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  • 突入電流(ラッシュ電流)とは?生じる問題点と解決策を紹介!
  • 突入電流(ラッシュ電流)とは?生じる問題点と解決策を紹介!

    2024.11.08更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    電子機器の電源投入時に問題となりやすい突入電流。なぜ突入電流が発生するのかや、生じる影響について知りたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、突入電流によって生じる問題点やその解決策などを中心に解説します。

    突入電流とは

    まず、突入電流がどのような現象かや、なぜ生じるのかを解説しましょう。突入電流とは、電子機器の電源を入れた時、瞬間的に非常に大きな電流が流れてしまう現象のことです。通常の数倍以上の電流が流れることもあり、電子回路に大きな影響を与えることから、設計上注意しなければならない現象として広く認識されています。

    突入電流は、コンデンサやモーター、フィラメントなど、始動時に抵抗値が低く、大電流を流す部品が回路に入っている時に生じます。電子部品の特性によって生じるため、根本的には突入電流を無くせないことから、流れる電流量を緩和する対策方法が一般的です。

    突入電流により生じる問題

    続いて、突入電流の印加によってどのような問題が発生するのか紹介します。

    電子部品が破損する

    一番大きな問題は、突入電流による電子部品の破損です。通常、電子部品は電流で壊れないよう余裕を持った設計が行われています。しかし、突入電流は最悪の場合、通常時の数十倍の電流が流れることもあるため、部品が耐え切れず焼損する可能性があります。

    部品が焼損すると動作しなくなるのはもちろん、焼損した部品が熱源となってプリント基板が燃え、火事の原因にもなりかねないので注意が必要です。また、破損まで至らなかったとしても部品が異常発熱する原因となるため、電解コンデンサなど周囲の部品に悪影響を与える可能性もあります。

    電源電圧が不安定になる

    突入電流によって大電流が流れると、回路のインピーダンスによって電圧降下が生じるため、回路内部の電源電圧が不安定になるという問題も生じます。特にICへの供給電源が低下すると、ICが動作しなくなるだけでなく、誤動作や破損の原因ともなるため注意しましょう。

    保護機構が作動し動作しなくなる

    電子回路の前段に、回路保護用のヒューズやブレーカーが設置されている場合、突入電流を漏電と誤検知して保護回路が作動する可能性があります。保護回路が作動すると電源が遮断され、機器が正常に動かなくなるため対策が必要です。

    さらに、突入電流がヒューズの溶断電流を超えてしまうと、エレメントだけでなくヒューズ自体が溶けて破損する可能性もあります。そのため、慎重に電流値を計算しなければなりません。

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    突入電流の対策方法

    それでは、突入電流による影響を抑えるための対策方法を紹介します。

    抵抗で電流を抑制する

    抵抗の代わりに、温度が上がるほど抵抗値が下がるNTCサーミスタを使う対策方法もあります。NTCサーミスタなら、突入電流を高い抵抗で抑制しつつ、定常時は発熱により抵抗値が下がるため電流を妨げません。

    ただ、始動後ある程度電流が流れるまでは抵抗値が高いため、起動に時間がかかってしまうデメリットがあります。また、一度高温になった後に電源が再投入されて突入電流が流れた場合は対策にならないため注意が必要です。さらに、NTCサーミスタは温度が高くても抵抗がなくなる訳ではないため、一定の損失が生じるのも短所となります。

    NTCサーミスタを利用する

    抵抗の代わりに、温度が上がるほど抵抗値が下がるNTCサーミスタを使う対策方法もあります。NTCサーミスタなら、突入電流を高い抵抗で抑制しつつ、定常時は発熱により抵抗値が下がるため電流を妨げません。

    ただ、始動後ある程度電流が流れるまでは抵抗値が高いため、起動に時間がかかってしまうデメリットがあります。また、一度高温になった後に電源が再投入されて突入電流が流れた場合は対策にならないため注意が必要です。さらに、NTCサーミスタは温度が高くても抵抗がなくなる訳ではないため、一定の損失が生じるのも短所です。

    スイッチによる切替を行う

    NTCサーミスタなどを入れるだけでは対策が難しい場合、サイリスタなどの半導体スイッチと抵抗を組み合わせ、回路を切り替えて突入電流を防ぐ方法が有効です。電源投入時には電流が抵抗に流れるよう設計し、突入電流を抵抗で減衰させます。

    また、一定時間が経ったらスイッチをONし、抵抗の両端を短絡することで、定常状態での電力損失を回避します。この方法は必要な部品点数が多く、コストが高くなるデメリットがあります。しかし余分な電流損失がないため、特に高出力の回路ではよく使われています。

    タイムラグヒューズを使う

    機器内部には影響がないものの、入口のヒューズが突入電流によって飛んでしまうことだけを防ぎたい場合は、タイムラグヒューズの導入で解決できます。タイムラグヒューズは、一定時間内であれば定格電圧を超えてもヒューズが溶解せず、電流を流せるヒューズのことです。

    製品によってヒューズが飛ぶまでの時間が異なるので、突入電流の電圧・電流値に合った仕様のものを選ぶ必要があります。突入電流による発熱量が大きいと、金属疲労を起こしヒューズの寿命低下にもつながるので、ある程度余裕を持った設計をすることも重要です。

    関連記事:  マイコン向け統合開発環境のHEWとは?機能や後継ソフトの解説も!

    まとめ

    今回は、突入電流(ラッシュ電流)に焦点を当て、生じる問題点や対策方法を解説しました。突入電流は電源投入時に、コンデンサなどの部品に瞬間的な大電流が流れることで発生する現象です。

    根本的に突入電流を無くすことはできませんが、部品が焼損したり回路が正常動作しなくなることを防ぐため、突入電流を抑制する対策は必須です。回路上にNTCサーミスタやスイッチ回路などを入れる対策が有効なので、コストや動作時の損失を確認し、最適な手段を選ぶようにしてください。

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