機械設計プロセスの重要性を解説!製品開発時に起こりやすい問題や解決法をおさえよう
2024.08.06更新
機電系エンジニア必見!!貴重なフリーランス案件はこちら ▶製品を開発する際は、「自分が今どの工程を担っているのか」を把握し、設計プロセスを意識して作業を進める必要があります。そこで今回は、設計プロセスの概要と重要性、起こりやすいトラブルについて解説します。より理解が深まる具体的な事例も挙げているので、ぜひ参考にしてみてください。
機械設計プロセスとは
製品開発において、設計プロセスを考えることは必須です。設計プロセスとは、商品の特徴、コスト、必要な人材などを全て加味したうえで決められる設計の手順のことです。製品を生産する前に設計プロセスを設定しておくことで、滞りなく作業を進めることができます。
設計プロセスは、手順や作業に必要な情報をマニュアル化することによって設計の効率が上がり、チームで開発する際も情報共有のツールとして役立ちます。また、情報を共有することを念頭におく場合、設計プロセスはできる限りわかりやすく、シンプルに作ることが求められます。
設計には大きく分けて2つの方法があります。「新規設計」と「流用設計」です。これらの違いを次の章で解説します。設計方法の違いによって設計プロセスも異なるため、設計プロセスを構築する際は、どちらの方法で設計するのかを意識しておきましょう。
新規設計
新規設計とは、ひとことでまとめると「まだ誰も作ったことがない製品を設計する」ことです。組織が持つスキルや技術を駆使して、今までにない製品を設計します。システムや機械製品に限らず、建築でも新規設計をすることがあります。
製品設計においてコストは必要不可欠なものですが、クライアントとしてはコストを抑えたいと考えるでしょう。しかし、新規設計はどうしても開発にかかるコストが大きくなってしまうため、このことを踏まえて設計プロセスを構築する必要があります。
流用設計
流用設計とは、「今までにある製品に新しい価値を付加して設計する」ことです。既存の機械を応用したり組み合わせたりすることで、新しい価値を生み出します。類似した製品を生産することから、類似設計とも呼ばれます。
新規設計と比較すると、流用設計の方がコストを抑えることができます。製品開発の目的を明確にして、それを達成できるのであれば、流用設計の方がメリットは大きいです。流用設計で目的を実現することは、技術者として腕の見せ所だと言えます。
「新規設計」か「流用設計」かは設計プロセスを考える時点で、製品開発の目的やコストなどを加味して検討する必要があります。流用設計で目的を実現できるようであれば、そちらの方がコストを抑えることができます。
基本的な機械設計プロセス
具体的な設計プロセス
- 概念設計
- 基本設計
- 詳細設計
- 生産設計
設計プロセスは、工程によって4つに分かれています。それぞれの工程で設計をし、次の工程に入る前にはdr(デザインレビュー)を行います。4段階の設計プロセスを終えることで、機械設計が完了する流れとなっています。
各工程に入る前のdrは、開発担当だけでなく、それ以外の複数の人を含めて設計が正しくできているかを確認する段階です。各設計段階のズレを少なくし、全体的な設計プロセスを整える役割もあります。
1. 概念設計
概念設計では、機械設計の目的や方針を定めることが重要で、要件定義と呼ぶこともあります。「今回設計する製品は何を目的としているのか」を踏まえて、コストや材料、形状や必要なスキルを設定しておきます。設計プロセス全体の根幹となる部分のため、概念設計が不十分だと次の設計段階に悪影響を及ぼすことに繋がるので注意が必要です。
概念設計は少人数のチームで行われることが多く、開発メンバーの間でいかに目的を認識するかがポイントとなります。クライアントの意図をきちんと汲み取り、情報をまとめることで不備のない設計ができます。
2. 基本設計
概念設計が完了したら、基本設計に入ります。基本設計では、概念設計で設定した目的を製品が実現可能なのか検討します。CADなどのソフトウェアを使い、実際に機械を形にしながら設計を進めていきます。
設計に問題がないかを確認するためにシミュレーションを何度も行い、検証を繰り返し行います。もし問題がある場合には設計を修正する必要があるため、基本設計は概念設計での不備をカバーする段階でもあるといえます。
概念設計と基本設計は、それぞれの境界線があいまいなまま開発が進められてしまうケースも少なくありません。それぞれの工程をまとめる際に、各工程をおろそかにしないことが失敗しない設計プロセスづくりのポイントです。
3. 詳細設計
基本設計で検証が完了したら、詳細設計に入ります。詳細設計では、概念設計で設定したコンセプトと、実現できる機能のすり合わせを行います。コスト面や製品強度の面から、材料を変えるべきかについてもこの段階で判断します。よって、詳細設計は、設計に無理がないかを確認するプロセスと言えます。
詳細設計では、シミュレーションのみならず、実際に試作品を作って確認します。安全性についても検証し、問題がある場合はその改善を行う必要があります。製品の品質を決定する最後の段階でもあるため、デザインレビューでの意見も参考にしましょう。
詳細設計は、開発する製品によって何を行うべきかが変わります。例えば、建築などでは水道管やガス管などの配置ミスがないかなどを確認しますが、システム設計においてはバグがないかなどを検証します。それぞれの製品にあった詳細設計が必要となり、詳細設計では最終的な図面を完成させます。
4. 生産設計
生産設計は、生産を意識した設計ができているかを確認する、設計プロセスの最終段階です。生産の視点で設計をレビューして、改善箇所がないかを点検します。工数やコストを下げること目的として行われることもあり、生産設計はコストレビューとも呼ばれます。ソフトウェアなどは目に見えない財産を守ることも必要なため、安全性の確認も行いましょう。
機械設計プロセスの重要性
製品開発の明瞭化
設計プロセスにおいて重要なことは、製品開発での不明瞭な点を設計時点で解消しておくことです。生産を始めてから問題が発覚しないようにするためにも、設計プロセスの段階で対応しておきましょう。また、コストを削減する目的でも設計プロセスは重要です。
安全や環境に配慮した製品作り
設計プロセスを踏まえることで、安全性や環境に配慮した製品作りを意識できます。ビジネスとして製品開発をするためコスト面を意識することは重要ですが、それ以外にも組織として守らなければならないことはいくつもあります。それらをおそろかにしないようにするためにも、設計プロセスは必要不可欠です。
例えば、ソフトウェアやシステムなどの形がないものを設計する際も、安全性に配慮する必要があります。思いもよらない挙動でユーザーの財産を失わせたり、個人情報を流出させてしまう可能性もあるからです。どの製品を開発するにしても、問題は設計プロセスで解消しておくべきです。
機械設計プロセスを組むうえで起こりやすい問題と解決方法
仕様の重要度を理解していない
製品開発では、いくつもの仕様を満たす必要があります。さらに、それぞれの重要度を誤ってしまうと大きな問題に繋がりかねません。仕様の重要度は、設計プロセスの概念設計の段階で設定しておきましょう。
仕様には、コスト面の制約、製品材料の制約、安全性や環境への配慮などがあります。この中でも優先度が高いのは安全性です。全ての製品は人間が利用するために作られているため、怪我を負わせてしまったり、被害を及ぼしたりするようなことがあってはなりません。仕様の優先度を意識して、そのうえで制約を満たす製品の設計プロセスを考えましょう。
コンセプトを意識していない
設計プロセスで肝となるのは、目的(コンセプト)を意識することです。設計を重ねる上で概念設計で設定したコンセプトからズレてしまい、求めていたものとは異なる製品ができてしまった、というような事態は避けたいものです。
各設計を実施する前に、再度コンセプトを振り返っておくとそのような事態を防ぐことができます。また、設計チームだけでなく、複数の人間でデザインレビューを実施することでコンセプトに沿ったアイデアを出しやすくなります。
各工程の役割を超えている
設計プロセスでは、その工程で任された作業を一つずつ達成していくことで製品全体の設計が完了します。そのため、各工程を超えた作業を行うべきではありません。例えば、詳細設計の段階で製品開発の目的を再度設定するといったことは望ましくありません。その逆も然りです。
前工程の情報を活用して、次の工程に生かすことは設計プロセスとして重要ですが、その時々で何をすべきかを意識して1つの工程に集中しましょう。そうすることで、設計プロセス全体のズレもなくなります。また、工程の境界があいまいになりそうな場面では一度デザインレビューを実施するなどして、設計プロセスの工程の分かれ目を明確にしましょう。
デザインレビューを行わない
設計プロセスの工程管理と同じくらい、デザインレビューも重要です。デザインレビューは設計者以外の意見を収集する機会となります。設計者のみでは偏った考えになりそうな場面も、デザインレビューを挟むことでそれを改善でき、各工程の区切りをつけるタイミングにもなります。
デザインレビューを有効活用して第三者の目線で設計を見直すことは、設計プロセスにおいても良い影響を及ぼします。
設計プロセスは良い製品づくりに欠かせない!
今回は、設計プロセスの概要からその流れ、重要性と具体的な問題について例を挙げて解説してきました。きちんとした設計プロセスは、ソフトウェアなどのシステム開発から建築など、製品開発において良い製品を作るためには必要不可欠です。
製品開発は設計プロセスによって大きく行方が変わるため、設計プロセスの設定は怠らずに行いましょう。また、全ての制約を満たすにしても、仕様の優先度はきちんと意識することが大切です。安全性を担保したうえで、環境に配慮した製品作りを心がけたり、コスト面を削減したりすることで、トータルとして満足のいく製品を作ることができます。
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