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  • ADAS(先進運転支援システム)とは?機能一覧やセンサー技術を解説!
  • ADAS(先進運転支援システム)とは?機能一覧やセンサー技術を解説!

    2024.08.06更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    自動車においては、自動運転への開発が進んでいますが、その前段階としてADAS(先進運転支援システム)が実装され始め、自動車の運転はどんどん便利になりつつあります。

    本記事では、ADASにどのような機能を持っているか、どのような技術で成り立っているかなどを詳しく解説します。

    ADAS(先進運転支援システム)とは

    ADASとは、安全運転をサポートしてくれる運転支援システムのことです。「Advanced driver-assistance systems」の略称で、読み方は「エーダス」です。ADASは自動車事故を減らし、ドライバーの安全で快適な運転を実現する技術として注目されています。

    ADASを搭載している車は、車載カメラやレーダーを使って周囲の状況を把握することで、ドライバーに必要な情報を提示したり警告アラートを送ったりします。また、衝突の危険性を察知すると自動でブレーキを作動させるなどの運転制御も可能です。

    ADASと自動運転(AD)との違い

    自動運転と混合されがちなADASですが、ADASと自動運転には明確な違いがあります。それは、ADASはあくまで「運転を支援する」システムだということです。運転の主体は人であり、ドライバーがいなければ目的地にたどり着くことはできません。

    それに対して自動運転は、運転システムが主体となり、ドライバーがいなくても目的地に到着できる技術のことをいいます。このように、ADASと自動運転の意味の違いは明確です。ただ、車載カメラやセンサーなどの共通する技術は数多くあるため、ADASの技術開発は将来、自動運転の実現に繋がることが期待されています。

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    ADASで何ができる?機能一覧

    実際に実用化されているADASの技術で、どんな機能が搭載されているのかご紹介します。

    衝突被害軽減ブレーキ

    衝突被害軽減ブレーキとは、衝突の危険を察知すると、ドライバーが操作をしなくても自動でブレーキがかかる機能のことです。自動ブレーキとも呼ばれています。

    前方にいる車や歩行者など、障害物をセンサーによって検知し、衝突の可能性が高くなった時に警告を発し、ドライバーに知らせます。

    その後もブレーキが踏まれず状況が改善しなかった場合、自動でブレーキ動作を行うことで、衝突しない、もしくはスピードを落として衝突の際の衝撃を軽減するのです。

    ただし、当然ですが衝突被害軽減ブレーキは万能ではありません。逆光や激しい雨で視界が悪く、対象物をセンサーで認識できないときには作動しないこともあるので、衝突軽減ブレーキを過信せずに安全運転を心がけることが大切です。

    ちなみに、衝突被害軽減ブレーキは、2021年11月に新型車への搭載が義務化されています。輸入車や既存モデルへの義務化も順次行われる予定なので、数年後には全ての新車に衝突被害軽減ブレーキが搭載される予定です。

    車線逸脱防止支援システム(レーンキープアシスト)

    車線逸脱防止支援システムとは、車が車線からはみ出ないようにサポートする機能です。ADASではセンサーを通して白線を検知しており、車線が白線に近づくと警報を鳴らして警告します。

    警告後も白線をはみ出す動きが変わらない場合、ブレーキ制御とステアリング操作を自動で行い、車線に戻すためのサポートを行います。

    あくまでサポートする機能であり、ドライバーのステアリング操作は必須ですが、より楽に車線が維持できるようになるでしょう。また、レーンキープアシストでは、通常時でも白線を認識してステアリングを制御し、自然と車道の中央を走れるようにサポートする機能も付随されています。

    ちなみに、車線逸脱防止支援システムは、基本的に高速道路など、自動車専用道路での使用が想定されているため、速度が一定以下になると自動で解除されます。

    定速走行・車間距離制御装置(ACC)

    定速走行・車間距離制御装置は前の車に追従し、一定の距離を保ちながら自動で走る機能です。「Adaptiv Crulse Controll」の略でACCとも呼ばれます。センサーで前を走る車を認識し、前の車と一定の距離を保ちながら走行するよう、アクセルやブレーキを制御します。

    前の車の車線変更や、他の車が入ってきた場合でも自動で認識し、速度を制御するため、走行が非常に楽になるでしょう。渋滞時の速度制御にも使えるので、ドライブ時のストレスは大きく軽減されます。

    ただし、急ブレーキに対応できない場合があるほか、悪天候や夜間など、状況によっては正しく前の車が認識できないなどさまざまな制約があります。自動運転ではなく、あくまで人の操作をアシストする存在であることを忘れないようにしましょう。

    また、定速走行・車間距離制御装置は前の車との距離を測る機能なので、歩行者などが入り込んでくる一般道には使えません。車線逸脱防止支援システムと同様、高速道路などの自動車専用道路でのみ使えるよう速度制限が行われています。

    駐車支援システム

    駐車支援システムは、駐車スペースの横に停車してからボタンを押すと、簡単に駐車できるようにサポートを行ってくれる機能です。車の横にある駐車位置を自動で検知し、ステアリング、エンジンを自動で制御。駐車できる角度まで自動で前進し、バックギアに入れ替えたのちに再度自動でステアリングを制御し、駐車スペースにぴったりと入れてくれます。

    スピードこそ熟練者にはかないませんが、駐車が苦手な人にとっては非常に魅力的な機能といえるでしょう。また、スマートフォンアプリを使い、遠隔操作で駐車・出庫ができる機能も実装されています。この機能を使えば車からの出入りが簡単になり、人が出にくい小さな駐車スペースにも駐車できるようになります。

    死角モニタリングシステム

    車を運転していると、死角で気付かなかった車やバイク、歩行者にひやっとした人は多いのではないでしょうか。このように、ドライバーの死角で気が付きにくい場所の障害物を検知して知らせてくれるのが死角モニタリングシステムです。

    車の斜め後方にセンサーを搭載し、障害物を認識したらドアミラーにLEDランプを点滅させて警告します。運転に慣れていない人には特に有用ですが、悪天候時や夜間でも正しく障害物を認識するため、熟練者であっても役に立つ場面は多いでしょう。

    ナイトビジョンシステム

    夜間や深い霧など、周りが見えづらい状況において、運転時の危険性は非常に大きくなります。そんな時に活用できるのがナイトビジョンシステムです。ナイトビジョンシステムでは、赤外線カメラを使って取得したデータを画像に変換し、モニターに表示します。

    ドライバーはディスプレイのカメラ画像を使って安全を確認しなければなりませんが、視認性が非常に悪い場合でも昼間のようにくっきりと周りが判別できるため、近くの歩行者や障害物などがいる環境で、より安全な運転を行えるでしょう。

    道路標識認識システム

    交通標識認識システムは、前方にある標識を自動で認識し、通知する機能です。一旦停止や進入禁止など、見落としては困る標識をタイミングよく通知するほか、速度標識をチェックしてスピードの出しすぎを警告するといったことができます。

    居眠り運転検知システム

    居眠り運転検知システムは、車のダッシュボードにカメラを取り付け、ドライバーが前方を注視しているか確認する機能です。ドライバーがわき見をしていたり、まぶたを閉じているのを認識すると、警告音を鳴らして指摘。その後もドライバーに反応が見られない場合、緩やかに減速して自動で停止します。

    ドライバーの注意力不足による事故を防げるほか、ドライバーの意識が無いなど異常事態における安全対策にもなるのが特徴です。

    関連記事:  ミリ波レーダーとは?使われる理由や特徴を紹介!

    ADASの機能を支えるセンサー技術

    ADASは周囲の状況を正確に把握し、ドライバーへのさまざまなサポートを行っていますが、これらの機能が実現した背景には高精度なセンサーの存在が欠かせません。ここからは、ADASの機能を支えるセンサー技術について解説します。

    カメラシステム

    カメラは、人の視野をサポートするため、昔から使われているセンサーです。車の背後の障害物を視認するバックビューを始め、今では車のさまざまな場所にカメラが取り付けられており、ドライバーが車体の周囲の状況を簡単に把握できるようになりました。

    ADASでは、これらのカメラで得られた画像に画像認識技術を用いて、障害物の検知、ならびにドライバーへの警告を行えるようになっています。さらに、最近では車体前方の障害物をより正確に検知するため、ステレオカメラを使うことが多いです。

    ステレオカメラは、2台のカメラを並列に設置し、それぞれで撮影した画像を合成して画像認識を行う技術です。人の目のように立体的に状況を把握できるため、単体のカメラよりも距離や物体の形状を高精度に認識できます。

    カメラは他のセンサーと比べて一度に取得できる情報量が非常に多く、遠くの物体であっても速やかに形状を把握できるため、ADASのメインセンサーとして幅広く利用されています。ただ、カメラで撮影する分、悪天候時や夜間は認識の精度が極端に下がるので、LiDARセンサーやミリ波レーダーと組み合わせて使われるのが一般的です。

    ミリ波レーダー

    30GHz~300GHzという高い周波数の電波を使ったレーダーのことです。波長がミリメートル単位となることから、ミリ波レーダーと呼ばれています。ミリ波の電波をアンテナから一定角度で発信し、反射波を解析することで障害物の有無や移動方向、速度などを検知します。波長が短く直進性が高いため、一定距離の検知が可能なこと、またレーダーのサイズが小型化しやすいなどの特徴も持っています。

    ミリ波レーダーは、光と比べると波長が長いため空間分解能が低く、得られる情報は少なくなりがちです。しかし、悪天候や夜間でも検知性能がカメラ程は悪化しないことから、カメラの情報を補完する存在として重宝されています。

    LiDARセンサー

    LiDARセンサーは「Light Detection and Ranging」の略であり、赤外線のレーザー光線を照射して、遠距離にある物体の形状や距離を測定するためのセンサーのことです。

    レーザー光を照射してから返ってくるまでの時間を測定することで、物体への距離を測ります。レーザーは直進性に優れ拡散が生じにくいことから、長距離でも高い精度で測定が可能です。

    レーザー光自体は「点」として測定が行われるため、一点に当て続けるだけでは周囲の状況は把握できません。そこで、何らかの機構によってレーザーの照射方向を動かしながら測定を行うことで、点による描画を行い、立体的な距離を測定しています。

    昔はモーターなどでレーザーを回転させて測定する方法が一般的でしたが、今では半導体・光学的な工夫により、駆動部なしで一定角度の測定が可能なMEMS方式が主流となっています。

    LiDARセンサーはカメラやミリ波レーダーより高精度な測定が可能というメリットがありますが、非常に高価なため、テスラのようにLiDARセンサーを搭載していないメーカーもあります。

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    まとめ

    今回は、ADAS(先進運転支援システム)が持つ機能や、それを可能にするためのセンサー技術についてを中心に解説しました。

    ADASは、ドライバーが安全かつ快適な運転を実現するためのサポートを行う機能です。自動運転とは異なり、あくまで操作の主体はドライバーにありますが、高速道路など限定された状況では自動での操作も行ってくれます。

    ADASは自動運転にもつながる技術であり、センサーの能力を始め、技術は発展し続けています。事故発生の大幅な減少を始め、運転にかかる負担の軽減や利便性の向上が期待できることから、ADASの機能追加や性能向上から目が離せません。

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