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  • 過電圧保護とは?方式ごとの違いや使用部品などをわかりやすく紹介!
  • 過電圧保護とは?方式ごとの違いや使用部品などをわかりやすく紹介!

    2024.08.27更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    電子機器を守る構造の一つとして欠かせない存在の「過電圧保護」。なぜ必要なのかや、その方法について知りたい方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、過電圧保護の方式や過電圧保護に使われる部品の例について紹介します。

    過電圧保護とは

    過電圧保護とは、電子機器の入力や出力に何らかの原因で過電圧が発生した時、入出力回路を遮断して内部の電子回路を守る機能のことです。電子回路の入力では、電源で発生するスパイク電流など、機器の仕様や不具合によって発生するものから、雷や静電気によるサージなど、自然界で発生するものまで、多種多様な過電圧が生じえます。

    そのため、電子機器の入力では過電圧保護が欠かせません。また、出力ではICなど内部回路の異常によって仕様外の高電圧が出力されることがあるため、接続先の機器を保護するために用いられます。

    過電圧保護の方式

    過電圧保護には様々な手法が利用されていますが、その方式は大まかに3種類に分かれます。一つ目は「切断式」で、過電圧を検知して回路を遮断し、その後は手動で回路を復旧しなければならない方式です。二つ目は「自動復帰式」で、回路遮断後に一定の時間を置いて自動で回路が復旧される方式です。

    最後は「クランプ式」で、過電圧のみを別の回路に逃がすことで、回路を遮断することなく保護する方式です。電子回路においては、過電圧部分のみをGNDに逃がすクランプ式がよく用いられますが、状況によっては他の2つの方式が用いられることもあります。

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    過電圧保護に使われる部品例

    過電圧保護には様々な手法がありますが、その中でも少数の部品で簡単に過電圧保護が行える方法を例としていくつか紹介します。

    ツェナーダイオード

    入力側の過電圧保護として最もシンプルなのが、入力端子とGND端子をツェナーダイオードでつなぐ対策方法です。ツェナーダイオードは一定の逆電圧がかかると短絡して電流を流すので、過電圧部分のみをGNDに逃がすことができます。過電圧保護に特化した性能の製品が販売されており、通常のツェナーダイオードと区別して「TVSダイオード」と呼ばれています。非常に簡単なので対策がすぐ行える一方、過電圧のしきい値が調整できないことや、瞬間的に過電圧が発生する過渡的な過電圧には対応できないといった欠点もあるため、使える条件には限りがあります。

    バリスタ

    ツェナーダイオードの代わりに、バリスタを使って過電圧保護を行う場合もあります。バリスタとは印加した電圧によって抵抗値が変わる電子部品のことです。ツェナーダイオードとほぼ同じ機能を持ちますが、静電容量が大きく通常時はコンデンサとして働くため、実装面積を減らせるメリットがあります。

    また、バリスタは内部が積層構造になっているため、層の数を調整することで静電容量や過電圧保護の電圧値を柔軟に変えられるという特徴もあります。なお、従来はツェナーダイオードよりも過渡的な過電圧に対応しやすいという特徴がありましたが、最近ではツェナーダイオードの性能向上により、大きな差は無くなっています。

    SCRクローバー

    SCR(一定電圧以上で動作するサイリスタ)を使った過電圧保護方式です。SCRは動作すると短絡状態となるため、前段にヒューズを入れて溶断させることにより、過電流を遮断し回路を保護します。SCRは一度動作すると、保持電流以上の電流が流れていれば導通状態を維持するため、瞬間的な過電圧(サージ)であっても問題なく保護が行えます。

    ただ一度動作するとヒューズが溶断してしまうため、元に戻すためにはヒューズを毎回交換しなければなりません。なお、ヒューズを使わずにすむよう、SCRの代わりにトランジスタやシャントレギュレータなどを使ったクローバー回路もあります。

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    過電圧保護の設計を行う際に注意する点

    最後に、実際に過電圧保護の設計を行う際、注意すべき点をお伝えします。

    過電圧保護部品によって生じる不具合に注意する

    近年は簡単に過電圧保護が行える部品が数多くあります。しかし、過電圧保護部品の容量成分などが回路に影響を与えるため、何も考えずに使うと予想外の不具合を起こすことが多いです。

    そのため、回路に過電圧保護を施す際は、不具合につながる様々な可能性を検討し、回路構成を決める必要があります。このような問題を考慮して設計された過電圧保護ICなどもあるので、予算に余裕がある場合は採用するのもおすすめです。

    故障や不具合が起きないかテストする

    過電圧保護回路を設計する際は、データシートの値をもとに計算を行い、理論的に回路を決定します。ただ、実際の過電圧耐性は回路構成や寄生インダクタンスの有無、サージを受ける部品の頑強さによって大きく変化するため、意図しない故障や不具合が起きる可能性は無視できません。

    そのため、試作品が完成したら機器を使用する環境に合わせたテストを実施して、問題が生じないか実際に確認する必要があります。テスト内容は、IECなどの国際基準に定められているものを利用するのがおすすめです。

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    まとめ

    今回は、過電圧保護の必要性や対策で使われる部品の例、対策における注意点などをお伝えしました。過電圧保護は電子回路の入力や出力段において、様々な不具合や自然現象による外乱などが生じた際、内部回路や外部機器を守るために用いられる機能です。

    ツェナーダイオードやバリスタなど簡単な部品でも実現できますが、寄生容量などによる不具合が生じる可能性もあるため、必要に応じて複雑な回路や専用ICが使われます。電子回路の設計においては必須ともいえる機能なので、ぜひ設計手法も含めて理解しておくようにしてください。

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