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  • バイパスコンデンサ(パスコン)の役割は?設置する際の注意点も解説!
  • バイパスコンデンサ(パスコン)の役割は?設置する際の注意点も解説!

    2024.08.08更新

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    この記事を書いた人

    機電系専門ライター Div.長谷川

    長谷川

    FREE AID編集部 機電系専門ライター Div.
    アナログ回路設計・営業を経験した後ライター&ディレクターとして独立。
    電気電子・ITジャンルを得意とし、正確で分かりやすい情報の発信を行っています。

    電子回路において、コンデンサは数多くの役割を果たしていますが、重要な役割の一つとして「バイパスコンデンサ」が挙げられます。本記事では、バイパスコンデンサがどのような役割を果たしているかや、設計する際に抑えておくべき注意点を解説します。

    バイパスコンデンサとは

    バイパスコンデンサとは、電子回路において電源や信号ラインとGNDの間に配置され、ノイズを逃がす用途で用いられるコンデンサのことです。ノイズをバイパス(迂回)させることから名付けられた名称で、0.1μF程度の静電容量を持ったセラミックコンデンサが使われることが多いです。

    ちなみに、バイパスコンデンサは電子回路から交流成分を取り出すカップリングコンデンサの対義語として「デカップリングコンデンサ」と呼ばれることもあります。

    バイパスコンデンサの役割

    それでは、バイパスコンデンサが持つ役割を紹介しましょう。

    ICなどに入るノイズを取り除く

    バイパスコンデンサの最も大きな役割は、ICなどの電源ラインに入ってくるノイズを取り除くことです。電子回路に使われるICは、特定の電圧を持った直流電源を入れることで動作します。この電源は、外部電源やDCコンバータから銅箔パターンを通ってICに入力されるので、パターン上で外部ノイズの影響を受けて電源がばらつく場合があります。

    ICに想定外の電源電圧が入ると不具合を起こす可能性があるので、交流信号であるノイズをバイパスコンデンサでGNDに逃がし、元の直流信号に戻すことが広く行われています。

    電源電圧の変動を防ぐ

    電源電圧が何らかの要因で変動した際、バイパスコンデンサに貯まった電荷が放出され、変動の影響を防げるという効果もあります。外部電源の電源ラインでは、瞬停などにより大きく電圧が変動するのを防ぐために電解コンデンサが入っていますが、バイパスコンデンサも補助的な役割を果たします。

    ICの補助電源になる

    回路パターンはインダクタンス成分を持つため、ICの消費電流が過渡的に増大した際、インダクタンスが邪魔をして十分な電流を供給できない場合があります。そのままだとICが正常動作できなくなり不具合の原因となるため、バイパスコンデンサを配置し、過渡的な電流源として利用することで改善が可能です。
    もちろんコンデンサが貯められる電荷には限界があるので、補助電源として使う際は静電容量が大きめのものを選ぶ必要があります。

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    バイパスコンデンサの設置上の注意点

    このように、ICが安定して動作するために重要な役割を果たすバイパスコンデンサですが、深く考えずに配置してしまうと十分な効果が得られない可能性もあります。ここからは、バイパスコンデンサを設置する際に押さえておくべき注意点を解説します。

    ICなどの近くに配置する

    まず重要なのは、バイパスコンデンサをICの近傍に配置することです。回路パターンはインダクタンス成分を持つため、ICとコンデンサが離れているとインダクタンス成分が大きくなり、効果的にノイズを吸収できません。

    また、ICとバイパスコンデンサとの距離を短くするとノイズが流れるループが短くなるため、放射ノイズの発生といった問題も起きにくくなります。そのため、アートワーク設計を行う際にはバイパスコンデンサの配置に必ず注意して下さい。

    ノイズの周波数に合わせて静電容量を変える

    バイパスコンデンサを配置する際、あまり考えずに0.1μFなどのコンデンサを入れる人は多いと思います。しかし、コンデンサは容量によってインピーダンスの周波数特性が変わるので、ノイズの周波数に合わせて容量を決めなければなりません。

    例えば、低周波ノイズが大きい場合は、10μFなど大容量のコンデンサでないと吸収しきれません。逆に高周波ノイズだと、pFオーダーなどより小容量のコンデンサの方がインピーダンスが低くなるため効果的です。

    幅広い周波数のノイズを除去する必要があるなら、0.01μF、0.1μF、1μFといったように静電容量の異なるコンデンサを組み合わせて使うとよいでしょう。

    容量の小さいコンデンサほどICに近づける

    複数のバイパスコンデンサを配置する時は、静電容量が小さい部品ほどICの近傍に入れることも重要です。順番を逆にしてしまうと、インダクタンス成分が邪魔をして、静電容量が小さいコンデンサから逃がしていた高周波ノイズが逃がしにくくなります。

    逆に、静電容量が大きいコンデンサはICから離れても影響が小さいので、比較的自由に配置を選んでも問題ありません。

    採用するコンデンサの種類も重要

    一般的には、コストが安価で安定した性能を持つセラミックコンデンサが使われていますが、周波数特性が最もいいとはいえません。DCバイアス特性により容量が低下するといった問題もあるため、状況に応じて電解コンデンサやフィルムコンデンサを採用したほうがいい場合もあるでしょう。

    特にフィルムコンデンサは周波数特性に優れるため、オーディオなどコストより性能を重視する用途では数多く用いられています。

    GNDのパターン形状にも注意

    こちらは見逃しがちですが、バイパスコンデンサを接続するGNDパターンの形状にも注意しましょう。細いGNDパターンが引き回されていると、せっかくIC近傍にコンデンサを配置していたとしてもノイズ対策の効果が甘くなります。

    パターン設計は複雑であり簡単に対策できるわけではありませんが、よりノイズに強いパターンの引き回しは常に意識するとよいでしょう。

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    まとめ

    今回は、バイパスコンデンサ(パスコン)の役割と設置上の注意点について解説しました。バイパスコンデンサはICの電源ラインに並列接続することで、ノイズや電圧変動を抑制して安定した動作をサポートする役割を持ちます。

    コンデンサを接続するだけの簡単な手法ではありますが、ICとの位置関係やコンデンサの容量によって効果が大きく変わるので、設計時には注意が必要です。適当にコンデンサを入れるのではなく、重要なポイントを理解した上で設計するようにしてください。

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