チップ抵抗の硫化現象とは？メカニズムや対策方法をわかりやすく解説！｜機電系エンジニア専門の求人情報サイト

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チップ抵抗の硫化現象とは？メカニズムや対策方法をわかりやすく解説！

2024.08.27更新

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この記事を書いた人

長谷川

FREE AID編集部機電系専門ライター Div.
アナログ回路設計・営業を経験した後ライター＆ディレクターとして独立。
電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

電子回路には欠かせない存在として多用されているチップ抵抗ですが、特殊な環境で使われていると起きる「硫化現象」という問題があることをご存じでしょうか。本記事では、硫化現象のメカニズムや対策、注意点などをわかりやすく解説します。

この記事の目次

チップ抵抗の硫化現象とは

まずは、チップ抵抗の硫化現象がどのような内容かを紹介します。チップ抵抗の硫化現象とは、抵抗の内部電極として使っている銀が硫黄と反応し、硫化銀になってしまう現象を指します。硫化銀は絶縁体で電気を通さないため、硫化現象によってチップ抵抗が機能しなくなるという問題点があります。

チップ抵抗はめっきや保護層によって守られているため、通常は電極が硫化することはありません。しかし、長期間使用している中で腐食が進み、電極まで硫化が到達することによって問題が表面化します。

硫化現象の細かなメカニズム

続いて、硫化現象が起きる細かなメカニズムをもう少し詳しくお話しましょう。硫化現象が生じる主な原因は、チップ抵抗の電極を守るめっき層と、抵抗体を守る保護層の接合部に硫黄成分が侵入することです。侵入した硫化成分は徐々に内部電極の銀と反応して腐食させていき、最後は断線させてしまいます。生成された硫化銀はチップ抵抗の表面に盛り上がる形で出てくるため、硫化現象が進むと目視でも判別できるようになります。

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チップ抵抗の硫化現象への対策

チップ抵抗の硫化現象は一般によく見られる現象のため、チップメーカでも硫化しやすい環境で使えるような対策を施しています。ここでは主な対策として見られる2つの方法を紹介します。

電極を硫化耐性の材質に変える

一つ目の対策は、電極を銀ではなく、硫化しない材質の金属に変える方法です。そもそも電極が硫化しなくなるので、硫化現象自体を完全に無くせるメリットがあります。一方、硫化しない金属には金や銀パラジウムを使うことが多いですが、どちらも高価なものが多いのでコストが上がってしまう問題点があります。

チップ抵抗に耐硫化層を追加する

もう一つの対策は、電極の表面に耐硫化層を追加し、電極をより強固に守る方法です。電極自体に対策を行うわけではないため対策としては弱くなりますが、保護層とめっき層の隙間から硫化成分が侵入するのを防げるため、一定の効果が見込めます。また、電極の材質を変えずに済むためコストが比較的安くすむといったメリットもあります。

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チップ抵抗は使用環境に注意しよう

このように、硫化現象は電子回路の故障につながるため、チップメーカの対策品を使うかどうか、使用環境に応じて選択しなければなりません。硫化が起きるかは周囲の環境によって大きく変わります。まず、周囲に硫黄ガスが満ちている温泉地や火山など、雰囲気中に硫黄成分がある場合は対策が必須です。

また、工作機械や建設機械などで使うオイルや、ゴム製品には硫黄を添加していることがあるので、硫化現象につながる可能性があります。このような場合は、耐硫化部品を使わなくとも筐体での保護や物理的な距離を離すなどの対策でも改善することがあるので、原因を見極める必要があるでしょう。

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まとめ

今回は、チップ抵抗の硫化現象について、メカニズムや対策方法などを解説しました。チップ抵抗の硫化現象とは外部の硫黄成分によって内部電極が腐食し、断線してしまう現象のことです。オイルやゴムを使用する産業機器など、硫黄成分がチップ抵抗に触れやすい環境で良く発生します。

一般的によく生じる不具合なので、耐硫化部品を選択することで簡単に対策が行えますが、その分コストが上がるといったデメリットもあります。硫黄成分が部品に触れないようにする対策も効果があるため、様々な対策方法を検討するとよいでしょう。

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