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燃料電池の仕組みとは?構造や種類、用途などを解説!

                   

2026年5月25日更新

この記事を書いた人

機電系専門ライター Div.長谷川
「FREE AID」編集部:長谷川

大手メーカー「コマツ」、「オムロン」などで7年間、アナログ回路エンジニアとして設計・評価業務に従事。
ECU、PLCなどのエレキ開発経験を多数持つほか、機械商社での就労経験も有する。
株式会社アイズ運営の機電系フリーランスエンジニア求人情報「FREEAID」専属ライターとして、
機電分野の知識と実務経験を活かし、専門性の高い記事執筆を行っている。

燃料電池が発電する仕組みとは?

燃料電池とは、水素と酸化剤の酸化還元反応を利用し、その際に発生する電子を外部回路に流すことで電気エネルギーを取り出す発電装置です。水を排出するだけのクリーンな発電手法であり、発電効率の良さや設置場所の自由度の高さといったメリットもあるため、家庭用の分散型電源から自動車・バスなどの移動体まで幅広く活用されています。

燃料電池の構造と発電の仕組み

燃料電池の構造と発電の仕組み

燃料電池は、主に電極(アノード・カソード)、電解質、外部回路で構成されるシンプルな構造をしています。アノード(燃料極)とカソード(空気極)は、白金などの触媒を含んだ多孔質構造となっており、その間に電解質が配置されています。

燃料電池では、この構造の中で次のような流れで発電が行われます。

まず、アノード側に供給された水素分子は、触媒上で電子を放出して水素イオンになります(水素の酸化反応)。ここで発生した電子は電解質中を通ることができないため、外部回路へと流れ出します。

一方、水素イオンは電解質中を通ってカソード側へ移動します。電解質はイオンのみを通す役割を持っており、電子は通さないという性質が、電流を外部回路に流すための重要なポイントになります。

カソード側では、外部から供給された酸素が、水素イオンと電子を受け取って水を生成します(酸素の還元反応)。このように、電子は外部回路を、水素イオンは電解質中をそれぞれ移動することで回路が成立し、結果として電流が流れ続けることで発電が行われます。

燃料電池のメリット

燃料電池には他の発電方式より勝るメリットがいくつかあります。

環境負荷が低い

燃料電池は発電過程において水と熱を主な生成物とし、二酸化炭素などの温室効果ガスを直接排出しないという特徴があります。これは、燃焼反応を伴わず、電気化学反応によってエネルギーを取り出しているためです。特に近年では、再生可能エネルギー由来の電力で水素を製造する「グリーン水素」も存在するため、環境負荷の低減に役立つ可能性がより高まっています。

また、燃焼を伴わないため、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)といった大気汚染物質の発生も抑えられます。さらに、回転機械をほとんど使用しないことから、騒音や振動が比較的少ないメリットもあり、住宅地や建物内への設置にも適しています。

発電効率が高い

火力発電や原子力発電では、熱エネルギーを一度機械エネルギー(タービン回転)に変換し、その後電気エネルギーに変換するため、各段階でエネルギーロスが発生します。一方、燃料電池は化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため、こうした機械的変換に伴うロスが少なく、発電効率が高い傾向があります。

実際、燃料電池単体でも30〜60%程度の発電効率が得られるとされており、これは小規模設備としては高い水準です。さらに、発電時に生じる排熱を給湯や暖房などに再利用するコージェネレーションシステムと組み合わせることで、総合エネルギー効率(電気+熱)を80%以上まで高めることも可能です。

また、一般的な火力発電では設備規模が小さくなるほど効率が低下する傾向がありますが、燃料電池は小規模でも比較的高い効率を維持できるため、分散型電源としての適性も高いという特徴があります。

発電の柔軟性が高く設置場所の自由度も高い

燃料電池は、供給する燃料や酸化剤の流量を調整することで発電量を比較的容易に制御できます。そのため、需要の変動に応じた柔軟な出力調整が可能であり、ピーク電力対策や非常用電源としても活用できます。

また、太陽光発電や風力発電のように天候や時間帯に左右されることがないため、安定した電力供給が可能です。さらに、装置の小型化が可能であることから、家庭用設備やビル内設置、さらには自動車やバスなどの移動体への搭載にも適しています。

加えて、発電と同時に熱も利用できるため、電力と熱を同時に必要とする施設(住宅、病院、ホテルなど)では、エネルギー利用効率の向上と設備の省スペース化にも寄与します。

燃料電池の用途

燃料電池の用途

燃料電池の主な用途としては、家庭用や業務用の分散型電源、そして自動車やバスなどの移動体用電源が挙げられます。

まず分散型電源とは、企業や家庭など電力需要のある場所の近くに設置される小規模な発電設備のことを指します。燃料電池は発電効率が高く、発電時に発生する熱も有効活用できることから、電力と給湯・暖房を同時にまかなう用途に適しています。日本では家庭用燃料電池システムであるエネファームが普及しており、一般住宅に設置して日常的に電力とお湯を供給するシステムとして利用されています。

また、ビルや病院、ホテルといった業務用施設においても、安定した電力供給と高いエネルギー利用効率を活かし、常用電源や非常用電源として導入が進んでいます。特に停電時にも電力供給を継続できる点は、災害対策の観点からも重要なメリットです。

一方、移動体用途としては、燃料電池を搭載した自動車やバスなどが挙げられます。燃料電池車は走行時に温室効果ガスを排出せず、水のみを排出するクリーンな特性を持っています。また、バッテリー式の電気自動車と比較して、数分程度で燃料(水素)を補給できるため、長距離走行や商用利用に適している点も特徴です。

さらに近年では、フォークリフトや鉄道、船舶などへの応用も進んでおり、特に長時間稼働が求められる用途や、短時間でのエネルギー補給が重要となる分野での活用が期待されています。

代表的な燃料電池の種類

代表的な燃料電池の種類

燃料電池は使用する電解質の種類によって、作動温度や効率、用途などが大きく異なります。ここでは代表的な4種類について、それぞれの特徴と用途を解説します。

固体高分子形燃料電池(PEFC)

水素イオンを選択的に透過する固体高分子膜(イオン交換膜)を電解質として用いる燃料電池です。作動温度が60〜90℃程度と低温であるため、起動が速く、扱いやすいという特徴があります。また、電解質が薄い膜で構成されるため内部抵抗を小さくでき、小型化・軽量化にも適しています。

一方で、白金触媒を使用する必要があることや、不純物に弱いといった課題もあります。発電効率は30〜40%程度で、数kW〜数十kW程度の出力レンジを持つことから、燃料電池自動車や家庭用発電システムなど、比較的小規模で応答性が求められる用途に広く利用されています。

固体酸化物形燃料電池(SOFC)

ジルコニアなどのセラミックスを電解質として用いる燃料電池で、酸化物イオンを移動させることで発電を行います。作動温度が700〜1000℃と高温であるため、電極反応が活性化しやすく、高効率な発電が可能です。また、高温環境で動作することから、排熱の有効利用(コージェネレーション)がしやすく、システム全体として非常に高いエネルギー効率を実現できます。

さらに、一酸化炭素や天然ガスなど水素以外の燃料も利用できる柔軟性を持っています。発電効率は40〜60%程度と高く、分散電源や中規模発電用途としての活用が進められています。一方で、高温動作ゆえに起動時間が長く、材料の耐久性確保が課題となります。

リン酸形燃料電池(PAFC)

電解質にリン酸を使用する燃料電池で、比較的中温域(150〜200℃程度)で動作します。商用化の実績が長く、技術的に成熟していることが特徴です。発電効率は35〜40%程度で、耐久性や信頼性に優れ、長時間安定して運転できることから、ビルや病院、ホテルなどの業務用定置電源として広く利用されています。一方で、他の燃料電池と比較すると出力密度が低く、装置が大型化しやすいことから、近年ではより高効率な方式への置き換えも進んでいます。

溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)

炭酸塩を高温で溶融させた電解質を使用する燃料電池で、炭酸イオンをキャリアとして発電を行います。作動温度は600〜700℃程度と高温であり、高効率な発電が可能です。この方式は、水素に加えて一酸化炭素や天然ガスを燃料として直接利用できる点が特徴で、燃料の自由度が高いというメリットがあります。また、白金などの高価な触媒を使用せず、比較的安価な材料で構成できる点も利点です。

発電効率は40〜60%程度と高く、大規模な分散電源や発電用途での利用が検討されています。ただし、高温で溶融した電解質を扱う必要があるため、材料の耐久性や運用面での課題もあります。

まとめ

今回は燃料電池の仕組みについて、メリットや用途、種類なども含めて解説しました。燃料電池は電気を蓄える装置ではなく、化学反応によって電気を生み出す発電装置である点が大きな特徴です。近年では水素エネルギーの活用が注目されており、燃料電池はその中核技術の一つとして期待されています。身近なところでは家庭用のエネファームや燃料電池自動車などにも利用されており、今後さらに普及が進む可能性があるため、今後の発展に注目しておきましょう。

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この記事の運営元:株式会社アイズ

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