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  • ベベル成膜とは?意味・メリット・主要技術などを解説!
  • ベベル成膜とは?意味・メリット・主要技術などを解説!

                       

    2025年11月25日更新

    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川
    「FREE AID」編集部:長谷川

    大手メーカー「コマツ」、「オムロン」などで7年間、アナログ回路エンジニアとして設計・評価業務に従事。
    ECU、PLCなどのエレキ開発経験を多数持つほか、機械商社での就労経験も有する。
    株式会社アイズ運営の機電系フリーランスエンジニア求人情報「FREEAID」専属ライターとして、
    機電分野の知識と実務経験を活かし、専門性の高い記事執筆を行っている。

    ベベル成膜とは?

    ベベル成膜とは、半導体の端部に生じる斜面部分(ベベル部)に保護膜を成膜する工程のことです。ベベル部に余計なパーティクルが付着することを防ぐことで、半導体製造の歩留まりをより向上させることを目的としており、近年の微細化加工には欠かせない技術の一つとなっています。

    ベベル成膜が行われるようになった背景

    ベベル成膜が行われるようになった背景

    ベベル成膜が必要とされるようになった経緯を理解するため、これまでベベル部に対して取られてきた主な対策を順を追ってご説明します。

    ① ベベル加工による素子欠けの低減

    スライス直後のシリコンウェハー外周は角張っており、機械的に欠けやすい形状をしています。外周部が欠けると、破片の発生や素子部への汚染につながり、歩留まりを大きく低下させます。そのため、ウェハーの外周を面取りして欠けを抑える「ベベル加工」が導入され、外周の機械的強度が向上したことで、歩留まり改善の基本的な手法として広く定着しました。

    ② ベベルクリーニングによるパーティクル除去

    ベベル加工を施しても、製造工程を繰り返すうちにベベル表面には凹凸や残渣、自然酸化膜が生じ、パーティクル源となることは避けられません。そこで、ベベル部をエッチングして表面の汚れや微粒子を除去する「ベベルクリーニング」が導入されました。これによりパーティクル発生が抑制され、ウェハ外周の清浄度が向上します。外周の信頼性が高まることで、プロセスで確保するべき除外領域(edge exclusion)を小さくできるようになり、結果としてアクティブエリアをより広く利用することが可能になりました。

    ③ ベベル成膜によるベベル部の保護

    微細化が進み、多層配線・高アスペクト比構造・3次元構造などの高度なプロセスが普及すると、エッチング薬液の強化や処理時間の長期化、高温アニールの増加などによって、ベベル部が受けるダメージのリスクが高まりました。さらに、層間材料として使用される銅やタンタルなどの金属は拡散しやすく、プロセス中にベベル部へ侵入して汚染源となる可能性があります。ベベルクリーニングでは汚染の除去は可能ですが、プロセス中の拡散を抑制することはできません。

    そこで、ベベル部に専用の保護膜(バリア膜)を形成し、薬液による浸食や金属汚染を未然に防ぐという考え方が広まりました。このアプローチが「ベベル成膜」であり、ベベル部とデバイス領域の双方をより確実に保護できる技術として採用されるようになりました。

    ベベル成膜の具体的な技術

    ベベル成膜の具体的な技術

    続いてベベル成膜における成膜技術を、基本的な内容や制御方法を含めて解説します。

    ベベル成膜の手法

    ベベル部に成膜される膜は特性を調整できる絶縁体保護フィルムで、具体的な成膜手法としては選択的PECVD(プラズマ励起化学気相成長法)が採用されます。PECVDとは膜として不要な原料も含んだ原料ガスを供給し、プラズマによって原料ガスを分離させ、特定の物質だけをウェハー表面に付着して薄膜を形成する技術のことです。原料ガスにはモノシラン(SiH4)や亜酸化窒素(N2O)などが含まれ、最終的に形成される膜はシリコン酸化膜となります。

    ベベル成膜の制御方法

    ベベル成膜では、トロイダルプラズマを使用した高精度なプラズマ制御が鍵を握ります。トロイダルプラズマとはドーナツのような環状のプラズマのことで、プラズマ排除領域(PEZ)封じ込めリングという部品を使用して形状を正確に制御することで、アクティブエリアを除いたベベル部にのみシリコン酸化膜を形成していきます。これによりウェハーの外周端面から4mm程度の領域内だけに正確に成膜できるようになります。

    ベベル成膜を行う製品とは

    ベベル成膜を行う具体的な製品として、米国の半導体製造装置メーカーであるLam Research(ラムリサーチ)社が開発したCoronus DXが知られています。同製品はウェハーの外周端部の欠陥を防止する目的で2007年より販売されてきた製品群、Coronusシリーズの1つであり、シリーズ全体でおよそ数千台ほど市場に投入された実績を持っています。Coronus DXではワンステップでウェハーの外周端部の表面と裏面両方に保護膜を生成できる強みがあり、Lam Research社の発表によると、ウェハーフロー全体で歩留まりを最大5%改善できると言われています。

    まとめ

    今回は半導体製造工程の歩留まりを改善する技術であるベベル成膜について、意味やメリットなどを網羅的に解説しました。昨今の半導体素子の急速な性能向上に欠かせない技術として今後も発展が期待されるので、今後の成長に期待しましょう。

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