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  • MBD開発とは?意味やメリットなどをわかりやすく解説!
  • MBD開発とは?意味やメリットなどをわかりやすく解説!

                       

    2025年12月28日更新

    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川
    「FREE AID」編集部:長谷川

    大手メーカー「コマツ」、「オムロン」などで7年間、アナログ回路エンジニアとして設計・評価業務に従事。
    ECU、PLCなどのエレキ開発経験を多数持つほか、機械商社での就労経験も有する。
    株式会社アイズ運営の機電系フリーランスエンジニア求人情報「FREEAID」専属ライターとして、
    機電分野の知識と実務経験を活かし、専門性の高い記事執筆を行っている。

    MBD開発とは?

    MBD開発(Model Based Development)とは、システムの仕様や振る舞いをモデルとして表現し、そのモデルを「動く仕様書」として設計から検証までを進める開発手法です。家電製品や自動車など、特定のハードウェアに組み込まれて動作するシステムは、組み込みシステムと呼ばれます。

    中でも自動車は、エンジン制御や運転支援、車載通信など多くの機能を搭載する「走るコンピュータ」とも言われる存在となり、組み込みシステムの構成は年々複雑化しています。こうした背景から、開発プロセスには高い品質を保ちながら、短期間で設計・検証を進めることが求められるようになりました。

    従来の開発手法では対応が難しくなりつつある中で、近年注目されているのがMBD開発です。MBD開発は、コンピュータ上で作成したモデルを用いることで、設計段階からシステムの挙動を確認できる点が特徴であり、特に自動車分野を中心に導入が進んでいます。

    従来の組み込みシステム開発手法(V字モデル)

    従来の組み込みシステム開発手法(V字モデル)

    従来、組み込みシステムの開発は、テキストベースの仕様書を中心としたV字モデルに沿って進められてきました。V字モデルでは、要件定義から基本設計、詳細設計へと段階的に仕様を具体化し、その後プログラミング工程へと移行します。

    設計が完了すると、試作品を用いて単体テストや結合テスト、システムテストなどの検証が行われ、最終的に要求仕様を満たしているかを確認します。このように、設計工程と検証工程が対応関係を持つ点が、V字モデルの特徴です。

    一方でこの手法では、システム全体の検証が後工程に集中しやすく、設計上の不備が検証段階になって初めて明らかになることがあります。その結果、仕様の手戻りや開発スケジュールの遅延につながるケースも少なくありません。

    MBD開発と従来手法の違い

    MBD開発と従来手法の違い

    このように、従来の組み込みシステム開発では、設計上の問題が後工程の検証段階で初めて明らかになるケースが少なくありませんでした。こうした課題を解決するために考え出されたのが、MBD開発です。

    MBD開発は、従来のV字モデルの流れを踏襲しつつも、設計情報の扱い方と検証の進め方を大きく変えた開発手法です。テキストベースの仕様書の代わりに、システムの構造や振る舞いをモデルとして表現し、そのモデルを用いて設計段階から動作検証を行います。

    このモデルは単なる設計資料ではなく、シミュレーションによって実際の挙動を確認できる「動く仕様書」として機能します。そのため、設計と検証を並行して進めることが可能となり、問題点を早期に発見・修正できる点が、従来手法との大きな違いです。

    MBD開発に特有の検証工程(MILS・RCP・SILS)

    MBD開発に特有の検証工程(MILS・RCP・SILS)

    MBD開発では、モデルを用いて設計段階からシステムの挙動を確認できる点が大きな特徴です。そのため、従来の開発手法とは異なり、設計と検証を並行して進めるための段階的な検証工程が用意されています。代表的なものが、MILS、RCP、SILSです。

    MILS(Model In the Loop Simulation)

    MILSは、制御装置(コントローラー)と制御対象(プロセス)の両方をモデル化し、コンピュータ上でシミュレーションを行う検証工程です。主に基本設計段階で実施され、制御ロジックの妥当性やシステム全体の振る舞いを机上で確認する役割を担います。

    RCP(Rapid Control Prototyping)

    RCPは、プロセスはモデルのまま、コントローラーを実機に置き換えて行う検証工程です。実機特有の応答や制約を確認しながら、制御設計の調整や最適化を進める目的で用いられます。

    SILS(Software In the Loop Simulation)

    SILSは、プロセスをモデルのまま保持しつつ、コントローラーをプログラムコードに置き換えて行う検証工程です。モデルからコードへ置き換えた際に、意図した通りの動作が維持されているかを確認することが主な目的です。

    コード生成と実機検証(ACG・HILS)

    MBD開発では、モデルを中心に設計と検証を進めていくため、プログラムコードの作成や実機を用いた検証においても、従来とは異なるアプローチが取られます。その代表的な工程が、ACGとHILSです。

    ACG(Automatic Code Generation)

    ACGは、作成したモデルを基にプログラムコードを自動生成する工程です。MBD開発では、モデルがそのまま仕様書の役割を果たすため、設計内容を反映したコードを効率よく作成できます。これにより、手作業によるコーディング工数の削減だけでなく、記述ミスなどのヒューマンエラーを抑える効果も期待できます。

    また、設計の途中段階でもモデルがあればコード生成が可能なため、設計と検証を繰り返しながら開発を進めやすい点も特徴です。

    HILS(Hardware In the Loop Simulation)

    HILSは、プロセスをモデルのまま保持しつつ、コントローラーを実際の制御デバイスに置き換えて行う検証工程です。実機を使用することで、演算能力や入出力特性など、ソフトウェア上では再現しにくい要素を含めた検証が可能になります。

    この工程は、実機を用いた検証としては比較的早い段階で実施できるため、従来の開発手法における結合テストに近い位置付けとされています。

    MBD開発のメリット

    MBD開発のメリット

    MBD開発を導入することで、従来の組み込みシステム開発では課題となりやすかった工程遅延や手戻りを抑えつつ、効率的な開発を進めることが可能になります。ここでは、代表的なメリットを紹介します。

    検証工程の遅延や仕様の出戻りを防げる

    従来の開発手法では、すべての設計が完了した後でなければ本格的な検証が行えず、ハードウェア開発の遅延がそのまま検証工程や全体工程に影響するケースがありました。また、検証段階で設計不良が見つかると、大きな手戻りが発生しやすいという問題もあります。

    一方、MBD開発では設計と並行してモデルによる検証を行えるため、問題点を早期に発見しやすく、工程全体の遅延や仕様の出戻りを抑えやすくなります。

    認識齟齬が少なくなる

    テキストベースの仕様書を中心とした開発では、解釈の違いによる認識齟齬が生じやすく、特に複数のチームが関わる場合には問題が表面化しにくい傾向があります。MBD開発では、動作を伴うモデルを共通の成果物として扱うため、設計内容が視覚的に分かりやすく、関係者間で共通認識を持ちやすい点がメリットです。

    開発効率と品質の向上につながる

    ACGによるコード自動生成を活用することで、コーディング工数を削減できるだけでなく、ヒューマンエラーの低減や品質の安定化が期待できます。また、一度作成したモデルを再利用しやすいため、既存製品をベースとした改良や派生開発にも適しています。

    MBD開発のデメリット

    MBD開発は多くのメリットを持つ一方で、導入や運用にあたって注意すべき点も存在します。MBD開発では、設計段階でモデルを作り込む必要があるため、従来手法と比べて初期設計にかかる工数が増える傾向があります。そのため、開発初期に十分な時間と人員を確保できない場合、負担が大きく感じられることがあります。

    また、MBD開発を進めるには専用ツールの導入が不可欠であり、ライセンス費用や環境構築のコストが発生します。加えて、モデル作成やシミュレーションを正しく行うためには、新たな知識やスキルの習得が求められ、教育や人材育成も重要な課題となります。

    まとめ

    本記事では、組み込みシステム開発における手法の一つであるMBD開発について、従来手法との違い、特徴的な工程、メリット・デメリットを解説しました。MBD開発は、設計と検証を並行して進められる点や、モデルを中心とした開発によって品質と効率を高められる点が大きな特徴です。

    初期導入には一定のコストや学習が必要となるものの、開発規模が大きく、要求が高度化する分野ほど効果を発揮しやすい手法と言えるでしょう。開発体制や目的に応じて、段階的に取り入れていくことが重要です。

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