
ダイヤモンドブレードを使用せず、ウェハー内部に光を照射し、改質層を形成してから外力を加えて切断する方式をステルスダイシングと呼びます。光を照射した後はエキスパンドテープで引っ張り、改質層に出来た亀裂を進展させることで切断します。
切断の原理上、衝撃や切削屑がほとんどなく、ウェハーにダメージを与えずに切断できるのが強みです。また、切断に使用するレーザー径も非常に小さく、ダイヤモンドブレードを使用する方式に比べて切断ロスが少ないメリットもあります。
レーザーアブレーションダイシング
光源から発せられた短パルス光をレンズで集光し、非常に小さい高エネルギーレーザー光としてウェハーへ照射することで、ウェハーを焼き切るように蒸発、昇華させて切断する方式をレーザーアブレーションダイシングと呼びます。ステルスダイシングと同様、物理的な接触を伴わずに切断するため、切削屑が少ないうえにウェハーへ与えるダメージも非常に少ないです。またガラスやプラスチック、セラミックなど、従来の方式では加工が難しい透明材料や硬質材料にも使用できます。
ダイシングの流れと切断方法の違い
続いて具体的なダイシングの流れや切断方法の違いについて、最も一般的なブレードダイシングを例に解説していきましょう。
ブレードダイシングの大まかな流れ
ブレードダイシングの大まかなを行う際は、準備作業としてウェハーマウントが欠かせません。ウェハーマウントとは、ウェハーより一回り大きいリング状のフレームに専用のテープを貼り付け、その上にウェハーを載せて固定することで、切断後のチップや切削屑が飛散しないようにする養生のことです。
ウェハーマウントが完了したら実際にブレードダイシングを行い、切削屑を十分に洗浄します。洗浄後はウェハーマウント用のテープに紫外線を照射し、粘着力を低下させてからエキスパンド工程でテープを引き伸ばし、1つ1つのチップを取り外しやすくしたらブレードダイシング工程は完了です。
ブレードダイシングにおける切断方法
ブレードダイシングでは、ウェハーへの刃の入れ方や切断の深さなどによって、幾つかの種類が存在します。例えばウェハーの厚み以上に刃を入れてウェハーを完全に切断する方法はフルカットと呼ばれ、反対にウェハーの厚みの中間程度まで刃を入れる切断方法はハーフカットと呼ばれます。
他にも厚みの異なるブレードを使い、ハーフカットとフルカットの2段階に分けて行うカットをステップカットと呼び、ステップカットにおいてハーフカット時にV字形のブレードを使用し、切断部に面取り加工も同時に施すカットはベベルカットと呼びます。
ダイシングのクオリティを左右するカットライン精度とチッピング幅
ダイシングのクオリティを左右する用語として、カットライン精度とチッピング幅があります。カットライン精度とはカット位置の精度を表した用語で、ブレードダイシングを例に挙げると、ブレードを当てる位置が目標位置からどれだけズレても良いかを表す数値となります。
また、ダイシング後の切断面の近くに欠けや割れが生じる現象をチッピングと呼びますが、このチッピングを許容する範囲をチッピング幅と呼びます。当然ですが、これらの数値は小さいほどダイシングのクオリティは高く、一般的なダイシングであれば、要求されるカットライン精度は±3μm以内、チッピング幅は±10μm以下程度です。
まとめ
今回は半導体製造の後工程におけるダイシングについて、種類別の特徴や原理、具体的な流れや問題点などを網羅的に解説しました。一言で言ってしまえばウェハーからチップを切り出すだけの作業ですが、切断時に大きなチッピングが起きたりすると半導体性能の低下を招いてしまうため、非常に重要な工程であることが理解できたのではないでしょうか。半導体製造工程は他にも様々な工程があるため、気になる人は詳しく調べてみると良いでしょう。
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