基板実装の意味や種類とは?工程や不良も含め解説!
2026年3月22日更新
この記事を書いた人

大手メーカー「コマツ」、「オムロン」などで7年間、アナログ回路エンジニアとして設計・評価業務に従事。
ECU、PLCなどのエレキ開発経験を多数持つほか、機械商社での就労経験も有する。
株式会社アイズ運営の機電系フリーランスエンジニア求人情報「FREEAID」専属ライターとして、
機電分野の知識と実務経験を活かし、専門性の高い記事執筆を行っている。
基板実装とは?
基板実装とは、プリント基板(PCB/PWB)の上に抵抗やコンデンサ、半導体ICなどの電子部品を取り付け、電気的に接続する工程のことです。電子機器は、プリント基板上に多数の電子部品を配置し、それらを配線で接続することで回路として機能します。基板実装は、この電子回路を実際の製品として成立させるための重要な製造工程であり、実装方式や工程の管理によって製品の品質や信頼性が大きく左右されます。
基板実装の種類

基板実装には大きく分けて「挿入実装(THT)」と「表面実装(SMT)」の2種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
挿入実装(THT)
挿入実装はTHT(Through Hole Technology)と呼ばれる方式で、電子部品から出るリード線をスルーホールと呼ばれる基板の穴に挿入し、基板裏面のランド部分にはんだ付けして固定する実装方法です。代表的な部品としては、DIP(Dual In-line Package)形状のICなどが挙げられます。
挿入実装では、はんだごてを使って手作業ではんだ付けする手実装のほか、フローソルダリングと呼ばれる自動はんだ付け方法が用いられることもあります。フローソルダリングでは、溶融したはんだを波状に流した装置の上を基板がコンベアで通過することで、基板裏面のリードとランドに同時にはんだ付けが行われます。
この方式ではリードが基板を貫通して固定されるため、部品の機械的な固定力が高く、振動や衝撃に対する耐久性にも優れています。そのため、電源部品やコネクタなど比較的大型で強度が求められる部品の実装に適しています。一方で、スルーホール加工が必要となるため基板の実装密度を高めにくく、小型化には不利という側面もあります。
表面実装(SMT)
表面実装はSMT(Surface Mount Technology)と呼ばれる方式で、電子部品の端子を基板表面のパッドと呼ばれる銅箔部分にはんだ付けする実装方法です。挿入実装のように部品のリードを基板に貫通させる必要がないため、部品の小型化や高密度実装が可能になります。
表面実装では、はんだごてを使った手作業での実装も可能ですが、量産工程では主にリフローはんだ付けが用いられます。これはあらかじめ基板上にはんだペーストを塗布し、その上に電子部品を配置した後、リフロー炉と呼ばれる高温炉で加熱することで、はんだを溶融させて部品を固定する方法です。
スルーホールが不要であることから基板の両面に部品を実装することもでき、電子機器の小型化や高機能化を実現するうえで欠かせない技術となっています。また、実装工程の多くを機械化できるため、大量生産にも適しています。
挿入実装の工程

続いて、挿入実装の工程について、フローソルダリングを例に解説していきます。
回路素子の挿入
まず電子部品のリードをスルーホールのピッチに合わせて曲げ加工し、基板の指定位置へ挿入します。量産工程ではインサーターと呼ばれる自動挿入機が使用されることが多く、抵抗やコンデンサなどの部品を自動で基板に挿入していきます。ただし、形状が特殊な部品や大型部品などは自動化が難しいため、人の手によって挿入される場合もあります。
フラックスの塗布
部品の挿入が完了すると、基板裏面にフラックスを塗布します。フラックスは金属表面の酸化膜を除去し、はんだの濡れ性を向上させる役割を持つ材料です。また、はんだ付け中に金属表面が再び酸化することを防ぐ効果もあります。
フローはんだ付け
次にフローはんだ装置によるはんだ付け工程に進みます。装置内では溶融したはんだがポンプによって送り出され、波状のはんだの流れが形成されています。基板がこのはんだ波の上を通過することで、リードとランドにはんだが付着し、電気的および機械的な接続が行われます。
多くの装置では2種類のはんだ波が使用されており、最初の波ではリードとスルーホール内部にまで確実にはんだを浸透させ、続く波では余分なはんだを整えて綺麗なフィレット形状を形成します。
表面実装(SMT)の工程

次に、リフローはんだによる表面実装の工程について解説します。
メタルマスクとはんだペースト印刷
まず最初に、メタルマスクと呼ばれるステンレス製の薄い板を基板の上に重ねます。メタルマスクには部品の実装位置に対応した開口部が設けられており、この開口部を通してはんだペーストを基板に転写します。はんだペーストは、微細なはんだ粒子とフラックスを混合したクリーム状の材料です。スキージと呼ばれるブレード状の工具でペーストを押し広げることで、必要な位置にのみはんだを塗布します。
部品搭載(マウンター)
次にチップマウンターと呼ばれる装置を用いて電子部品を基板に搭載します。マウンターは非常に高速で部品を配置することができ、現在では1時間に数万個以上の部品を実装できる装置もあります。
リフロー工程
部品搭載後の基板はリフロー炉に送られます。リフロー炉では温度を段階的に上昇させることで、はんだペースト中のフラックスを活性化させながらはんだ粒子を溶融させます。はんだが完全に溶けた状態で部品と基板の端子が接続され、その後冷却されることで強固なはんだ接合が形成されます。
リフロー工程は一般的に予熱、昇温、ピーク温度保持、冷却といった温度プロファイルで制御されており、ピーク温度は250℃前後になることが多いです。加熱方式としては熱風を循環させるコンベクション方式や赤外線方式、蒸気を利用するVPS方式などが用いられます。
基板実装で気を付けるべき不良も覚えておこう
基板実装では、いくつか代表的な不良が発生する可能性があります。ブリッジは、隣接するパッドやランドの間にはんだが流れ込み、本来絶縁されるべき配線同士が短絡してしまう現象です。この不良が発生すると回路の誤動作や発熱につながる恐れがあります。主な原因としては、はんだ量の過多やはんだペーストの位置ずれ、あるいはパッド設計が適切でないことなどが挙げられます。
ボイドは、リフローはんだ付けの際に発生するはんだ内部の空洞です。はんだペーストに含まれるガスやフラックス成分が完全に抜けきらないまま固化すると、はんだ内部に気泡が残ることがあります。ボイドが多いと、はんだ接合部の強度が低下したり熱伝導が悪化したりする可能性があります。
これらの不良を防ぐためには、はんだ量の適切な管理やリフロー温度プロファイルの最適化、さらには基板設計段階でのパッド配置の検討などが重要になります。
まとめ
今回はプリント基板の実装方式である挿入実装と表面実装について、それぞれの特徴や工程、さらに代表的な不良事象などを解説しました。基板実装は電子機器の性能や信頼性に大きく関わる重要な製造工程であり、実装方式や工程管理の違いによって製品品質が大きく左右されます。
近年では電子機器の小型化や高機能化に伴い表面実装が主流となっていますが、強度が求められる部品などでは現在でも挿入実装が活用されています。動画サイトなどでは実際の実装工程の様子を見ることもできるため、興味がある方は実際の製造工程を確認してみると理解が深まるでしょう。
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